バイドゥの自動運転タクシー「Apollo Go」を体験 係員同乗で速度も50キロ以下

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

バイドゥの自動運転タクシー「Apollo Go」を体験 係員同乗で速度も50キロ以下

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

10月11日夜、中国のIT大手バイドゥ(百度)が北京で自動運転タクシーサービスを始めたというニュースが流れると、中国版ツイッター「微博(Weibo)」でたちまち話題となった。バイドゥの公式情報によると、海淀区や亦庄経済開発区などのエリアにある乗車地点から無料で試乗サービスを利用できるという。

バイドゥは2018年から湖南省長沙市や広州市、河北省滄州市などの都市で自動運転のロボタクシーを試験運営している。昨年12月には同社の自動運転基盤「Apollo」が北京市で初となる自動運転車両の有人テスト走行の許可を取得した。

最新データによると、バイドゥの開発チームは北京市ですでに51万9000キロの路上テストを終えたという。今回の北京におけるサービス開始は、自動運転タクシーが一般市民にもますます身近になってきたことを意味する。

では自動運転タクシーに乗るというのはどのような体験なのだろうか。未来汽車日報(auto-time)の記者が10月12日に実際に試乗してきた。

複雑なシーンでは介入が必要となるなど課題も

バイドゥの自動運転タクシーを利用する場合、現時点では二通りの方法がある。一つは「百度地図」アプリから呼ぶ方法、もう一つはApollo GOアプリをダウンロードしてそこから呼ぶ方法だ。

今回のロボタクシー乗車地点は海淀、亦庄という2カ所のエリアに集中している。 1台につき乗客2名まで乗車可能だが、試乗は18~60歳の乗客に限られており、車を呼ぶ前に顔認証を済ませなければならない。

筆者はまず亦庄の乗車地点でApollo GOアプリを使ってロボタクシーを呼んでみたが、付近には利用可能車両が少ないと表示され、3回呼び出してみたもののいずれも失敗に終わった。そのため1.2キロ先にある別の乗車地点に移動した。

Apollo GOアプリからロボタクシーを呼ぶ (写真:未来汽車日報記者)

車両の確保に成功すると、同乗する係員から乗客が乗車地点に到着しているか確認の電話が入る。その後ロボタクシーが乗車地点に配車される。係員によると「試乗コースは2キロ前後で、最長では9キロ。サービス開始から現在までひっきりなしに予約が入っている」とのことだった。

普通のタクシーと違い車両先端にはLiDAR、ミリ波レーダー、GPSモジュールが、さらに車体には9つのカメラが取り付けてある。

ロボタクシー車内(写真:未来汽車日報記者)

乗車前には係員がまず乗客の検温を行う。車内にはセンターコンソール上方と運転席・助手席の背面に1つずつ、合計3つのディスプレイがあり、付近の車両や歩行者、自転車など周囲の道路状況をリアルタイムに表示すると共に、車両の走行軌跡や走行時の時速が表示される。ロボタクシーの最高時速は60キロだという。

乗車後、係員は運転席に着席。全行程で自動運転には介入しないが「走行の安全を確保するため、緊急事態に限って手動操作を行う」と話した。

乗客が後部座席に着席しガイダンスに従ってシートベルトを締めた後、ロボタクシーは2.5キロ離れた目的地に向かって出発した。走行中、最高時速は基本的に50キロを超えることはなく、右左折、車線変更、Uターン、歩行者の回避などの操作はどれも安定していた。

係員によると、ロボタクシーは都市のあらゆる複雑なシーンでも自動運転する能力を備えているといい、自動運転レベルはL4(特定条件下における完全自動運転)だという。自動運転の視野は360度、検知距離は240メートル、遅延は0.1秒以下だという。

約15分の走行でロボタクシーは目的地に到着したが、降車地点は路線バス乗り場でもあり人が密集していたことからスムーズに駐車できず、最終的には係員の操作で駐車を完了した。

乗車地点でタクシーを待つ乗客(写真:未来汽車日報記者)

走行中は安定していたが、バイドゥロボタクシーの問題点はまだ多い。乗車地点でタクシーを待つ人は「2つのアプリを駆使してもタクシーがなかなか捕まらない」と話した。また試乗を経験したある乗客は「車内に係員がいて操作に介入するのなら、自動運転とは言えないのではないか」と疑問を呈した。

ロボタクシーは今後数百兆円規模の市場となる見込み

改善すべき点は多いものの、バイドゥがロボタクシーにかける決意が揺らぐことはない。

この市場には大量の「金脈」が眠っているからだ。スイスの大手銀行UBS AGのアナリストによると、2030年までに世界のロボタクシー市場は毎年2兆ドル(約210兆円)以上の価値を生み出すという。

(写真:Waymo公式)

市場に大きな発展の余地があることを受け、米Waymo、Uber、Lyft、GM傘下の自動運転企業「Cruise」、テスラ、バイドゥ、中国の配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」が次々とロボタクシーに参入している。

しかしWaymoやバイドゥが現段階で行っている小規模範囲での試験運営を見ても、走行時の安全確保や任意の地点からタクシーを呼べるようにすること、さらには車両の回転率を上げることなど乗り越えるべき課題は多い。

ロボタクシーが最も見逃すことのできない課題は、安全性に対する人々の疑問だ。

独自動車部品大手「コンチネンタル(Continental AG)」が2013年に行った自動運転に関する調査によると、米国人66%が自動運転車両に対して「こわいという気持ちがある」と回答しており、50%が「自動運転技術は信頼できない」と回答している。2018年に同じ質問をしたところ、前出2つの回答の割合は共に77%にまで増加。おそらくテスラやUberなどが自動運転の走行テストを行う中で起きた交通事故が影響しているのだろう。

自動運転のロボタクシーが一般的となるまでの道のりはまだ長そうだ。どの企業が初めての成功を収めるかもまだ時間をかけて見守る必要があるだろう。
(翻訳・山口幸子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録