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中国では、2017年から無人小売のスタートアップが急増し、同年だけで93回の資金調達が行われた。しかし、数年後の今、生き残っている企業はほんの僅かだ。そのうちの1社が、宅配大手順豊(SF Express)がインキュベートした「豊e足食(feng1)」である。
豊e足食は2017年11月に設立され、店舗を持たない無人の商品棚による販売を大都市のオフィス街を中心に展開している。この事業は2019年11月に黒字となり、現在の月間売上高は1億元(約15億円)を超える。
豊e足食の共同創業者兼COOの単新寧氏によると、無人小売の運営は予想以上に複雑で、同社が現在のモデルを確立するまでに、2つの大きな変革があったという。
まず、2018年下半期からビッグデータの運用を本格的に開始したことだ。無人小売でユーザーの好みを把握するにはデータに頼るしかない。同社が導入したアルゴリズムは、月間購入回数が4〜5回あれば、当該ユーザーの好みを正確に予測することができる。この予測に基づき、次の購入に繋がるような商品やキャンペーンをプッシュする。
ビッグデータは新商品の展開においても使われている。豊e足食は毎月20都市で新商品を発売し、データによってユーザーの反響を確認する。反響のよい商品はより広い地域で販売されるようになり、宣伝も強化される。
次に、2019年5月に導入した「フルタイム店長」制度と、販売所周辺での小型倉庫の展開だ。設立当初の豊e足食は、順豊の集配所と配達員を利用し、商品補充を配達員に依頼していた。しかし、配達員は配達の傍らで作業をするため、1人あたり3〜5の商品棚しか商品補充できず、販売所が増えると対応が難しくなる。そのため、豊e足食はフルタイム店長の募集と、販売所周辺での小型倉庫の建設を始めた。エリアの月間売上高が7〜8万元(約110万円〜120万円)以上になると、フルタイム店長を配置するのが一般的だ。
現在の豊e足食の運営スタッフのうち、フルタイム店長は85%を占めており、1人あたりの月間売上高は約10万元(約150万円)で、30の商品棚を管理する。
無人小売では商品のロス率が問題になりやすいが、豊e足食はロスを必要なコストの一部と捉え、その抑制を試みてはいるが、なくそうとはしていない。物流によるロスについては、順豊の技術支援によって改善されている。窃盗によるロスは、店長巡回の強化、購入者限定のクーポンの提供、QRコードで決済後でないと開けられない商品棚の導入などで対応している。現在同社のロス率は5%以下である。
今後の豊e足食は、すでに確立したビジネスモデルに基づき、3年間で計20万カ所の販売所を開設する予定である。この規模は、通常のコンビニ2000店に相当する。
無人小売の人件費は通常のコンビニより低いが、それでも人件費は依然として豊e足食の最大のコストだ。無人化を今後どのようにさらに推進していくのかが、豊e足食につきまとう課題となるだろう。(翻訳:小六)
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