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マクドナルドは今年初め、中国でバーチャルキャラクターの「開心姐姐」をリリースした。昨年8月にはアリババ系EC「天猫(Tmall)」が、「易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)」(アイドルグループ「TFBOYS」メンバー)のアバターとなる「千喵」をイメージキャラクターに起用した。千喵というバーチャルIP(知的財産)を育てるため、天猫はアプリ上に「LXSH平行世界(パラレルワールド)」と名付けたバーチャルスペースを開設。ここでファンやネットユーザーは、千喵を応援したり、写真撮影、チャットを行うことができる。
千喵のリリース後、アクセス数は55億に上り、約5000万人のユーザーがLXSH平行世界を訪れたという。
「Z世代のインフルエンサー」となっているバーチャルアイドル「Lil Miquela(リル・ミケーラ)」はインスタグラムで数百万人のフォロワーを抱え、シャネル、プラダ、シュプリーム、カルバン・クラインといった世界的ブランドと提携しただけでなく、米国ではサムスン製スマホのイメージキャラクターにもなった。
中国のネットユーザーにとってなじみ深いバーチャルシンガーの「洛天依(ルォ・テンイ)」は、ケンタッキーやミリンダ、ピザハットなどのイメージキャラクターを務めた。業界関係者によれば、洛天依や「初音ミク」といった初代バーチャルアイドルの報酬は100万元(約1600万円)を超えるという。
ビジネス上の安心感
なぜ、バーチャルアイドルが頻繁に企業のイメージキャラクターに起用されるのか。
広告代理店「Carat中国」は「SNSが使える今は、一般大衆が芸能人やブランドに対するネガティブな評価を発信しやすい。この問題を解決する良い方法はミスが極めて少ないバーチャルアイドルの起用だ。彼らは永遠に若くエネルギッシュで道を踏み外すこともない」と説明する。
こうしたメリットは企業に「ビジネス上の安心感」をもたらし、企業のイメージ、ブランド力、ターゲット顧客とのつながり全てにおいてプラスとなる。
成功までは持久戦
中国の動画配信大手「愛奇芸(iQIYI)」が発表した「2019年バーチャルアイドル・ウォッチリポート」によると、中国でバーチャルアイドルをフォロー中もしくはフォロー検討中の人は3億9000万人に上る。二次元セグメントの規模は年々拡大し、なかでも1995年以降生まれと2005年以降生まれのユーザーに対する浸透率は64%に達するという。
企業はバーチャルなイメージキャラクターを使ってバーチャルアイドルと同様に若者市場の開拓を狙う。しかし、バーチャルキャラクターを作る際の「障壁」もいくつかある。
◇インタラクティブ技術
インタラクティブ技術がまだ十分に発達していないため、バーチャルキャラクターは商品を紹介できるが、実物や消費者とのインタラクティブ能力が乏しい。人のように商品の全容を伝えられない上、人気配信者のように消費者と親しくやり取りすることもできない。
◇資金
業界関係者は、バーチャルアイドルの養成に必要な資金は1人のアイドルを育てるより高いと指摘する。バーチャルアイドルの楽曲制作費は1曲当たり200万元(約3200万円)かかるという。人気シンガーを目指そうとすれば、音声制作からライブ開催までに少なくとも数千万元(数億円)を要するため、中小企業には負担が重く、大手でも様々なことに気を配らなければならない。
◇影響力
フォロワーを数多く抱えるバーチャルアイドルをイメージキャラクターに起用する場合を除いて、企業が自作するバーチャルキャラクターの影響力は弱く、メインブランドの単なる「影」となりがちで、最初から消費者に大きな影響力を及ぼすことは難しい。
これらを踏まえると、バーチャルキャラクターが成功するには、技術に加え企業や消費者の後押しも必要で、様々な関係者を巻き込んだ持久戦となるだろう。
作者:新零售商業評論(ID:xinlingshou1001)、響馬
(翻訳・神戸三四郎)
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