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2019年、市場が冬の時代に値引きキャンペーンに頼るビジネスモデルは厳しくなり、スマートスピーカー業界も例外ではなかった。市場におけるユーザー認知度を上げる時期は過ぎ、業界は徐々に成熟期に入っている。デイスプレイなしのスマートスピーカーのコストは100元(約1500円)程度にまで下がり、デイスプレイ付きスマートスピーカーが新たなブームとなっている。
3月20日、米IT専門調査会社「IDC」が発表した「中国スマートホームデバイス市場四半期レポート」によると、トップメーカーのアリババ(阿里巴巴)、バイドゥ(百度)、シャオミ(小米)の3社がスマートスピーカー市場で首位争いを繰り広げており、この上位3社で市場シェアの9割超を占めるなど、トップメーカーと下位メーカーの格差は広がる一方だという。同レポートによると2019年のスマートスピーカーの出荷台数は前年比109.7%増の4589万台となった。
IT大手の3社にとって、スマートスピーカー事業はそれぞれ異なった意味合いを持つ。総売上高に占めるスマートスピーカーの比率は明らかにはなっていないが、スマートスピーカー事業は決して「小さなビジネス」ではない。市場シェア拡大の戦略とIoTとの接点としてのスマートスピーカーの位置付けについて、3社は同様の考え方を持っており、IoTのコンセプトに基づいてスマートスピーカーがもたらすトラフィックの先に、将来的なビジネス拡大の可能性があることを確信している。
アリババは、値引きキャンペーンに代わる戦略として、製品のアップデートとラインアップの拡充に焦点を当てている。同社のスマートスピーカーブランド「天猫精霊(Tmall Genie)」の2019年の出荷台数は、前年比87.9%増の1561万台で首位を獲得した。2019年のアリババは、大ヒットしたディスプレイなしモデル「天猫精霊方糖」のモデルチェンジのほか、「天猫精霊IN糖」とディスプレイ付きモデル「天猫精霊CC」シリーズをリリース、自社傘下のECプラットフォームを通じてプロモーションし、年間販売台数で首位となった。
初期にスマートスピーカー「小度(Xiaodu)」によって市場地位を確立したバイドゥは、最新の決算報告の中で、初期の値引きキャンペーンによる割引販売が業績に悪影響を与えたことを認め、今後は研究開発に力を入れていくことを表明している。2019年、小度の出荷台数は前年比278.5%の1490万台で中国国内2位だった。バイドゥにとって、AIサービスの実用化とユーザーの囲い込みのためにスマートスピーカーが果たす役割は重要であり、バイドゥのメインビジネスである「オンラインマーケティング」への貢献も期待されている。
前述の2社と比べると、シャオミにとってスマートハードウェアビジネスは、それ自体が主な収入源となっている。シャオミの2019年第3四半期のIoT事業の売上高は全体の29.1%を占めているが、比率が高いのはスマートテレビとノートパソコンで、スマートスピーカーの売り上げはまだ満足できるものではない。同年、シャオミのスマートスピーカーの年間出荷台数は前年比89.7%増の1130万台となった。
IDCは、新型コロナウイルスの流行の影響により2020年第1四半期はスマートスピーカーの出荷台数が減少し、通年でも成長は鈍化すると予測している。第1四半期の出荷台数は25.8%減になると予測されるが、年間出荷台数は9.8%増となる見込みだ。しかし新型コロナウイルスの影響による映像コンテンツの充実、ユーザーの利用時間の増加、マーケティングのオンライン化、在宅生活の長期化などが「スマートスピーカー」にどのような影響を与えていくのか注視する必要がある。
(翻訳・普洱)
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