バイトダンスが検索連動型広告サービスを全面的に開始 絶対的王者のバイドゥに挑む

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大人気アプリTikTokなど運営する中国バイトダンス(字節跳動=Bytedance)」が、検索連動型広告事業を正式に開始した。これまでインフィード広告が中心だった同社は、2019年から一部のサービスで検索連動型広告を開始。そしてこのほど、バイトダンス系列のサービスすべてで同時に検索連動型広告を出稿できるプランの販売を始めた。

準備万端のバイトダンス

インフィード広告市場では、バイトダンス、バイドゥ(百度)、テンセントの3社が激しく競い合っているが、インフィード広告市場全体が年間30%以上の伸び率を保っているため、3社とも順調に事業を拡大できている。

それに対し、検索連動型広告はレッドオーシャンで、文字通り奪い合いの状態である。バイトダンス系列のサービスの検索回数の合計は1日7億回近くに上り、国内第3位である。ここに広告を連動させれば、年間100億元(約1500億円)規模の事業になる。

そのため、バイトダンスは入念に準備を整え、この市場に乗り込んだ。最初からすべてのサービスに広告を載せるのではなく、まず2019年5月にニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」で、同年7月からはショート動画プラットフォームの「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」で、それぞれ単独で検索連動型広告を開始した。複数のサービスに同時に広告を出稿できるようにしたのは、2019年11月からである。

2020年は、新型コロナ禍のため、バイトダンスの上半期の広告事業は大きな成長とはならなかったが、実力を着々と蓄えている。特に2020年8月には、元バイドゥの検索事業トップだった呉海鋒氏を招聘し、検索連動型広告のさらなる強化に邁進した。そして、2020年9月、バイトダンスは満を持して系列サービスすべてに同時に広告を出稿できるようにしたのである。

強いバイドゥ、追うバイトダンス

飛ぶ鳥を落とす勢いのバイトダンスだが、検索事業におけるバイドゥの覇権は揺るがない。これまで「搜狗(Sogou)」、「360」などの検索エンジンがバイドゥに挑戦してきたが、いずれも失敗に終わっている。

2019年のバイドゥの年間売上高は1074億元(約1兆6000億円)で、その内広告収入は781億元(約1兆2000億円)となっており、全体の72.7%を占める。2020年は新型コロナ禍で低調だったが、第3四半期には広告収入が184億元(約3000億円)に回復し、市場予想を上回った。

一方のバイトダンスの2019年の検索連動型広告の売上高は20億元(約300億円)だった。2020年から飛躍的な成長が期待されていたが、新型コロナ禍の影響で、現在の予測は年間売上高30億元(約450億円)にとどまっている。

検索連動型広告を強化すると同時に、インフィード広告も手を緩めることが出来ない。バイトダンスは11月に収益化担当チームの再編を行い、次なる競争に備えている。

モバイル検索は三つ巴

バイトダンス系列のアプリでの検索の多くは、特定の人、出来事を探すものである。「〇〇の方法」のようなハウツー型検索は、同社が苦手とする分野だ。しかし、後者は生活関連サービス、ヘルスケア、教育などのコンテンツへ誘導しやすく、広告に適しているため、バイトダンスはこの分野を改善する必要がある。

バイドゥは検索エンジンを20年間開発してきた経験があり、バイトダンスが一朝一夕で追いつけるものではない。そのため、バイトダンスは来年からインキュベーションや買収などにより、検索技術を強化しようとしている。それに伴い、2021年の旧正月の時期に、検索ワードに連動した現金リワードを提供し、検索エンジンの利用者を増やすことを検討しているという。

バイドゥとバイトダンスのほか、テンセント傘下のSNSアプリ「WeChat」の検索連動型広告も見逃せない。バイドゥはポータルサイトとして強く、バイトダンスはトラフィックと各種コンテンツでユーザーを集めている。WeChatは中国人が最もよく使う通信アプリで、公式アカウント、ミニプログラム、動画アカウントなど総合的なプラットフォームに成長している。中国のモバイル検索市場は、今や三つ巴の状態だといえる。

(翻訳:小六)

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