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アリババ傘下のECモール「タオバオ(淘宝)」が新たなコンテンツ機能「淘宝逛逛(Taobao Guangguang)」を開設し、大手動画サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」の投稿者に参加を呼びかけている。新機能は10月10日から一部の投稿者に向けて公開されており、内部テストが進んでいる。経済メディア「投中網」が報じた。
タオバオ側は一部のビリビリ投稿者に向けて「間もなくタオバオに新しいコンテンツフィールドが登場」とのお知らせを配信しており、新機能に大きな期待を寄せていることをうかがわせた。さらに「アクセスサポート、フォロワー獲得サポート、マンツーマン指導など一連のアカウントサービスも開始する」とのこと。
現在内部テスト中の新機能は、主に「タオバオ達人」と呼ばれるインフルエンサーに文章や動画を使って自分のお気に入り商品をPRしてもらうというもの。ソーシャル性を色濃く出したこの試みにより、これまでのライブコマースとはひと味違ったショッピング体験ができるという。
内部テスト期間中に淘宝逛逛で配信できるコンテンツは、商品を出さない純粋なコンテンツか、すでに購入している商品の情報共有に限られるという。この規約からして、あからさまなビジネス色を出したくないというタオバオの意図が透けて見える。何らかのPRをする場合も配信者がすでに購入した商品でなければならず、あからさまな商品の宣伝を回避しようとしていることが分かる。
この姿勢はビリビリのコミュニティーが持つ雰囲気とも合致する。
ビリビリは「ニコニコ動画」のように画面上を流れるコメントが特徴で、それゆえに投稿者とフォロワーとの間には他では見られないほどの信頼関係が構築されている。人気投稿者はフォロワーとの良好な関係を保つため、あからさまに購入を勧めるような宣伝行為は行わない。
ビリビリ投稿者をターゲットとしたタオバオの新機能は、人気投稿者のフォロワーをタオバオに誘導し、より多くのトラフィックを獲得することにつながるはずだ。投稿者にとってはマネタイズを図るチャンスとなり、投稿者が紹介したブランドは人気や知名度がアップする。ただ、タオバオを運営するアリババ陣営とビリビリとの間で優秀な投稿者の争奪戦が起きるのは必至だろう。
少し前にアリババ副総裁の古邁氏は取材を受け、次のように語っていた。「今の消費者は多元化しており、もはや一つのプラットフォームではニーズを満たせなくなっている。人々はショートムービー、ソーシャルEC、ビリビリなど、さまざまなものを見ている。消費者を取り込むためには、さらなる戦略が必要だ」
これまではソーシャルEC「小紅書(RED)」やショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」、中国版ツイッター「Weibo(微博)」など外部のプラットフォームで商品に興味を持った消費者が、タオバオにアクセスして購入に至るというのが主流だったが、淘宝逛逛がリリースされたことで、この全プロセスがタオバオプラットフォーム内で完結するようになる。
もしこの新機能が期待通りの成果を出せば、アリババは新たに巨大トラフィックを手にすることになる。
(翻訳・畠中裕子)
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