今年最大規模 中国系VC第二世代の代表格「高榕資本」のファンドが新たに1500億円を調達

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中国のVC(ベンチャーキャピタル)「高榕資本(Gaorong Capital)」がドル建ておよび人民元建てファンドで新たな募集を完了した。総額にして人民元100億元(約1500億円)相当を集め、次世代消費、次世代テクノロジー、企業向けサービス、メディテック分野の企業へ投資していくという。高榕資本が管理する資金は総額280億元(約4300億円)となった。

今回募集したファンドの中で第5期ドル建てファンドは11億5000万ドル(約1200億円)規模で、今年の中国で最大規模のドル建てVCファンドとなり、一部グロースファンドと比肩するほどだ。今回の募集ではわずか1カ月余りで応募超過となり、政府系ファンド、慈善ファンド、エンダウメント、ファンド・オブ・ファンズ、ファミリーオフィスなどの機関投資家がLP(リミテッドパートナー)として名を連ねた。さらにTMT(通信・メディア・テクノロジー)関連および既存産業の創業者やエグゼクティブらもLPとして重要な存在となっており、「起業家によるファンド」という高榕資本のカラーは引き続き継承されている。

このような規模感やスピード感はプライマリーマーケットを見渡しても前例が少ない。高榕資本の前期募集は2018年12月、5億ドル(約520億円)規模の募集だった。それから2年も経たずして倍規模になったということだ。今年に入り、コロナ禍に米中関係の悪化など不確定要素が重なる中、市場はドル建てファンドに対し一貫して悲観的な見方だった。しかし、最近になって資金調達を実施したファンドが相次いだことや、その調達額が下がるどころか上がっていることから、米ドルファンドに出資するLPは外野が想定した以上に自信をつけており、中国国内でトップクラスに立つGP(ジェネラルパートナー)の奪い合いを過熱させているようだ。

同社の創業パートナー張震氏によると、中国国内では新型コロナウイルスの収束に向け政府が強力な統率力を発揮したこと、また感染拡大期間中にあっても中国経済が粘り強さを見せたことで、ドル建てファンドに出資するLPは中国市場に対する信頼感を強めたという。さらに中国では人々が積極的によりよい生活を望み、次世代テクノロジーによる変革が産業の刷新をけん引おり、市場に多くの創業機会が満ちていることが伺える。

高榕資本は2014年に設立されたVCで、これまで出資した企業のうち12社が上場、20社が評価額10億ドル(約1000億円)以上のユニコーンに成長した。代表的な案件には共同購入型ECを展開する「拼多多(Pinduoduo、ナスダック上場済)」、ゲーム実況を主体としたライブ配信プラットフォーム「虎牙直播(Huya Live、ニューヨーク上場済)」、ロボット掃除機などを手がける「石頭科技(Roborocks Tech)」、画像認識技術を開発する「依図科技(YITU Technology)」、自動運転技術を開発する「Nuro」、シェアサイクルやシェアバイクを運営する「哈囉出行(Hello Global)」、中華コスメブランド「完美日記(PERFECT DIARY)」などスタープレーヤーがずらりと並ぶ。高榕資本は中国VC2.0時代において最も急速な成長を果たした組織といえる。

組織の規模が拡大する中でどのように的確な選択と優良なリターンを維持するのか?高榕資本は創業メンバーである張震氏、高翔氏、岳斌氏による当初の3人体制から50人体制にまで成長を遂げた。組織内部における分業や協業はより専業化が進み、なおかつシステム化され、常に業界のエリート人材を惹きつけ、市場の新たなトレンドや投資機会をより確実に掴めるようになっている。同時に、ミドルオフィス~バックオフィスの共同運営効率を高め、投資後支援サービスのエコシステム構築を強化し、起業家に対しきめ細やかなサービスを提供している。

投資分野については、消費関連では次世代型のEコマース、リテール、ブランドなど、テクノロジー関連ではAI、ロボティクス、チップなどハイレベルな技術を要する産業分野、さらに企業向けサービスや産業アップグレーディング関連を引き続き開拓していくという。また今期のファンドではメディテック分野を強化するという。

総合保健分野に関しては、これまでもスマートウォッチなどのヘルスケア系端末を手がける「華米科技(Huami)」やオンライン医療ポータル「平安好医生(Ping An Good Doctor)」などに出資してきた。引き続き、診断機器や医療機器、創薬、バイオテクノロジーなどを手がける核心的なメディテック企業を開拓していく。上海証券取引所に新設されたハイテク企業向け市場「科創板(スターマーケット)」にもメディテック系の企業が次々と上場しており、開設2年も経たずして上場企業数が香港市場を越えている。中でも医療機器や創薬関連が絶対的な割合を占める。
(翻訳・愛玉)

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