世界最大の間接資材販売「W.W.Grainger」の中国子会社がMBO 独自調達プラットフォームを立ち上げ

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間接資材やその他の関連製品やサービス(MRO:Maintenance Repair and Operations)の世界最大の販売代理店である「W.W.Grainger」の中国子会社「固安捷中国(GUANJIE)」が、中国エリア元総経理の周艶華氏によるMBO(マネジメントバイアウト)を行ったことを発表した。今後は漢字名の「固安捷」というブランド名を保ったまま、独立した企業として活動する。これに伴い、同社はシリーズAで数億元(約数十億円)の資金調達を行った。リードインベスターが「創新工場(Sinovation Ventures)」で、コ・インベスターは「招商局創投(China Merchants Innovation Investment Management)」、「歌斐資産(Gopher Asset Management)」。

W.W.Graingerは1927年に米国で創業され、2006年に中国市場に参入した。MBOの決断について、周艶華氏は、米国本社が国内事業に集中し、中国事業はより多くの資金が必要になったからだとしている。MBOをしたあとも、本社が持つサプライチェーンやコンプライアンスマネジメントのノウハウを利用することができるという。

業界の課題

固安捷によると、一般的にMRO消耗品の調達のための金額は、企業にとっては全体の経費のうちのほんのわずかにすぎないが、その種類は非常に多く、3000万以上のSKUがあるという。加えて、そのうち90%以上は年に1〜2回も調達しないにも関わらず、煩雑な社内手続きが必要となるため、現場判断だけで調達すると、コンプライアンス上問題になる可能性がある。また、中小のサプライヤーから調達することが多いため、品質にばらつきがあるのも問題だ。

そのため、多くの企業はMRO消耗品の調達を専門企業に依頼するようになっている。さらに、中国は2015年からECでの調達を支援する政策を発表し、固安捷はこのようなMRO消耗品プラットフォームとしてのチャンスがあると考えている。

中国のMRO消耗品の市場規模は米国に次ぐ世界2位であり、1兆元(約15兆円)級に上る。しかし、中国市場では1%以上のシェアを持つ企業がまだなく、米国では上位3社が16%、日本では上位3社が13%を占めるのと比べれば、成長の余地は非常に大きいと言える。

固安捷の強み

固安捷は、4年間かけてサプライヤー管理システム、サプライチェーン管理システム、商品管理システム、顧客管理システム、ビッグデータセンターを開発した。これにより、デジタル化されたプラットフォームを形成し、サプライヤーとリアルタイムで製品について商談を行い、決済することができる。

また、固安捷は単なるプラットフォームではなく、商品を自社で販売する形を取る。商品の規格化を進めるため、同社はすでに300万SKUの標準データベースを作成し、今後3年以内にその数を1000万にし、すべて自社販売するという。

画像は固安捷より

顧客が使いやすいよう、固安捷は消耗品の用途や顧客の業務特徴によって、商品を検索しやすいように工夫している。システムによる商品のレコメンド、調達プランの作成、定期購入、在庫管理といったサービスも提供しており、顧客の調達コストを平均25%以上抑えることができる。

現在、固安捷の顧客は10万社を超え、リテンション率は70%だという。なかでも、大手国有企業が重要な顧客である。また、オンラインプラットフォームのほか、固安捷は調達の完全代行のようなオフラインのサービスも提供している。

企業の調達プラットフォームとして、中国には、アリババが展開する「1688.com」、EC大手「京東(JD.com)」が展開する「企業購」、スタートアップの「震坤行(Shanghai ZKH Industrial Supply)」などがある。これらのサービスとの違いについて、周艶華氏は、固安捷は単なるプラットフォームではなく、商品を自社販売しているのが特徴だと語る。また、固安捷の顧客は大型企業が多く、大企業特有の社内手続きの煩雑さを解決することを主眼に置いている。

また、To B分野における固安捷の経験はもっとも豊富で、4年間かけて開発したプラットフォームが最大の強みである。システム管理や膨大な商品管理については、W.W.Graingerの子会社である日本の株式会社モノタロウ(MonotaRO)からノウハウを学び、それをローカライズしているという。

(翻訳:小六)

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