フォーミュラE選手権が快手と戦略的提携、中国EV産業規格制定への参画も視野に

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国際自動車連盟のファーミュラE選手権(FIA Formula E Championship、以下「FE」と略称)とショート動画プラットフォームの「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」が、多角的な戦略的提携を結んだことが、このほどわかった。

この件について、FE中国(香港、マカオ、台湾含む)エリアの運営会社である「北京伊諾華電動方程式文化発展有限公司(Enova Holdings Limited、以下「伊諾華」と略称)」の王知欣CEOに取材し、提携の目的とFEの今後の計画を聞いた。

FEは2014年から始まった、F1世界選手権、世界ラリー選手権、世界ツーリングカーカップと同様に国際自動車連盟が主催する大会であり、現時点では世界唯一の1人乗り電気自動車のレース大会である。

前出の王CEOによると、FEのレース環境は生活の中で自動車を使う環境に近く、世界各地の異なる環境に会場があるため、レースを通して集めたデータは市販の電気自動車の開発にとって非常に有益である。そのため、ジャガー、アウディ、ベンツ、ポルシェといったプレミアムカーのメーカーもFEに参戦している。

中国のチームもFEに参戦しており、現在、DSテチーターや、EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」がスポンサーを務めるNIO333が中国籍であり、また英国のエンヴィジョン・ヴァージン・レーシングにも中国企業が出資している。

北京国家体育場で開かれたFEの様子

FEは2021年にFIA世界選手権に格上げされる予定であり、伊諾華ではこれを機に、FEと新エネルギー、5G、AI産業の共同発展を促し、さらに各地の政府、企業パートナーと持続可能なFEのエコシステムを作りたいと考えている。

快手との提携は、FEのこうした大きな目標の達成に向けた重要な一歩である。王CEOによると、FEには現在のファン層の掘り下げ、新規ファンの獲得、ブランディングのという3つの課題があり、快手とは次の3つの角度から協力していく予定だという。

まず、快手のトラフィックの利用である。快手は日間アクティブユーザー数3億以上のプラットフォームであり、これまでショート動画を使った宣伝をしたことのないFEにとって、中国のファンと幅広いタッチポイントを持つのに最適なプラットフォームである。

次に、FEが持つコンテンツの提供である。これにより、快手はFEのファンというユーザーを新たに獲得でき、さらにFEが持つコアファンに対するマネジメント手法を学び、それをほかのスポーツのファンに応用することができる。

最後に、オンライン・オフラインでのビジネス展開である。FEレースの開催に合わせて、快手ではFEをテーマとするゲームやアイテム開発や、FEに関するライブコマース、その他のプロモーションイベントを予定している。

王CEOは伊諾華を「IPマネジメント会社」と位置づけており、そのためブランディングを最重要視し、ブランドイメージを生かしたビジネスを展開したいと話す。さらに同氏は、「FEは新エネ車メーカーが先端技術においてしのぎを削る場であり、伊諾華はそのイベントの運営者として、3〜5年間かけて、FEのブランドを中国の新エネ車産業規格と統合し、『FE規格』のようなものを作りたい。最終的には、FEをテクノロジー、ファッション、持続可能性を併せ持つブランドにし、大きなエコシステムを構築したい」としている。

(翻訳:小六)

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