テンセント開発のスマート顕微鏡が臨床応用へ、医療格差の解消に貢献

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テンセント開発のスマート顕微鏡が臨床応用へ、医療格差の解消に貢献

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テンセントの人工知能研究室「Tencent AI Lab」が開発したスマート顕微鏡が、中国国家薬品監督管理局(NMPA)の登録証を取得した。病院での臨床応用を許可された中国初のスマート顕微鏡だ。

同プロジェクトではテンセントがAI技術を提供し、「舜宇光学(Sunny Optical)」がハードウエアの研究開発を行い、「金域医学(Kingmed Diagnostics)」が病理診断に関する専門知識と専門家リソースを提供した。

画像提供:テンセント

テンセントの公式サイトによると、このスマート顕微鏡は正確な定量分析によって似たような細胞を識別・区別し、結果の精度と一致性を高められる。病理分析と診断に関する最新技術を統合し、病理医の作業プロセスと習慣に合わせて複数回にわたり製品のアップデートが行われた。現在は乳がんの診断に使われる免疫組織染色(IHC)法を用いたKi67(細胞増殖能マーカー)、ER(エストロゲン受容体)、PR(プロゲステロン受容体)、Her2(ヒト上皮増殖因子受容体2)の検出を顕微鏡画像の解析によってサポートしている。

さらに切片を40~400倍にまで拡大でき、観察する領域を確定した後アルゴリズムを実行することで、異なる視野での解析結果を記録し、全面的な評価データを提供。医師が細胞の形態と組織構造をより詳細に観察し、正確な診断を下す支援をする。

画像提供:テンセント

金域医学の病理専門家である羅丕福氏は「こうしたAI技術の応用によって、病理診断能力が不足し診断水準が低い一般病院であっても、病理医がより正確な診断を下せるようになり、腫瘍患者にとって有益だ」と語る。

テンセントは同製品について、一般病院における病理医の数や経験不足を補う役割を担うが、完全に病理医に取って代わることはできず、診断過程において病理医の役割はかけがえのないものだと述べている。

病理医は「命の審判」で「最終的な診断」を下す立場にある。しかし、この職種は学習時間が長く、業務上のリスクも高く、収入は高くないという要因から、人材が大幅に不足している。中国医師協会(China Medical Doctor Association)病理科分会会長の卞修武氏によると、現在中国で資格を持つ病理医は2万人に満たない。中国国家衛生健康委員会(National Health Commission of the People’s Republic of China)による病理医の配置要求に基づいて計算すると、病理医の不足数は9万人を超えている。スマート顕微鏡の研究開発は、人による作業への依存度が高く自動化が進んでいないという、病理診断プロセスにおける従来の問題をある程度緩和できる。

テンセントは2018年に「スマート顕微鏡」の研究開発を発表した。顕微鏡は病理診断に使われる最も一般的なツールの1つであり、テンセントは画像解析による病理診断を切り口にAI+医療分野の研究に乗り出している。

現在中国は医療リソースの分布が不均衡で、医療業界の労働力も不足している。また同時に中国は国家としてAI関連の政策を何度か発表しており、5Gの商用化も推進している。このような状況の下で、AIを活用した医療画像認識、補助診断、医薬品開発、医療ロボットなどの分野が注目を集めている。米IT専門調査会社「IDC」によると、2025年までにAI関連市場は1270億ドル(約13兆6000億円)に達し、その中で医療業界が5分の1の規模を占めると見られている。

各国の政策によるサポートとAI技術の発展によって「AI +医療」は主要テクノロジー企業がしのぎを削る分野となり、グーグルやマイクロソフトなどはスマート医療産業への参入を積極的に行っている。

グーグルのヘルスケア部門はイギリスのAI企業「DeepMind」と提携し、英科学誌「ネイチャー」上で、AIによる乳がん検査システムを発表した。アリババはAIを用いて難易度が高い心血管認識技術を開発したと発表した。「ファーウェイクラウド(華為雲)」は医療の基礎研究分野や医用画像、製薬など多方面でと金域医学と協業を進めている。ディープラーニングやコンピュータービジョンを主に手掛ける「センスタイム(商湯科技)」はAIを活用したスマート診断プラットフォーム「SenseCare」を発表し、整形外科、呼吸器科、心療内科などの臨床で役立つアルゴリズムを通じて、さまざまな臨床場面において診断と治療をサポートしている。

(翻訳・普洱)

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