10万件超の保険商品をAIがリコメンド、懸念事項も事前に把握 中国新興開発

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中国スタートアップ企業「風平智能科技(Full Peace)」傘下の「保険査査(Baoxianchacha)」が1000万元(約16億円)超の資金調達を完了した。今回の資金は製品改良およびAIを活用したインシュアテック(保険+テクノロジー)のスマートリコメンドエンジンの開発に充てられるという。

昨今、「80後」「90後」と呼ばれる80~90年代生まれの中国の若者層が保険契約の主体となっており、彼らは主にインターネットを使って情報入手と購入を行う。たとえ保険代理業者から勧められた商品だとしても、まずはインターネット上で調べ理解したうえで購入するかを決める。

現在は大量のネット保険プラットフォームが市場に現れたことで激しい競争が繰り広げられており、そのサービスや体験は絶えず向上している。とはいえ、実のところプラットフォームでの商品販売をめぐる根本的な理論やモデルは変わっておらず、保険情報と顧客ニーズが乖離する現象はかえって深刻化している。典型例を挙げると、保険会社や代理プラットフォームの多くは消費者が手数料の高い自社商品を購入するよう誘導する。また検索エンジンでヒットする保険商品に関する有効な情報は非常に少ない。さらには消費者が同一企業・同一保険の新旧版の相違点を比べることさえ難しいという現実がある。

これを受け、2019年創業の保険査査はAIを活用したスマートリコメンド型の保険情報・意思決定プラットフォームを構築することで、保険会社や外交員を中心とするこれまでの保険市場から、ユーザー中心の保険市場へと転換させたいと考えた。同社の林洪祥CEOは中国の著名ネット保険プラットフォーム「大特保(Datebao)」の共同創業者を務めた人物だ。

写真:保険査査

保険査査は現時点で、世界の保険会社200社および市場に出回る10万件超の保険商品情報を収録しており、蓄積してきた1000万件超の優良コンテンツを全ネットワーク形式に対応した約100件のプラットフォーム内に配置している。ユーザーは同社のプラットフォームで各種保険商品や保険会社の基本情報を検索できるほか、経験豊富なアドバイザーのコメントやユーザー評価も閲覧できる。さらに加入検討中の保険で最もトラブルの生じやすい条項については、AIスマート検出機能を通じて事前に把握することも可能だ。

親会社の風平智能によれば、保険査査のAIスマート検出機能は機械学習技術を通じて過去の保険賠償査定をめぐる大量の紛争案件を分析し、紛争の生じやすい約300件の論点を抽象化することで、いわば保険商品の全面的な「人間ドック」を実施し、トラブルの生じやすい条項をラベリングしているという。

同社が重点的に開発したAIスマートリコメンド機能は、コンプライアンスにのっとり数万件の商品の中からユーザーのニーズに基づく最適な保険プランをカスタマイズしてくれる。このリコメンドはバイドウ(百度)などの検索エンジンや既存の保険代理業者のプラットフォームとは異なり、広告費または高額なマージンにより特定商品に偏った結果を表示することはない。保険査査が顧客にとってベストな製品以外をマッチングさせることはないのだ。

林CEOは、同社のサービス開始から1年あまりの期間に、販促予算ゼロという状況の中で大勢の顧客の獲得に成功し、プラットフォームのアクセス数は1000万件を超えたと語る。この結果、ネット保険や既存保険会社の顧客獲得経路となることで一時は損益分岐点への到達を実現した。

しかし同社は現在、こうした収益モデルを採っていない。顧客紹介を行うと、代理業者が手段構わず保険を販売する、さらには販売のために顧客を騙すといった状況が発生するため、サービスのクオリティをコントロールできないのだという。

林CEOはこう語る。「この結果、当社は毎月数十万元(数百万円)の売上げを失い、我々のようなベンチャー企業にとってはプレッシャーとなった。しかし我々は困難だとしても長期的で正しい事業に取り組み、いかに顧客に良いサービスを提供できるか思案し、答えを出していきたい」。同社は今後、引き続きユーザー数とアクセス量の拡大に努めるが、現時点では収益問題は考慮に入れず、合法的に小範囲での商業化を模索していく。
(翻訳・神部明果)


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