スマホとスマートデバイス、2020年の展望(前編)~ファーウェイ一強時代は続くか?

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スマホとスマートデバイス、2020年中国市場の展望(前編)~ファーウェイ一強時代は続くか?

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中国の携帯電話業界では2019年、業界勢力図が完全に書き換えられた。わずか数カ月の間にほぼファーウェイによる一強体制が築かれたからだ。2020年に入り、ある業界関係者は「ファーウェイとの差を縮められた者が生き残る」と形容する。価格、販路、技術のいずれの面においても一触即発の様相を呈しているうえ、今年は5G対応機種への買い替えが進むと予想されるため、各社とも奮い立っている状況だ。各社の今年の展望を以下にまとめた。

ファーウェイ:苦境は今年も続く

「まずは生き残ることが最優先だ」。ファーウェイの輪番董事長を務める徐直軍氏は社内に向けた年頭の挨拶でこう述べた。

ファーウェイを取り巻く外的環境はいまだ不確定要素に満ちている。昨年から続く米商務省による事実上の輸出規制が今後も長期的に続くことを想定すれば、海外事業の先行きは楽観視できない。

米グーグルが提供するGMS(Googleモバイルサービス)を利用できない状況を補てんするため、今年は引き続きHMS(ファーウェイモバイルサービス)のエコシステム構築に注力するだろう。しかし、欧州をはじめとする海外のAndroidユーザーはすでにGMSが提供する各種サービスに完全に依存している状態だ。この習慣を変えさせるのは容易ではないだろう。

海外市場での挫折により、ファーウェイは否応なく国内市場重視に転換せざるを得なくなった。結果、昨年は国内市場で4割以上のシェアを占めるに至った。出荷台数でみると、かつてファーウェイとともに国内四大メーカーと称されてきたシャオミ(Xiaomi、小米科技)、OPPO、vivo3社の合計にほぼ並ぶ。ファーウェイが国内市場でこれ以上の成長を実現するのは決して簡単ではない。

ブランド、技術、製品、販路など各方面でファーウェイの優勢は明らかだ。とくに今年は5Gスマホへの買い替えブームが起こる。そうなればファーウェイの技術的優位はシャオミ、OPPO、vivoの3社を大きく突き放す。それでもシェア5割以上を達成するのは難しいだろう。

IT関連調査会社ガートナーのアナリストCK Lu(呂俊寛)氏によると、中国市場で40%のシェアを維持すること自体がすでに稀に見る事態であり、消費者のみならず多くの提携業者もこうした寡占状態は望んでいないという。こうした外的環境はすでにファーウェイが独自に制御できる範囲になく、もはや単純なメーカー間競争とも言えない。ファーウェイが米国から制裁を受けたことで中国では一時、愛国心に端を発するファーウェイブームが巻き起こったが、それが過ぎ去った後もユーザーの心をつなぎとめられるのかが新たなカギとなってくるだろう。

Androidを引き続き利用できるよう尽力するとともに、それがかなわなかった場合の相応の準備もしておくべきだ。ファーウェイが独自開発した「HarmonyOS(鴻蒙)」を搭載したスマホが世に出る可能性もある。同社コンシューマー・ビジネス・グループのリチャード・ユー(余承東)CEOはすでに、まもなく発売される「P40」にHarmonyOSを搭載する可能性に言及している。

OPPO:技術への回帰

OPPOは昨年、中国国内では出荷台数および利益の双方において減速した。新たに発表した「Reno」シリーズは当初、ファーウェイの「P」シリーズを意識して展開したが、ビジネスユースやシンプルさにこだわりすぎた結果、OPPOの主力製品「R」シリーズには遠く及ばない結果となった。

年末に発表した「Reno 3」は大幅に方向転換し、軽量・薄型でファッショナブルなモデルとなった。有名人をブランドアンバサダーに起用し、人気バラエティ番組のタイトルスポンサーになり、フロア広告を展開するなど宣伝手法もスタンダードなものに回帰している。OPPOの関係者によると、この方針は今年も変わらず、一定の損失覚悟で広告やブランド戦略にまい進するという。

無論、OPPOは今年も利益を出し続けるだろう。

OPPOが国内各省で抱える代理販売業者にも体力がある。昨年は出荷台数を減らしたが、地方市場でみせる強さは変わらない。ある販売関係者によると、ファーウェイはこうした地方市場に狙いを定めているが、地方での販売手法はオンライン販売や大都市圏での販売とは勝手が異なるため、短期的にはOPPOの優勢に食い込むことはないという。

しかし、長期的にみればどのメーカーも最終的には「技術革新」という基本に立ち返らなければならない。マーケティングやチャネル戦略重視のOPPOも、技術面でのブレークスルーを決意したようだ。

OPPOが昨年12月に開催した「OPPO未来科技大会2019(OPPO INNO DAY 2019)」では陳明永CEOが6年ぶりに公の場に現れ、今後3年間で研究・開発分野に500億元(約7900億円)を投じると発表した。事実、昨年末には独自開発のワイヤレスBluetoothイヤホンやルーターを発表しており、今年も引き続きスマートウォッチやスマートテレビを発表する構えだ。業界内ではOPPOがチップの自主開発にも乗り出すとの情報も頻繁に出る。

現状、OPPO製品の4割は海外で販売されており、今年の出荷台数は国内販売台数を超えるとみられている。しかし、中国以外のソフトウェア市場はグーグルやフェイスブックの寡占状態で、売ったらそれでおしまいのハードウェアにとってはそれ以上の収益手段がない。そのハードウェアにしても、サムスンやアップルといったハイエンドの牙城を突き崩すことは難しい。

複雑に割れる海外市場では、地域ごとに戦略を立てなければならない。Renoシリーズ一つとっても、国内向けは5G対応、海外向けは4G対応と切り分けが必要だ。売上高や利益を維持するためには、軸足は国内に残しておきたいところである。

vivo:インド・欧州進出に活路

全体的な経営戦略でいえば、vivoは最も安定しているプレーヤーだ。

昨年はOPPOやシャオミと同様、ファーウェイの圧力に押された。しかし企業自体は大きな意思決定上の失策もなく、今年の競争に備えて十分な商品展開を揃えてきたといえる。

昨年発売した「iQOO」シリーズはゲーマーからの評価が高く、従来は少なかった男性ユーザーの獲得につなげた。オンラインでは同シリーズを、実店舗では「X」「NEX」シリーズを主力として押し出し、互いに補完しあっている。

5G戦略に関しては先手を打った。昨年8~9月、相次いで5G対応モデルを2機種発表し、オンライン販売ではミドルレンジ~ハイエンド製品、実店舗販売ではハイエンド~フラッグシップ製品を主力に展開している。

IT専門調査会社IDCによると、昨年第3四半期に中国国内で出荷された5G対応スマホは48万5000台で、vivo製品が半数以上を占めた。また同年12月初め、vivoはファーウェイに続いていち早くデュアルモード対応の5Gスマホ「X 30」シリーズを発表している。

国内でファーウェイ一強が続き、海外に活路を求めるvivoにとっては、インドと欧州が今年の重点となる。

vivoインド法人の陳志涌CEOによると、インド市場は昨年あたりから5000~8000ルピー(約7700~1万2000円)のローエンド製品に翳りが見えはじめ、代わりに8000~1万5000ルピー(約1万2000~2万3000円)のミドルレンジから2万ルピー(約3万円)以上のハイエンド製品が徐々に売れ筋となっているという。同社も中~高価格帯製品に重きを置き、オンライン販売の「iQOO」シリーズをも間もなくインド市場で発売する。

vivoは中国四大メーカーの中で最後に欧州市場へ進出した。もともとOPPOとブランドポジションが似ているため、先発者であるOPPOの戦略を参考にできるかもしれない。OPPOは欧州進出後2年もたたずに市場シェア5位圏内に入ったからだ。対してvivo製品はミドルレンジ~ハイエンド市場で比較的ユーザー評価が高く、欧州進出もスムーズに進む可能性がある。

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(翻訳・愛玉)

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