ZTE、シャオミがフロントカメラの見えないスマホを発表 新デザインとして定着か

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9月1日、ZTEが世界初のフロントカメラのレンズを画面下に埋め込んだスマホを発表すると、スマホ・IoT家電大手のシャオミ(Xiaomi、小米)もそれに続き、2021年に量産型のフロントカメラが見えないスマホを市場に投入すると発表した。

画面下レンズについては、上記2社のほか、2018年にシャオミのエコシステムの一員である「華米(Huami)」、スマホ大手のOPPO、vivo、さらにサムスンやアップルが同様の特許を公開している。しかし、量産するには、原材料、コストなどの面でまだまだ課題が多い。

レンズを目立たなくする努力

フルスクリーンディスプレイが注目され始めたのは2016年以降で、その後の数年間で各メーカーが様々な試みをしてきた。

まず、OPPOとvivoは、昇降式のフロントカメラを取り入れた。設計に違いがあるものの、最終的にはフルスクリーンディスプレイを実現した点は同じである。

右がOPPO、左がvivoの昇降式カメラ 画像は「wonda mobile」より

スライド式を採用したのはシャオミとファーウェイ傘下の「栄耀(honor)」で、2018年に正式に当該機種を発売した。さらに、背面ディスプレイを採用した機種もある。そうした例に「努比亜(Nubia Technology)」のZ20、vivoのNEXがあり、背面にディスプレイがあるため、自撮りする際は、アウトカメラを自分に向けて使うことになる。

シャオミのMIX3と努比亜のZ20 画像は公式サイトより

これらの設計は、技術的なブレークスルーとはいえず、単にカメラの位置を変更しただけのものだ。その上、昇降式やスライド式では部品が増え、埃が溜まりやすいという欠点もある。そのため、これらの設計は定着するに至らず、新しい設計としてパンチホール式が生まれた。しかし、同方式はフルスクリーンディスプレイという点から言えばむしろ後退であるため、各メーカーとも画面下レンズを開発するようになった。

画面下レンズの課題

画面下レンズの前提は、スマホのディスプレイに使われる材料の変更だ。従来のLCDから、少しずつ有機ELに変化しているのが、現在の流れである。有機ELはすべての画素が自分で発光でき、LCDのようなバックライトが不要である。その有機ELを透明にすれば、画面下にレンズを埋め込むことが可能となる。透明な有機ELについては、すでにシャオミの透明なテレビに採用されている。

有機EL開発の「維信諾(Visionox)」の画面下レンズの構成図 画像は公式サイトより

しかし、問題なのは、まだ完全に透明な有機ELができないことである。現在の透光率は5%程度であり、その上有機ELやその原材料の生産が追いついておらず、コストもまだ高い。たとえば、ZTEが発表した機種は2198元(約3万3000円)からだが、ディスプレイだけでコストの半分を占めている。そのため、チップはローエンドのSnapdragon765を使うことになった。さらに、ディスプレイが完全に透明でないため、アルゴリズムなどで写真を修正する必要があるが、それでもZTEの機種を体験した限りでは、偏色や靄がかかったような写真となっていた。

ZTEの「Axon20」定価 画像は公式サイトより

画面下レンズに関するもう一つの疑問は、そもそもレンズを画面の下に隠してまで、フルスクリーンディスプレイに拘る必要があるかどうか、である。

パンチホール型のカメラを採用した機種は、買い替えまでの期間が比較的長いことがすでにわかっている。つまり、現在の設計で十分ニーズを満たすことができるのだ。マニアでもない限り、完璧なフルスクリーンディスプレイを求めることは少なく、カメラはきれいな写真が撮れれば十分と考えるユーザーが大半だろう。

スマホ全体に関して言えば、すでに数年間大きな変革がない状態である。画面下カメラを含む各種の試みは、変革を起こすための努力として評価できるが、本当の変革を起こすには、まだ試行錯誤が必要なようだ。

(翻訳:小六)

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