目指すは中国版YouTube、バイトダンスの動画サービス 競合から人気配信者を引き抜き

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目指すは中国版YouTube バイトダンス傘下動画配信プラットフォーム、競合から人気配信者を引き抜き

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「うちに来れば稼ぎがこれまでの10~20倍に増える上、レコメンドの恩恵と『抖音(Douyin、海外版はTikTok)』が抱えるトラフィックを享受することができる」。中国の大手動画共有サイト「ビリビリ動画(bilibili)」の配信者は36Krに対し、ヘッドハンティングを試みる「西瓜視頻(Xigua Video)」から最近伝えられた「誘い文句」を明らかにした。

ショート動画アプリTikTokも手掛ける「バイトダンス(字節跳動)」傘下の動画配信プラットフォーム西瓜視頻は昨年初め、「多様な文化を集約した総合ストリーミングプラットフォーム」を目指す新戦略を発表した。新戦略に沿って事業の多角化を開始した西瓜視頻が最初に着手したのは、ヘッドハンティングだった。

画像は漁人阿烽氏のビリビリ動画コンテンツより

西瓜視頻が「ヘッドハンティング」をしそうな気配は以前からあった。今年2月にバイトダンスは、MCN(マルチチャンネルネットワーク)の「風馬牛伝媒(Fengmaniu Chuanmei)」に出資し、その持株比率は25%に達した。西瓜視頻のほかにも、ビリビリ動画、「斗魚(Douyu)」、TikTok、「快手(Kuaishou、海外版はKwai)」がMCNへの投資を通じて人気配信者を確保している。

しかし西瓜視頻にとって、お金をかけてヘッドハンティングすることは容易でも、中国版YouTubeになることは難しいようだ。

中国にはまだYouTubeがない

ビリビリ動画のコアユーザーWsns氏は取材に対し、「西瓜視頻がビリビリ動画のシェアを奪おうとしているのは明らかだが、奪うよりも『反撃』という表現の方が適切だろう。なぜなら、華農兄弟氏などビリビリ動画の人気配信者には、西瓜視頻から移籍した人が多いためだ」と話した。

今やビリビリ動画では生活関連コンテンツが最大の規模となり、なかでもグルメと日常共有のコンテンツが投稿件数を大きく伸ばしている。こうした新規投稿コンテンツはビリビリ動画がライトな二次元ユーザーを取り込むカギとなっているが、ビリビリ動画と西瓜視頻はユーザーの奪い合いでぶつかることが今後さらに多くなるだろう。

地方市場に注力していた西瓜視頻は事業方針の転換に伴い、新たなユーザー層にも対応する必要が生じた。また、ビリビリ動画のモデルに近づいたことで必然的に競争も激化する。クリエイターのリソースだけでなく、ライブ配信への投資、長時間動画の版権購入、Vlogコンテンツの創作奨励など、両者は多くの面で対峙することになる。

西瓜視頻はこれまでも中国版YouTubeと呼ばれていたが、そのエコシステムを保てるかどうかが問題だ。

当初のUGC(ユーザー生成コンテンツ)からPUGC(プロフェッショナル生成コンテンツのPGCとUGCの特徴を兼ね備えたコンテンツ)に発展したYouTubeは、中国で数多くのコンテンツプラットフォームが模倣の対象としている。YouTubeは初期のC2Cモデルによって低コストで急速にコアユーザーを増やした。コアユーザーは動画のシェアと配信に積極的で、プラットフォームに対するロイヤルティが高い。これがまさに中国の動画配信プラットフォームがYouTubeを目指す理由であり、中国版Netflixの「愛奇芸(iQIYI)」も最近、YouTubeを意識した短編動画プラットフォーム「随刻(インスタント)版」をローンチした。

市場シェアが低いからといってプラットフォーム運営が簡単なわけではない。YouTubeモデルではクリエイターの持続的な創作力と創作レベルが試される上、プラットフォームの雰囲気がユーザーに好まれるかどうかもポイントとなる。

中国では今のところ、YouTubeに幾分似ていると言えるのはビリビリ動画のみだ。コミュニティの雰囲気もコンテンツのスタイルもYouTubeに最も近い。二次元コンテンツからスタートしたビリビリ動画は、ロイヤルティの高いユーザーを確保し、それによってハイクオリティなコミュニティの雰囲気を確立した。ビリビリ動画董事長兼CEOの陳睿氏は第1四半期(1~3月)の業績発表の場で、ビリビリ動画がユーザーを増やしながら高いリテンション率を保ち、この1年間のリテンション率は80%を超えたことを明らかにしている。

西瓜視頻はPUGCモデルを進めているものの、プラットフォームの雰囲気とハイクオリティな視聴者コメントという点でビリビリ動画に劣っている。

またYouTubeを目指す中国のプラットフォームは、「ユーザーのコンテンツ消費-プラットフォーム広告の収益化-クリエイターのコンテンツレベニューシェア」というYouTubeの循環型ビジネスモデルを試みているが、それほどうまくいっていないのが現状だ。
(翻訳・神戸三四郎)

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