武漢封鎖解除、ホンダなど自動車工場が操業再開 生産回復に必死

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武漢の封鎖措置が解除されてから2週間余りが過ぎた。2カ月以上を自宅で過ごした自動車関係者たちが職場に復帰し、70日余りの静寂を破ってようやく現場に機械の音が響き始めた。

中国中央テレビ局(CCTV)によると、4月8日の封鎖解除後、武漢では一定規模以上の工業企業(国有工業企業と年間売上が2000万元以上の非国有企業を指す)の操業再開率が97%を超えた。工場が稼働し、ラインオフした完成車は武漢の交通の便の良さを生かして世界各地へと旅立っていく。

中国の四大自動車製造基地の一つとして「中国車都(自動車のシティ)」と称される武漢には米・日・仏や国内大手自動車メーカー各社の完成車工場が10カ所余りと自動車部品を手掛ける企業が500社以上あり、2019年の自動車生産台数は154万8500台にのぼった。自動車関連企業が集中する背後には、武漢の自動車関連企業に勤務する従業員数十万人余りの働きがある。国営自動車メーカー大手「東風汽車集団(Dongfeng Mortor Group)」だけを見ても16万人いる従業員の半数以上が武漢で働いている。

「中国汽車工業協会(CAAM)」のデータでは3月の自動車生産・販売台数はそれぞれ142万2000台と143万台で、ともに前年同期より減少した。しかし前月比ではそれぞれ399.2%増、361.1%増となった。同協会秘書長助理の陳士華氏は「3月は予想よりも持ち直した。下半期には前年の水準にまで回復するだろう」と話している。武漢の封鎖解除は新型コロナウイルスへの完全勝利を意味するものではないが、少なくとも中国の自動車業界復活へ向けて最後の一押しとなったはずだ。

生産の遅れを取り戻す

現場の従業員は残業するなどして、長期間操業停止していた自動車メーカーは徐々に生産能力を回復している。

従業員は離れて食事をとる(写真提供:取材協力者)

ホンダが現地企業と設立した合弁会社「東風本田(DHAC)」の第一工場生産係長である張振氏によると、現在武漢にある3工場で働く1万2000人余りの従業員のうち99%が職場に復帰しているという。同社の最終組み立て工場では1日に3000台余りの新車がラインオフ可能だ。50.1秒ごとに新車が1台完成している計算であり、コロナウイルス流行以前のピーク時の生産能力をすでに回復している。

ホンダCR-Vのラインオフ (写真:武漢開発区)

「東風乗用車(DFPV)」関係者によると、3月28日から同社は1日あたり280台生産しており、現時点で生産ラインはすべて稼働を再開、生産能力も昨年同期と同水準にまで復活したという。3月27日時点で生産ライン最前線の従業員のうち97%が復帰している。

自動車メーカーが生産を急ぐのは増加の一途をたどる注文に応えるためだ。「封鎖措置が解除されてから車を見に来る客が明らかに増えている」と武漢にある東風本田のディーラーにつとめる営業担当者は話す。封鎖中は1日あたり5~6組程度だった来店客は現在では40~50組にのぼり、以前より明らかに忙しくなったという。

東風本田の執行副総経理である鄭純楷氏によると、3月に2万5800台の注文を受け、在庫から1万8000台を納車したが、ディーラーの多くは在庫が不足しており、店頭の展示車すら不足する店もあるという。新型コロナウイルスが収束に向かうにつれ、4月の注文は増え続けており、現在工場では生産能力を上げることが急務となっている。

東風汽車工場(東風汽車集団公式サイトより)

最も辛い春が終わった

武漢にある500余りの部品サプライヤーは中国の自動車業に大きな影響力を持っている。「広州汽車集団(GAC Motor)」「上海汽車集団(SAIC MOTOR)」「長城汽車(Great Wall Motor)」など従来の自動車メーカーから新興EVメーカー「蔚来汽車(NIO)」「理想汽車(LEADING IDEAL)」まで、どのメーカーも武漢で製造される部品に依存しているからだ。

2月10日、湖北省以外の多くの自動車メーカーは操業再開したが、一部の自動車メーカーは操業再開できないか部分的な操業再開となった。湖北省からの部品が調達できなかったためトヨタ、独BMW、韓国「起亜(KIA)自動車」などとの合弁工場が操業再開を延期せざるを得なかったのだ。

武漢の封鎖措置が解除されてから中断していた産業チェーンが復活し、自動車メーカーもやっと部品の調達が可能となった。前出の東風乗用車関係者によると、現時点で同社の一級サプライヤーと武漢市外の二級サプライヤーの操業再開率は100%、武漢市内の二級サプライヤーでは97%だという。封鎖解除に伴って物流も正常化している。

ベンツ(写真:pexels)

自動車市場は打撃から徐々に回復してきている。乗用車市場信息聯席会(CPCA)のデータによると、3月の自動車生産台数は前年同期比51.2%減の98万1000台だが、前月比では4倍超となった。4月第2週の1日あたり販売台数は前年同期比14%増の3万3400台となった。

補助金の増加や購入制限の緩和、「汽車下郷(農村部への自動車普及政策)」など一連の政策と自動車メーカーの積極的なアクションのもと、CAAMは今年下半期の自動車販売台数を昨年並みかそれ以上の水準になると見込んでいる。武漢の自動車産業にとって最も辛かった春が過ぎ、世界最大の自動車市場が再び動き出そうとしている。中国の自動車産業が底入れし上昇に転じる時が来たのだろうか。

(翻訳・山口幸子)

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