ネット配車サービス「首汽約車」が数百億円調達 事業開始5年で黒字化達成

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ネット配車サービス「首汽約車」、シリーズCで数百億円調達 事業開始5年で黒字化達成

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北京を拠点にネット配車サービスを提供する「首汽約車(Shouqi Limousine & Chauffeur)」は先頃、シリーズCで数億ドル(数百億円)にのぼる資金調達を完了した。

この件について、首汽約車は公式回答を「ノーコメント」としている。

首汽約車の前回の資金調達からは3年が経過した。公開情報によると、2017年、首汽約車は1カ月間に13億元(約206億円)を調達している。これにはシリーズB+でIT大手バイドゥ(百度)、EVメーカー蔚来汽車(NIO)傘下の「蔚来資本(NIO Capital)」、「絲路金控(Silk Road Financial Holding)」傘下の「絲路華創(Silk Road Huachuang)」から調達した7億元(約111億円)が含まれている。

3年前の2017年は、まさにシェアモビリティが資本市場で最も羽振りの良かった時期だ。同年初にライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」がソフトバンクから50億ドル(約5270億円)という多額の資金調達を行ったのに続き、「神州優車(UCAR)」、首汽約車、「曹操出行(Caocao Chuxing)」など老舗配車サービスプラットフォームによる資金調達のニュースも相次いで伝えられた。最も初期に配車サービスに参入した国有資産を背景に持つサービスプラットフォームの一つである首汽約車は業界内で変革を繰り返し、ついに国内配車サービスでトップ3に食い込んだ。

資本が作り出した巨大モンスターである滴滴と違い、「正規軍」たる首汽約車は、多額の国有資産を背景に持っており、国有企業がインターネット再編の潮流にもまれることにより誕生した企業だ。この点は首汽約車にとって生得的な強みであるといえる。たとえば、首汽約車は北京など重点都市で営業許可を取得しやすく、営業許可の実質的な価値も高くなる。だが一方で国有資産を背景に持つがゆえの制約も受ける。激しい市場競争の中でのコンプライアンス重視は、往々にして輸送能力不足につながる。また首汽約車はサービス開始当初にはミドルおよびハイエンド市場を主戦場としていたため、滴滴出行のようにユーザー数や配車依頼数を急速に規模化することは容易ではなかった。

投資市場にホットマネーが絶えず流入している時期には、このような事は問題にならなかったかもしれない。だが2018年、滴滴の相乗りサービス(「順風車」)をめぐる2度の死傷事件の発生や、「易到用車(Yongche)」などの競争撤退、そしてネット配車市場自体も徐々に飽和状態に向かうのにともない、最近2年ほどはモビリティ分野の資金調達もそれほど頻繁に行われなくなった。特に2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり、「多くの企業が目標を『何とかして生き残る』にシフトするようになった」と語るネット配車トップ企業の事業責任者もいる。

今回、首汽約車が資金調達に成功した要因はおそらく収益性だろう。2020年5月、首汽約車の魏東CEOは全社員に向けた内部メールで、2019年7月にまず上海と深圳で売上総利益(粗利益)がプラスに転じたことに続き、「4月に首汽約車は中国全土で粗利益率がプラス転換し、多くの都市で黒字化した」と述べている。注目すべきは、魏東CEOが2020年第4四半期におけるEBITA(利払い前・税引き前・償却前利益)の黒字化を見込んでいることだ。

魏東CEOは内部メールの中で、首汽約車が2020年下半期に新たな会員システムを始動させることのほか、国内自動車メーカーや地方政府と協力して構築したインテリジェントコントロールシステムが下半期に一部の都市で実用化されることも明らかにした。

先月、首汽約車は事業開始から5年目の成長データを発表したばかりだ。2020年9月の時点で、首汽約車の登録ユーザー数は1億1300万人以上、加盟ドライバー数は113万人余り、サービス対象都市数は160カ所超となっている。4年目と比較すると、利用者数は同期比31.3%増、加盟ドライバー数は同32.7%増、営業都市数は同66%増となった。

企業の戦略投資部門の関係者は、ここ1年、ネット配車市場は徐々に飽和状態になりつつあるが、モビリティ分野にはまだかなりの投資機会があり、「結局、衣・食・住・交通の中で、交通は常に人々の暮らしと密接に関連し、巨大な市場となっている」と述べた。また、現在の投資家はユーザー数や配車依頼数の規模だけでなく、精細化運営能力やリスク抵抗能力、政府との良好な関係の有無についても非常に重視しているとの考えを示した。

ここ2年ほど、国有資産を背景に持つ自動車メーカーが業界の垣根を越え、続々とオンライン配車市場へ参入しているが、5年前から事業を手掛けている首汽約車の方が明らかに運営経験が豊富で、北京をはじめとする主要都市に多くのユーザー基盤を持っている。 この点も投資者に選ばれた重要な理由の一つだろう。

精細化運営の面では、この2年間、首汽約車はタクシー、海外配車、高級車、バス、バリアフリー車、都市間配車、粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)での配車、複数日送迎などの特色あるサービスの提供を開始している。2020年、同社はさらに母子、学生、結婚式向けの配車などニッチなサービスを打ち出し、市場の開拓を進めている。(翻訳:浅田雅美)

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