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海外で上場している複数の中国企業で粉飾決算が明らかになるケースが相次ぎ、多くの中国企業が香港市場へ回帰する動きが出ている。
ロイター/IFRが関係者からの情報として報じたところによると、中国の大手EC企業「京東集団(JD.com)」はすでに香港証券取引所に上場を申請済だ。米ナスダックとの重複上場となる。京東は最大5%の株式を売りに出したとみられており、今月27日時点で時価総額が670億ドル(約7兆1400億円)となっている。香港上場時には34億ドル(約3600億円)を調達できると予想され、上場は早くて今年6月になるとみられる。
前出の関係者によると、京東は新型コロナウィルスの感染拡大の状況下にあっても取引数増加に引き続き注力しており、自社の事業スキームにある程度の耐性があると証明した形だ。加えて、海外で上場する中国企業に不正会計が相次いで発覚したために米投資市場からの不信を招いていることも、今回の香港での重複上場を後押しした。
先日、巨額の不正会計を認めた新興コーヒーチェーン「瑞幸珈琲(luckin coffee)」を皮切りに、海外で上場する複数の中国企業で同様の事実が明らかとなっている。米証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン委員長は米投資家に向け、米国内で上場している中国企業株に対する慎重な姿勢を呼びかけており、多くの中国企業は肩身の狭い状況に置かれている。
中国の大手投資銀行「中国国際金融(中金公司、CICC)」はこうした企業が香港で上場するにあたっての条件や、上場後の影響について分析している。彼らが香港に回帰する理由については、事業の拡大に資金調達が必要であること、また株の流動性を高め、地理的に中国本土市場により近いことでより高い時価総額をはじき出せる可能性がある点を指摘。また、米中関係の動向に翻弄されるリスクを下げる目的があることなども挙げた。
米国と香港での重複上場に関しては、すでにアリババグループ(阿里巴巴集団)やバイオ製薬企業「百済神州(BeiGene)」などの前例がある。アリババは中でも成功例と言えるだろう。昨年11月に香港再上場を果たす直前の5日間における1日の平均取引額は90億香港ドル(約1200億円)に上り、その後今年2月17日までの1日の平均取引額は32億香港ドル(約440億円)で推移している。
海外で上場した企業が回帰する流れは、香港市場をさらに多様化させることになり、投資家にとっても魅力的な市場になる。また、香港株と中国A株(中国国内向けの人民元建ての株)の融合が進むだろう。中国国際金融は、海外で上場する234社分の中国企業株(中国概念株)を精査した結果、香港での上場条件を満たすのは京東、検索大手の百度(バイドゥ)、ポータルサイト大手の網易(ネットイース)などの19社だとした。さらにこれら19社の一部あるいは全てが1~2年以内に香港市場へ戻ると予測している。
(翻訳・愛玉)
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