テスラ、中国市場に特化したEVの実現に向け大規模求人を展開

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中国市場に特化したEV(電気自動車)を製造するため、米EV大手テスラは大々的に人材集めを開始したようだ。

今月11日、ロイターは関係者からの情報として、テスラが中国で設計ディレクターを探しており、上海か北京にマルチファンクションを備えたスタジオを設立する予定だと報じた。中国ユーザーの嗜好に沿ったデザインの車両を実現する目的だという。

関係者によると、テスラのHR部門の責任者や複数のヘッドハンティング会社は過去4カ月にわたり、20年以上のキャリアを有し、かつ米中双方のカルチャーに精通した車両デザイナーを探している。中国人の好みをよく理解し、米中文化のギャップを埋められるスキルが条件だという。テスラでグローバルチーフデザイナーを務めるフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏がすでに数人の候補者と面接した模様だ。中国でディレクターの採用に成功すれば、引き続いて中国に新設するデザインスタジオのスタッフも20人ほどの募集枠で採用を進めていくという。ここで完成したデザインは3Dデータとして米カリフォルニアに常駐する車両エンジニアに引き継がれる可能性がある。

36Kr傘下の自動車専門メディア「未来汽車日報」がこの件に関してテスラに確認を求めたところ、前述した求人情報はオープンにされており、「確かにローカルスタッフの採用をより一層進めている」と認めた。さらに今月11日、テスラのバイスプレジデントで大中華圏の対政府業務などを担当するグレース・タオ(陶琳)氏が、中国版ツイッターの微博(Weibo)で大々的に人材募集を行った。募集職種はソフトウェア、動力系、電子系、素材、車体関連のエンジニアで、就業場所は上海市の臨港エリアとなっている。さらにデザイン系の職種も募集されており、チーフデザイナー、チーフコンセプトクリエイター、カラーデザインやコンテンツのマネージャー、運営マネージャーなどを募っている。就業場所は北京および上海だ。

テスラが中国向けにローカライズした車種の設計・製造を実行に移す可能性が濃厚になってきた。

昨年、SUV「Model Y」プロジェクトの始動セレモニーとコンパクトセダン「Model 3」中国製造版の納車セレモニーを兼ねたイベントで、テスラのイーロン・マスクCEOは「中国の車両設計能力はすばらしい。中国ローカルでEVの設計ができるなら、それはとても“クールな”出来事だ」と述べている。同氏はさらに社内に向け、中国は最も重要なEV市場だと述べたという。

昨年、テスラのバッテリー開発事業に関する報告会「Battery Day(バッテリー・デー)」で、マスクCEOは2万5000ドル(約260万円)以下のEVを3年以内に発表すると言明している。おそらくはModel 3よりも小型の車種になるだろう。また、テスラの関係者は「中国市場に特化したEVは低コストな車種になる」と予想している。

画像:テスラ公式サイトより

自動車業界の調査を手がける中国のコンサル企業Automotive Foresightの責任者Yale Zhang氏は、テスラのコンパクトカーは中国だけでなく、アジアのその他の国や欧州でもすぐれた成績を出すだろうとしており、「トヨタのカローラやフォルクスワーゲンのゴルフのような車種は深刻な打撃を被る可能性もある」と述べた。

新車の具体的な発表時期は未定だが、テスラは中国市場でさらなるローカリゼーションを進めている。大手ECサイト「天猫(Tmall)」へ旗艦店を出店したのをはじめ、ショート動画プラットフォームの「快手(Kuaishou)」や「抖音(Douyin、TikTok中国版)」とも提携しており、中国人ユーザーのための「中国モデル」を構築している。

充電に関してもローカル化が加速している。今月10日には中国本土で700カ所目となるスーパーチャージャー(充電スタンド)が北京市郊外のスキー場にオープンした。テスラの従業員によると、このスーパーチャージャーも中国での生産が始まり、年内にも開業まで漕ぎ着ける予定だという。

中国乗用車協会(CPCA)の11日付の最新データによると、テスラが2020年に中国で販売した車両は13万7459台で、世界全体の納車台数の27.52%を占めた。

(翻訳・愛玉)

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