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アリババグループは7月10日、2020会計年度の決算を公開した。その際、会長兼CEOの張勇(ダニエル・チャン)氏がCEO就任後初めてとなる投資家への書簡を発表した。
書簡では「社会」が17回、「イノベーション」が10回使われており、この2つが20年にわたるアリババの成長を貫いてきたキーワードであることがうかがえる。どちらのワードも「インフラ」と密接に関連しており、ビジネスや金融、物流、クラウドコンピューティングなどの事業すべてを包含している。「社会」という観点で見ると、新型コロナウイルス感染症の流行期間中、アリババは自社のデジタルインフラを活用して世界的な防疫活動に身を投じてきた。「イノベーション」の点でも、インフラを通じて新たな可能性を数多く生み出してきた。ECサイト「タオバオ(淘宝)」、決済サービス「支付宝(アリペイ)」、物流プラットフォーム「菜鳥(Cainiao)」、「アリババクラウド」、オフィスツール「Dingtalk(釘釘)」、新業態スーパー「盒馬生鮮(Hema Fresh)」、ライブコマース「タオバオライブ(淘宝直播)」などはみな、このような背景のもとに誕生してきた。
張CEOは世間が注目している「競争」の話題も、避けることなく率直に取り上げている。この数年、ニューフェイスのインターネット大手企業が次々と現れ、インターネット業界の古参企業も複雑な競争に巻き込まれるようになった。その競争を認めたうえで張CEOは次のように述べた。
「アリババがたどってきた20年は、競争の中で変化を続けてきた20年でもある。さらなる向上、イマジネーション、未来を形作る使命、これらは全て競争の中で身につけたものだ」
さらに2020年の半分が経過したことに言及して、新型コロナウイルスが猛威を振るったこの半年間は人類にとってかつてないほどの試練であり、今後の経済や社会生活にも大きな影響を与えることになると指摘。
しかし、危機はいつもチャンスと隣り合わせであり、深刻な危機は新たな成長のチャンスをもたらす。張CEOは次のように記している。
「新型コロナウイルスの流行で、世界は全く先の見通せない状況に陥った。どんな組織もマーケットも、単独では太刀打ちできない。これは人類共通の試練なのだ。しかし、先が見通せない状況でも確実なものがあると確信している。将来において確実なのは、経済や社会全体がデジタル化へ向かうという大きなトレンドだ。感染症が流行したことで、人々は世界との関わり方を根本から考え直すようになり、生活や仕事、教育、企業経営、社会管理などの分野で新たなデジタル化を試みるようになった。今やデジタル化は至る所に浸透しているのだ」
さらに張CEOはアリババの次なる目標を打ち出した。
「感染症の流行という試練に面しても、アリババは5年前に定めた戦略目標を見事達成した。我々の次なる目標は、中国の消費者10億人にサービスを提供し、アリババのプラットフォーム上で消費総額10兆元(約150兆円)を達成して、さらなるグローバル化を進めることだ。これを今後5年間の目標とし、できるだけ早く達成することを目指したい」
「長期的には、2036年までに世界の消費者20億人にサービスを提供し、1億人分の雇用を生み出して、中小企業1000万社以上が利益を生み出せるよう助けることだ。この目標を達成すべく、引き続き『グローバル化、中国の内需拡大、クラウドコンピューティングとビッグデータ』の三大戦略を堅持していきたい」
張CEOは書簡を次のように結んでいる。
「20周年に際して、アリババは『102年存続する優良企業』というビジョンを掲げる。歴史の重要な交差点に立つ我々にはさらなる使命が突きつけられている。アリババの究極の目標は、社会のために価値を創造し、社会問題をより良い方法で解決すること、そして中小企業の発展に力を貸して、社会全体が前進するためのエネルギーとなることだ。アリババのおかげで社会が良くなった、そう感じてもらいたい。社会、経済、生活が良くなれば、アリババはもっと良くなる。我々はそう確信している」
(翻訳・畠中裕子)
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