中国、人事業務の自動化進む 精度90%のAI面接サービスが数億円を調達

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中国、人事業務の自動化進む 精度90%のAI面接サービスが数億円を調達

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SaaS形式でAI動画面接サービスを提供するHR(人事)テック企業「近嶼智能(JYI)」が、エクイティファイナンスにより「黒馬基金(Dark Horse Ventures )」から数千万元(数億円)を調達した。資金は主にAIの研究開発とプロジェクトデリバリーに充て、製品のアップグレードを通じてユーザーエクスペリエンスを向上させていくという。また、資金の一部はサービス部門の設立に充て、事業展開の初期段階において先進的思考を持つ顧客に対応することで、サービス能力と市場シェアの引き上げを図る方針。

近嶼智能はAIやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)技術を駆使し、さまざまな組織に対応する新たな製品やソリューションを創造している。主力製品はSaaS形式のAI動画面接サービス「AI得賢招聘官(AI RecruiTas)」だ。

同サービスは、深層学習と全業界ナレッジグラフ「Talent DNA」のAIスコアリングモデルと、文章レベルの自然言語処理(NLP)による状況判断や会話管理モデルに基づき、精度90%以上の面接判定を可能にする。HR業界を知り尽くしたチームが優れた専門技術を活用し、面接での受け答えや挙動を定量的に評価する製品を設計した。AI得賢招聘官は、認識能力とパターン集積およびデータ蓄積を組み合わせることでコアコンピタンスを構築した。

同社の方小雷CEOは、今後は採用業界でAI活用が進み、面接案内の送信から面接、人材管理までの全プロセスが自動化されていくとの見通しを示している。

面接での受け答えや挙動を定量的に評価される

方CEOはまた、2003年のSARS流行がネット通販に変革をもたらしたように、今年初頭のCOVID-19流行は採用業界全体に大変革をもたらしたと指摘する。特に中国市場の動きは顕著だった。感染症流行前、応募者側も採用者側もオンライン面接のプロセスに不慣れだった。しかし、流行が拡大し始めると、感染予防のため採用や打ち合わせの場がオンラインへ移行した。これにより「騰訊会議(Tencent Meeting)」やZoomなどのビデオ会議ソフトが爆発的に成長した。またビデオ通話の普及により、近嶼智能などのAI面接SaaSサービスプロバイダーも製品やソリューションの検証をしやすくなった。

AI得賢招聘官は現在、オンライン教育・小売・医薬品・日用消費財・金融業界で広く使われ始めており、各業界に緊密な協力関係を持つ顧客も獲得している。市場拡大で次のステップに進む際には、検証済みのマルチモーダル・アルゴリズムをこれらの顧客に試してもらい、その結果に基づいて最適なモデルに調整する。これにより、顧客ごとにPoC(概念実証)をカスタマイズする時間が従来の1ヶ月から1週間へ大幅に短縮される。

採用効率が向上するにつれ、人事の役割は人材採用や報酬管理だけに限定されなくなった。ますます多くの企業のCEOが、人事部門にも人的資源の観点から会社の生産性向上に貢献するよう期待し始めている。しかし、人事部門の日常は人材採用に関する反復的な仕事で忙殺され、会社の戦略などを考える時間もエネルギーもないのが実情だ。

AIを導入すれば、採用プロセスの80%を自動化できる上、判定精度90%の面接が可能になり、人事部門の作業効率や存在価値を高められる。また、人事部門は従来の採用プロセスから解放されることで、組織管理により力を注ぎ、会社の戦略的意思決定を助け、組織の生産性向上に寄与できる。採用へのAI導入は、企業の採用ニーズだけでなく、HR機能変革のトレンドにも対応しているのだ。

今回の投資について黒馬基金マネージングパートナーの胡翔氏は「面接や採用の自動化は、膨大な人数を面接・採用する企業や専門技術職の採用を行う企業にとって、非常に大きな価値がある。しかし同時に、自動化の能力に対する要求も非常に高い。近嶼智能は、最先端のAI技術と人による評価システムを結合した確かなAI面接を提供できる数少ない企業だ。期待している」と述べている。(翻訳:永野倫子)

 

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