大企業スタートアップ注目記事

注目を浴びる量子計算技術 中国のテック企業の現在地は

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2020年は、量子計算技術が進展を遂げた1年だ。テック企業の量子計算の覇権をめぐる争いはすでに始まっている。とくに、習近平国家主席が10月16日の演説で量子計算に触れたことで、より注目度が高まっている。では、この分野の企業には、どのような動きがあるだろうか。

大手企業の動き

1、アリババ・グループ

アリババは中国でもっとも早くから量子計算について研究を始めた企業で、2015年に中国の自然科学の最高研究機関「中国科学院」と合同ラボを立ち上げた。

2017年3月のアリババの開発者大会で、アリババ・クラウドは世界初のクラウド上の量子暗号通信の実例を公表した。同年5月には、中国科学技術大学、中国科学院、アリババ量子実験室、浙江大学、中国科学院物理研究所が、世界初の従来のコンピュータより高い計算能力を持つ光量子コンピュータの開発に成功。同年9月、アリババは先端技術と基礎科学の研究機関「達摩院(DAMO)」を創設し、量子計算を主な研究課題の一つに掲げた。達摩院の量子実験室の責任者は元ミシガン大学教授の施堯耘氏。さらに、2017年にはアリババと中国科学院が共同で量子クラウドプラットフォームをローンチした。

2018年初頭、ハンガリー系アメリカ人の情報工学者マリオ・セゲディ(Mario Szegedy)氏が達摩院に加入。同年、量子実験室は量子回路シミュレーター「太章(Tai Zhang)」の開発に成功し、81個の量子ビット数、40層の回路深度を基準とするグーグルのランダム量子回路をシミュレート。2019年9月、達摩院の量子実験室は制御可能な量子ビットの開発に成功した。

今年3月、達摩院のグルーバル本部として、アリババは200億元(約3000億円)を投じ、「南湖プロジェクト」の創設を開始。ここでも量子計算を主な研究課題の一つに掲げている。6月には、アリババと世界の研究機関の交流を行う「阿里創新研究計画(Alibaba Innovative Research、AIR)」が、初めて量子計算についての研究を計画に組み入れた。

2、テンセント

テンセントは2017年から量子計算の研究を開始した。同年には、オックスフォード大学の量子計算博士の葛凌氏が、テンセントの欧州首席代表として同社に加入。

2018年には、香港中文大学の著名な量子計算科学者である張勝誉教授がテンセントに入り、量子実験室を立ち上げた。これをきっかけに、同年テンセントは「ABC2.0」プランを掲げた。AはAI、Bは「ロボティクス(Robotics)」、Cは「量子計算(Quantum Computing)」を指す。

テンセントの主な研究の方向は、量子AI、量子計算による創薬開発、科学研究用の計算プラットフォーム「SimHub」など実用面である。

3、バイドゥ(百度)

バイドゥは2018年3月に量子研究所を設立。シドニー工科大学の量子ソフトウェア及び情報センターを創設した段潤堯教授が所長を勤めた。バイドゥの研究所は主に量子アルゴリズム、量子AIの実用化、量子計算アーキテクチャーの開発を行っている。これらの技術を量子計算プラットフォームとしてローンチし、各種ハードと接続することで、幅広いシーンで量子計算をクラウド上で利用できることを目指している。

バイドゥは2019年の開発者大会で、高性能の量子パルス計算システム「量脈」を発表。今年5月に、中国初の量子機械学習開発ツール「量桨(Paddle Quantum)」を発表。9月に、AIオープンプラットフォーム「バイドゥ・ブレーン」の最新バージョン6.0を発表。ほかにも、量子計算とクラウドが深く融合した中国初のクラウドネイティブの量子計算プラットフォーム「量易伏(Quantum Leaf)」を発表した。

4、ファーウェイ

著名な量子計算の専門家である翁文康教授が、2018年にファーウェイの「データセンター技術実験室」に加入。同実験室は量子計算、量子ビットの制御、量子アルゴリズムと実用化などを主に研究している。ファーウェイは同年、量子計算シミュレーターの「HiQ 1.0」を発表した。HiQは2019年にバージョン2.0に、今年9月にバージョン3.0にアップデートされた。

スタートアップの動き

本源量子

「本源量子(Oringin Quantum)」は2017年に設立された企業である。母体は中国科学院量子情報重点実験室であり、中国の量子計算分野のトップ研究者である郭光灿氏、郭国平氏が研究を主導している。同社の目標は、フルスタックな量子計算技術の開発であり、海外のIBM社、「Rigetti」社をライバルと目している。現在の主要業務は量子チップ、量子測量と制御、量子計算ソフトウェア、量子計算クラウド、量子計算の実用化である。

知的財産専門メディアの「IPRdaily」とグローバル特許データベースの「incoPat」が共同で発表した全世界の量子計算特許保有数ランキングにおいて、本源量子は77の特許を取得し、第7位となった。上位6社はIBM、カナダ「D-Wave」、グーグル、マイクロソフト、米「Northrop Grumman」、インテルである。

中国のテック企業の量子計算開発は、米国よりも始まりが遅かった。積極的に外部との提携を行い、著名な研究者を招聘するなどしているが、まだ産業化には程遠い状態で、世界トップレベルとの差は大きい。

関連記事:注目の量子コンピューティング 代表格となる世界の大手企業とスタートアップまとめ

(翻訳:小六)

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