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コロナの流行で中国のECの利用が一気に高まったが、それは外国でも同じだ。カナダ・トロントで中国人を対象とした食材宅配サービスを行う「嘟嘟快送(Dudu Kuaisong)」もその恩恵を受けているプラットフォームだ。コロナ流行期間にアプリの平均客単価は70~150カナダドル(約5500~1万2000円)に、1日あたりの平均注文数も2~3倍に増えた。第1四半期の売上高だけで昨年一年間の売り上げを超えた。
2018年8月に設立された「嘟嘟快送」は、トロントのアジア系スーパーマーケットと提携して中国系の人々にネットスーパーと宅配サービスを提供する宅配プラットフォームだ。WeChatから利用でき、パートの配送員がスーパーから10キロ以内にある中国系のコミュニティを対象に配達を行う。
嘟嘟快送の創業者、林武氏によると、トロントの人口約600万のうち、中国系は約75万人で12.5%、インド系が69万人で11.5%、フィリピン系が33万人で5.5%と、アジア系の総人口は約213万人にも上る(常駐・非常駐人口を含める)。これはトロントの人口の33%にもなり、一人当たりの月平均消費額は約600カナダドル(約4万7000円)だ。
カナダには様々な民族が移住しており、その食生活も多様化しているため、ニッチな需要を満たす生鮮食料品店が活況を呈しているが、中でも中国系のスーパーの成長が著しい。トロントの冬は長く、外出が不便なことに加え、留学生や移民の多くは車を持っていない。このような需要があるにもかかわらず、中国系スーパーの宅配はまだ充実しているとは言えない。
嘟嘟快送がターゲットとするのは、16~45歳の学生と社会人で、安定した収入と時間コストの意識を持ち、なおかつ便利な生活様式を好む人々だ。
カナダのアジア系スーパーは保守的で、自前の宅配部門を持たず、オンライン化も遅れている。嘟嘟快送はこうしたスーパーにオンライン化のソリューションを提供し売上高の向上を図り、バックマージンとともに利用客というリソースを取り込んでいる。
ユーザーが注文を出すと、商品の発送準備と決済の確認が同時に行われる。決済が確認されると、配送者が割り当てられ発送される。配送はバンなどの乗用車で行われるため、一回で15~20の注文に対応することができる。
配送ルートは配送希望時間と位置に従い専用プログラムが最適なルートを割り出してくれる。配送者はクラウドソーシングで応募してきた人々で、自家用車を用い勤務時間帯を選ぶことができる。「60分以内の配送」がうたい文句だ。
短期的な収益モデルでは、生鮮食料品の配達料金でプラットフォームの運営経費をまかない、食料品や雑貨の割増価格とバックマージンが利益となる。中長期的には、プラットフォームの集客力と物流配送力を活用し、迅速に対応するための「前線倉庫」の設置や、利益率の高い調理済み食品、ベーカリー製品、化粧品、ペット用品、家庭用製品などへの拡張を計画している。さらに、共同購入や注文の効率化を図ることによる利益の増大も考慮中だ。
嘟嘟快送の2019年におけるリピート率は約60%で、GMV(流通取引総額)と注文数の月平均成長率は約10%だった。今年の5月時点で、GMV月平均成長率は約25%、注文数の月平均成長率は15%で、売上高は400万カナダドル(約3億1600万円)、累計注文数は4万3000件となった。今年の目標はGMVを1000万カナダドルに、注文数を10万件にすることだ。
嘟嘟快送は目下エンジェルラウンドの資金調達中で、調達した資金は研究開発や市場開拓、運営などに充てられる予定だ。
(翻訳・近藤)
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