資金難の小売大手蘇寧、系列企業全株式に質権設定 質権者がアリババ関連

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12月10日、 家電量販大手で電子商取引(EC)も手掛ける「蘇寧易購(Suning.com)」などを傘下に持つ蘇寧控股集団(Suning Holdings Group)」が、12月4日付でアリババグループ系列企業「淘宝(中国)軟件公司(Tao Bao (China) Software、以下「淘宝」と略称)」を質権者として、全株式の質権を設定した。蘇寧控股は蘇寧系列企業の創業者である張近東氏を筆頭株主とする非公開企業で、傘下にスポーツ、エンタメ、ファイナンスなど、蘇寧系列の非中核事業を抱える。総株数は10万株で、資本金は10億元(約150億円)。

蘇寧控股の株式のほか、不動産デベロッパーの「蘇寧置業(Suning Real Estate)」の株式6.5万株も質権設定がなされた。蘇寧置業は同じく張氏が保有する非公開企業「蘇寧電器集団(Suning Appliance Group)」の連結子会社である。

この質権設定について、蘇寧控股は「ビジネス上の正常な協力」だと話すに留めた。また、蘇寧系列の中核をなす上場企業の「蘇寧易購(Suning.com)」に対する影響については、蘇寧控股は蘇寧易購の株式の3.98%しか保有しておらず、後者の戦略に対する実質的な影響はないと説明した。しかし、質権設定によって調達した資金の使途、金額、金利などについてはすべてコメントをしておらず、市場関係者からは疑念の声が上がっている。

蘇寧易購の第3四半期の財務レポートによると、同社の筆頭株主は張近東氏で、持株比率は20.96%。淘宝と蘇寧電器がそれぞれ19.9%の持株比率でそれに続く。張氏はまた、蘇寧電器の株式の半分を保有するため、たとえ質権設定後の蘇寧控股のキャッシュ・フローに問題が発生したとしても、蘇寧易購の支配権を失うことはない。したがって、蘇寧易購に対する影響は確かに限定的だと言える。

それでも、市場関係者は蘇寧易購の債務構造と返済能力に懸念を抱く。第3四半期の財務レポートを見ると、同社の長期負債残高が減少し、短期負債比率が増加していることがわかる。第3四半期末時点での短期負債は280億元(約4200億円)で、前年同期比で48.23%増加した。企業のファンダメンタルズがさらに悪化すれば、債権者による取り付けの可能性もあり、そうなれば資金がショートしてしまう恐れもある。

返済能力の悪化は、蘇寧易購の本業が低迷しているためだ。2017〜2019年の3年間、蘇寧易購の経営活動によるキャッシュ・フローはともにマイナスとなり、金額はそれぞれ-66.05億元(約1000億円)、-138.7億元(約2000億円)、-178.6億元(約2700億円)だった。帳簿上の利益はプラスを維持したままだが、それは資産売却益によるものだ。

低迷が続くなか、今年9月以降、蘇寧系列企業について、銀行団と債務問題を協議、すべてのオンライン事業の譲渡を検討など、ネガティブな噂が飛び交うようになった。これらはいずれも噂の域を出ていないが、確実なものとして、蘇寧易購が不動産大手の「恒大集団(Evergrande Group)」へ投資した200億元(約3000億円)が回収できていないことを挙げることができる。このことが、蘇寧易購のキャッシュ・フローを苦しめている要因だと言える。

こうした悪材料の影響で、蘇寧易購の株価は連日暴落している。そうしたなか、投資家心理の下支えと債務残高を減らすため、同社は合計30億元(約450億円)の株式買い戻し計画を発表し、現時点ですでに10億元(約150億円)分を買い戻した。今回明らかになった質権設定も、態勢を立て直す自助努力の一環だ。

資本市場を通じての自助努力も行われている。11月30日夜、蘇寧易購が株式の70%を保有する子会社「雲網万店」がシリーズAで60億元(約900億円)を調達したと発表。リード・インベスターは国有資産を背景に持つ「深創投(Shenzhen Capital Group)」だ。雲網万店は設立からわずか19日で250億元(約3800億円)の評価額となったことになる。蘇寧易購は同社を科創板に上場させ、さらに資金調達を行う予定だ。

(翻訳:小六)

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