日米中に進出を果たしたゲーミングデバイス「Razer」、アップル同様のエコシステムを目指す

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日米中に進出を果たしたゲーミングデバイス「Razer」、アップル同様のエコシステムを目指す

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世界のゲーム市場が過去5年間で年約10%の急成長を遂げる中、ゲーム周辺機器の開発、製造、販売を手掛ける「Razer(雷蛇)」の停滞が目立つ。

同社のブランドロゴは「3つの頭を持つ蛇」。流行を意識した若者向けのハイエンド製品で、コンピュータ、マウス、キーボード、イヤホンなどを取り扱うほか、エコシステムも構築している。2017年、シンガポールと米カリフォルニア州に本社を置くRazerは香港証券取引所に上場したが、3年後に株価は上場時の約4分の1まで下落した。財務報告書によると、Razerは上場以来赤字が続く。

2018年、Razerはマレーシアで電子ウォレット「Razer Pay」をリリースし、昨年末にはシンガポールでデジタルバンクの営業許可を申請した。

エコシステムや海外戦略について、ミン・リァン・タン(陳民亮)CEOにインタビューを行った。

ーーRazerが現在重視しているのはどのような製品か。エコシステムで新たな進展はあるか。
タン:Razerはハードやソフトウェアサービスの会社ではなく、エコシステムを手掛ける会社だ。サービス事業は前年比で80%成長した。東南アジア、ラテンアメリカ、中東などの新興市場でもサービスを提供している。

例えば、テンセントのバトルロイヤルゲーム「PUBG Mobile」は、Razerのチャージ式カード「Razer Gold」 でゲーム内決済ができる。Razer Goldは世界最大の仮想クレジットで、世界の約400万カ所でポイントを購入でき、中国ゲーム大手「網易(ネットイース)」、米ゲーム大手「ブリザード・エンターテイメント」のゲームにも対応している。

ーーフィンテック事業の計画や目標は。
タン:世界の若者を中心に1億人のユーザーを抱えるので、若者向けのデジタルバンクを展開したい。

元々はゲーマーがチャージをするのに便利なようにRazer Goldを始めた。その後、SpotifyやNetflixに使えるチャージ式カードをRazer Goldプラットフォームで販売できないかという話が入ってきた。最近はデジタルバンクにも取り組んでいる。

ーーRazerを定義するなら何を手掛ける会社か。ゲームコンテンツを手掛けない理由とは。
タン:ゲームコンテンツを手掛けないのは、コンテンツのライフサイクルによって業績が大きく上下するリスクにさらされたくないからだ。おかげで複数のゲーム産業チェーンの企業と提携できる。ゲーム市場が成長しさえすれば、我々も果実を享受できる。

利益全体のうち、サービスが30%を占める。通常のハードウエア会社ではここまでするのは不可能だ。この点でRazerは特殊な会社といえる。一番近いのはエコシステムを持つアップルだろう。

ーーRazerのエコシステムは資本市場に評価されていないようだが、株価低迷をどうみているか。
タン:我々は香港で上場した唯一のグローバルなIT企業で、しかも特殊な企業だ。株価は短期的な価値で変動する。我々の事業内容や財務状況を真に理解する長期投資の投資家は満足してくれている。

ーー北米、欧州、中国での現地化をそれぞれどのように実施しているのか。
タン:大事なのは社内文化の現地化だ。海外各地では現地の人間がマネジメントを行う。特定の地域のマネジメントの権限が強いということはない。

ーー良質で低価格の中国ブランドとの競争をどうみるか。
タン:Razerの戦略は、ハードではハイエンドの位置づけだ。ソフトのプラットフォームとサービスでは少額消費になるが、ゲーマーがRazer Goldで消費をしてくれれば彼らはRazerのエコシステムに入ることになる。より多くのゲーマーにエコシステムに入ってもらい、次の消費につなげたい。

ーー自身のリーダーシップとRazerの企業文化をどうみるか。
タン:個人的には、製品には高品質を求め、一切妥協しない。業務効率も高い水準を求める。

ーー今後世界のどの地域に重点を置くのか。中国での今後の計画は。
タン:北米、欧州、中国とラテンアメリカはこれまでも重要な地域だ。国により販売する製品を変えている。サービス事業では、アジア・太平洋とラテンアメリカに焦点を絞る。提携先の中国企業とも事業を拡大したい。

ーークラウドゲームがゲーム業界とゲーマーにもたらす変化は。
タン:5Gの到来はクラウドゲームに大きな衝撃を与えるだろう。これまでとは異なる製品が生まれる。我々もマイクロソフトと提携してクラウドゲーム用のコントローラーを発売している。海外では大人気で、すでに製品の新バージョンが完成している。

(翻訳・二胡)


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