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スマートスピーカーが普及し、それに繋ぐためのスマート家電、つまりネットワーク・インターネットに接続する家電がいよいよ面白くなってきた。スマートスピーカーを置く場所は室内だけにとどまらず、車への搭載などもあるが、室内の話に限定する。
まず中国のスマートスピーカーのメーカーだが、アリババ(阿里巴巴)、バイドゥ(百度)、シャオミ(小米)でシェアの大半を占める。他にもテンセント(騰訊)やファーウェイ(華為)やハイアール(海爾)などが少ないシェアながら製品をリリースしている。
中国のスマートスピーカーの性能はどうか。筆者はスマートスピーカーをアマゾン、アリババ、バイドゥ、テンセント製のを所有しているが、アマゾンのAmazon echoは日本語についてやはり少々変な発音をしようがしっかり聞いて回答してくれる。一方中国のスマートスピーカーは発音がネイティブほどに上手でない筆者の中国語に対して、バイドゥが最もよく聞き取ってくれて、続いてアリババ、テンセントと続く(申し訳ないがまだシャオミ製のスマートスピーカーは使ったことがないのだ)。ネイティブの日本語によるAmazon echoと外国人発音の中国語を比較するので参考程度なのだが、中国製品でいえばAIに社運を賭けるバイドゥの製品の反応が一番よいように思えた。
各社は映像も見れてタッチパネル操作もできるディスプレイ付きのスマートスピーカーをリリースし、これもまたお手頃価格で販売している。これは売れているかというと、タオバオなどのECサイトで見てもディスプレイ無しに比べて売れ行きはよろしくない。ディスプレイのメリットがあまり出せていないし、消費者もメリットを感じ取れないのだろう。とはいえメーカー側も既存製品が売れるのをただ待つというのではなく、例えばバイドゥは声だけでなく手のジェスチャーでも操作できるディスプレイ付きスマートスピーカーを開発するなど開発に余念がない。
中国でスマートスピーカーは安価で、時には無料で入手ができる。2017年には既に「双11」セールで99元(約1500円)で売られていた上に、筆者の経験でいえば今年年初にキャリアショップでの携帯電話番号の取得の際に、アリババの「天猫精霊(Tmall Genie)」が無料でついてきた。金銭的なハードルはもはやなく、欲しくない人まで手に入っている、そんな状況なのだ。スマートスピーカーをいかに買わせるか、普及させるかではなく、どう使わせるかのフェーズに入っている。何となく買うのではなく、何ができるのか、何が聴けるのかを調べた上で買うという消費者が今後増えそうだ。
スマートスピーカーができることの一つに音声によるスマート家電のコントロールがある。音声でなく対応家電をスマートフォンでコントロールすることも可能だが、スマートスピーカーを導入すればスマートフォンの画面に向き合うことなく声でコントロールできるようになり快適になる。これはスマートスピーカーを持ったことがある人なら、音楽の再生で感じるのと同じ感覚だ。
スマートスピーカーによる家電のコントロールで代表的なのが、ライトのオンオフやカーテンの開閉やテレビのオンオフなどだ。数年前からAIに力を入れるバイドゥや天猫精霊(Tmall Genie)を普及させたいアリババが、将来のスマートスピーカーのあるライフスタイルとして、音声でコントロールする家電に囲まれた暮らしを提案していた。近年タオバオをはじめとしたECサイトでは、多数の音声に対応するライトやカーテンを見るようになり競争が発生したことで家電の音声操作が現実味を帯びてきた。双11セールでも音声でコントロールできるスマート家電が売れることだろう。
これまでの問題として、スマートホーム製品を揃えるならアリババ、バイドゥ、シャオミ各社が囲い込みを行っているので、いずれかの企業に揃えなければいけないという問題があった。ところが最近になって各企業が、赤外線リモコンの機能をもったスマートスピーカーをリリースするようになった。これによってリモコンがある家電であれば何でも対応できるようになり、メーカーの垣根を超えることができるようになった。
今後のスマートスピーカーとスマートホームだが、ヘビーユーザーのアーリーアダプターが、シャオミなりアリババなりバイドゥなりのスマートホーム製品で買いそろえるか、または新しいスマートスピーカーを調達して既存の家電を音声でコントロールすることを試し、それを口コミで広げられるかにかかっている。今年の「単身の日」「ダブルイレブン」と呼ばれる11月11日セールで新しいスマートスピーカーやスマートホーム製品が売れれば、来年と口コミでニーズが拡大していくだろう。
(作者・山谷剛史)
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