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インド発格安ホテルチェーン「OYO Hotels & Homes」が17日(現地時間)、2019事業年度(2018年4月~2019年3月期)の決算報告を行った。総売上高は前年比4.5倍増の9億5100万ドル(約1050億円)だったものの、純損失は同6.1倍増の3億3500万ドル(約370億円)となった。
OYOは現在、全世界800以上の都市で4万3000軒、客室数にして100万室以上のホテルを展開中だ。ただし、急成長と引き換えに損失も急速に拡大している。採算度外視の事業拡大で社内マネジメントにも支障が出ているようだ。さらに世界経済が縮小傾向にあるあおりで出張用途での需要が減り、潜在的な問題が露見してきた。
財務諸表を見ると、OYOの事業損失は主にグローバル事業に起因する。損失全体の3分の2をグローバル事業が占めている一方、売上高でグローバル事業が占める割合は3分の1にとどまる。
OYOは2017年末に中国へ進出しており、インドに次ぐ第二の市場となっているが、この中国が損失の大きな火元の一つとなっている。さらに中国では今年1月、OYOとの契約条件などに不満を持つ物件オーナーらがOYOに集団抗議する事態にも発展している。多くのオーナーがインターネット上で「フランチャイズ契約の内容が一方的。事実上の詐欺だ」と暴露しており、フランチャイズを解約するオーナーも続出しているという。結果、実質的に無稼働状態の客室が多くなっている。
OYOのこうした問題は、UberやWeWorkなど破竹の勢いで華々しく成長してきたソフトバンク出資企業の苦境とよく似ている。いずれも収益を顧みずに無鉄砲なリソース投入を続けてきたことが原因だ。
無論、ソフトバンクグループは今回のOYOの決算報告に頭を抱えているだろう。そのソフトバンクは今月12日に2020年3月期(2019年10~12月期)の決算を発表しているが、純利益が前年同期比92%減と落ち込んでいる。主因はWeworkやOYOの評価額が急落したことによる資産の目減りだ。OYOに出資したソフトバンク・ビジョン・ファンドは20億5000万ドル(約2300億円)の損失を計上している。
こうなると、ソフトバンクが現在出資者を募っている「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」も雲行きが怪しくなってくる。一部の出資者は「ビジョン・ファンドの状況が好転しない限りは2への出資はない」としている。孫正義会長がOYOやWeWorkの黒字化および上場をせっつくのも当然だろう。
OYOの経営陣は早期の収益化に向けてあらゆる手段で支出削減を図っている。ある海外メディアは先月、OYOが世界の200都市から事業を撤退させ、大規模なリストラを続行中だと報じた。また本国インドでは売上総利益率が14.7%にまで伸びており、枝葉を切って本業に集中していると報じられた。
OYOグローバルCFOのAbhishak Gupta(アビシャック・グプタ)氏は「売上高の伸びと収益化への目標は同一線上にある」と述べており、売上高の好調な伸びに比例した年内の黒字化に期待を寄せている。しかしこの発言に市場の反応は芳しくない。決算報告後、一部ではOYOの収益力に疑問を呈する声が挙がっている。
(翻訳・愛玉)
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