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かつて多くのスマホに搭載されていたLCD(液晶ディスプレイ)は、いまやフラグシップモデルから完全に消えた。ファーウェイは2018年の「Mate 20X」を最後に、LCDを使わなくなり、ずっとLCDを使い続けてきたアップルも、iPhone 12からOLED(有機ELディスプレイ)を搭載することになった。OLEDのネックである価格も下がり続けており、スマホ市場を独占する勢いだ。
では、なぜLCDは使われなくなり、OLEDの人気が高くなったのだろうか。
画質の良さ
OLEDの強みは、なんと言っても画質の良さである。OLEDはディスプレイ自体に発光源を持つため、バックライトを必要とするLCDと比べ、より高いコントラストを実現できる。現在は撮影機能を売りにするスマホが多く、写真をよりきれいに見せるために、コントラスト、彩度の高いディスプレイが必要なのである。
また、スマホで動画視聴する場合も、OLEDのほうが視野角が広く、より豊かな色彩を表現できる。
画質のほかにも、ドットごとに点灯可能なOLEDならではの強みがある。たとえば、画面ロック時にも時刻、日付、通知などの各種情報を表示可能な「Always On Display」機能は、OLEDでなければ実現できない。ほかにも、温度が氷点下になると、LCDには残像が発生しやすいが、OLEDならその心配はまったくないなどの違いがある。
もちろん、OLEDにも欠点がある。サムスン電子がOLEDを採用した当初は、色かぶりが見られていた。暗所でのちらつきによる視力への影響、画面の焼け付きなどの課題もある。これらについては、製品の品質向上と、ダークモードの導入によってある程度改善されたが、まだ完全には解決できていない。
最新のスマホに必要なディスプレイ
欠点に目をつぶってまでOLEDを採用するのには、画質以外の要因もある。スマホの軽量化、大画面化、バッテリーの持ち時間などを総合的に考えると、OLEDがもっとも合理的だからだ。
最も早くOLEDを採用したサムスン電子には、スマホのベゼルを小さくし、全面ディスプレイを導入したいという目的があった。LCDでも全面ディスプレイは可能だが、OLEDより厚いため、大容量バッテリーを搭載すると本体が厚くなってしまい、また放熱も難しくなる。そのため、最新のスマホでは軽くて薄いOLEDが選ばれるようになったのである。
遅延の少なさにおいても、OLEDの方が優れている。リフレッシュ・レートが高ければ高いほど、LCDの遅延は目立つようになる。LCDの最先端であるiPad Proでさえ、リフレッシュ・レート120Hzの環境下では遅延が見られる。もしタブレット用のOLEDのコストが下がれば、iPad ProもOLEDを採用するようになるだろう。
さらに、画面下指紋認証、画面下カメラレンズも、光をある程度透過できるOLEDにしかできない装備である。LCDで全面ディスプレイの場合、顔認証用装備かディスプレイ以外の場所に指紋認証センサーを設けなければならず、カメラレンズはディスプレイにパンチホールを開ける形でしか設置できない。
もちろん、LCDの技術改良も進んでいる。MircoLEDという技術が登場しているが、これはまさにOLEDのドットごとに発光できる特性をLCDに導入したものだ。しかし、現時点で、この技術は大型モニターでの使用にとどまっており、スマホに採用されるかどうかはまだ見通せない。
作者:雷科技(Wechat ID:leitech)、翻訳:小六)
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