ロボット掃除機が1万円台から 半年で売上高16億円見込む中国新興企業の勢い 

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ロボット掃除機が1万円台から 半年で売上高16億円見込む中国新興企業の勢い 

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中国のロボット掃除機市場は今年、市場育成に対する投資額の増加により倍増すると業界専門家は分析している。今年度、複数企業の業績が拡大しており、「石頭科技(Roborock)」「科沃斯(ECOVACS)」「雲鯨智能科技(Narwal Robotics)」「追覓(DREAME)」といったブランドの関連製品がいずれも一定の成長をみせている。こうした有名企業以外にも事業や売上高の面でひそかに飛躍的な成長を遂げた企業が存在するが、「由利(UONI)」はそのうちの一社だ。

同社は今年5月に初のロボット掃除機をリリースし、翌月の売上高は約1400万元(約2億2000万円)、5~9月には約4400万元(約6億9000万円)に達した。さらに先日11月11日のシングルデーでは約5000万元(約7億8000万円)前後の売上を見込んでおり、通年での売上高は1億元(約16億円)の大台に乗る可能性が高いという。

発売半年でこうした売上高を達成できた理由として、由利のビジネス戦略、製品競争力、販売チャネルに関する強み、同社スタッフの経験との密接な関連性が挙げられると同社は分析する。

由利は現時点で2台のロボット掃除機を主製品としている。1つはレーザーセンサーによる巡回機能付き掃除ロボットで、販売価格は稼働時間に応じて1000~2000元(約1万6000円~3万1000円)となっている。もう1つはダストパック自動交換機能付き掃除ロボットで、販売価格は2000~3000元(約3万1000円~4万7000円)。同社はこのほか、ロボット掃除機による清掃シーンを想定した2種の電動モップを発売しており、販売価格は500~1000元(約8000円~1万6000円)となっている。

由利の主製品

同社は膨大な分析の結果、まずは2000元(約3万1000円)前後のロボット掃除機市場に参入した。この価格帯はミドルレンジ市場に該当し、シェアは76%前後と主な消費者が選択する最大のマーケットでもある。この価格帯を下回ると、製品の自動位置推定・ナビゲーション性能などがユーザビリティの面で劣ってくる。逆にこれより高額な製品となれば消費者は尻込みしてしまうことが多い。

由利によるロボット掃除機市場分析

主力価格帯では往々にして激しい競争に直面することになる。この価格帯では科沃斯、小米科技(シャオミ)およびシャオミ系企業が絶対的な市場シェアを獲得している。新参者である由利はデザイン美学とブランド力を頼りに、同市場のパイをいくらか奪えると考えているのだ。

これに関し、同社は2017年8月に深圳で設立・登記された際に家庭用スマート清掃用品を核心とする運営方針を確立させ、さらに「ユリ株式会社」傘下の日本および中国国内の由利(Uoni)ブランドの電化製品ジャンルを完全買収した。双方の提携以降、日本のユリ株式会社が工業設計を行い、中国国内の主体企業が製品開発、量産および販売を行っている。同社は昨年までは主に電動モップ、掃除機などの清掃用電化製品を販売していたが、今年に入り正式にロボット掃除機領域に参入した。

昨今、トラフィックはハードウエア製品の販売に重要な影響を与えている。このため、由利はECサイトとの連携を強化した上で、トラフィックを通じた複数の低コスト顧客獲得方式を模索している。そのうち最も重要な措置がアリババ傘下の「天猫(Tmall)」との高度な提携だ。さらには今年6月に新たなライブコマースを活用した販売マーケティングプランを開始し、「聚劃算(Juhuasuan)」の公式ライブ配信との提携を開始した。天猫のライブ参加により、同社は複数のイベントで約300万元(約4700万円)の売上を達成した。今年9月には「天猫国際(Tmall Global)」との戦略提携も実現している。

同社は天猫のほかにKOL(インフルエンサー)を通じた顧客獲得も重視する。創業メンバーにライフスタイルジャンルのKOLを抱えるほか、約18人のKOLとは密接な関係を構築するなどリソースの蓄積にも努めている。

こうした製品戦略や運営方式は同社のこれまでの経験と関係している。創業者の鍾搏氏はロボット掃除機を販売する「浦桑尼克(Proscenic)」の共同創業者であり、中心メンバーとしてブランド運営総責任者を務めた人物だ。ロボット掃除機業界で8年間の経験を積み、ECサイトを通じた販売戦略に長け、関連リソースも保有する。

鍾氏は今年の売上高が1億元(約16億円)を突破すると予想するが、その理由の一つとして今年は2019年の停滞期を経験した各メーカーが市場育成への投資を強化したことで、通年での市場ボリュームが倍増する見込みが立ったと述べている。由利は製品革新および販売チャネルとの提携という革新を通じ、さらなる市場ボーナスを獲得できる可能性が高まっている。

海外市場はロボット掃除機市場の成長領域の一つでもある。由利は今後、二種類のブランドを複数地域・市場で展開する手法により海外の主要EC販売チャネルであるAmazonに進出し、欧州や東南アジアなどを重点地域としていく計画だ。

業界の成長率および成長市場をめぐる要因を考慮し、同社は来年2021年の売上高を5億元(約80億円)、そのうち海外市場での売上高は約3億元(約47億円)増と見込んでいる。事業の成長によりサプライチェーンにおける商品準備や在庫確保が必要となり、いずれもキャッシュフローに影響を及ぼすため、資金調達も進めている最中だ。(翻訳・神部明果)


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