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旧暦大晦日に中国国営局・中央電視台(CCTV)が例年放送する年越し特番「春晩聯歓晩会(以下、春晩)」で、数年前から恒例となっているモバイル決済アプリを用いた「お年玉配布キャンペーン」について、今年はTikTokで知られるバイトダンス(字節跳動)が独占パートナーとしてキャンペーンを取り仕切った。バイトダンスがキャンペーンを運営するのは二度目。2019年の初回はキャンペーンを契機として、傘下のショート動画アプリ「抖音(Douyin、TikTok本国版)」のデイリーアクティブユーザー(DAU)を4億人に増やした。2年後の今回はすでにDAUが6億人に達しており、新規ユーザー数を大きく伸ばす機会にはならなそうだ。
公式データによると、抖音が春晚で展開したお年玉キャンペーンへの参加回数はのべ703億回だった。抖音は昨年、新サービスとしてECプラットフォームやタイムライン機能をローンチしており、春晩ではこれらをPRすることとなった。
旧歴の元日にあたる12日時点で、抖音では7500万人が「年賀」動画を投稿、1800万人が友だちとチームを組んでお年玉を獲得している。DAU6億人に対してこれらの数字はかなり少ないが、これまでSNSとしての機能が手薄だった抖音にとっては新たな出発点だ。
何よりもPRしたかったSNS機能
11日の午後8時から翌12日の午前0時30分にかけて放送された春晩で、抖音は5回にわたり「紅包雨(お年玉バラ撒きタイム)」を展開した。視聴者が獲得できるお年玉の最高額は回を重ねるごとに跳ね上がっていく。
抖音が今回の春晚でスポットライトを当てたのは、新たに拡充しつつあるSNS機能だ。春晚の司会者も複数回にわたり、抖音の動画を通じて新年のあいさつを送り合う「エア年賀」をPRした。抖音はこれに先立って「エア年賀」用のエフェクトやミニゲームを50以上もリリースし、新年の祝意を伝える遠隔手段としてショート動画を活用するようアピールしている。
抖音はこうしたSNS的活用法以外にも、新しくリリースしたばかりの電子ウォレット「抖音支付(Douyin Pay)」やECプラットフォーム「抖音小店(Douyin Xiaodian)」を大々的にPRしてくるものと考えられていたが、春晚で展開されたお年玉キャンペーンでは抖音支付を使ったお年玉の引き出し方法や、抖音小店で取り扱うお正月商品について触れた以外に、両者を特段大きく取り上げることはなかった。
抖音が旧正月期間に放出するお年玉は総額20億元(約330億円)。春晚の放送中に配布した12億元(約200億円)以外に、さまざまな企画を通じて8億元(約130億円)を配布する。親しい友人同士で参加するお年玉獲得イベントや、動画を投稿すると参加できるお年玉獲得イベント、ライブ配信や「同城視頻(ご近所動画)」を視聴することで参加できるお年玉獲得イベントなどだ。
中でも友だち同士で参加するお年玉獲得イベントや、動画投稿で参加できるお年玉獲得イベントは、SNSの要素が非常に色濃い。前者は5人の友だちでグループを作ると参加できる企画で、後者は動画を投稿することで1日に最大3回、お年玉を獲得できる企画だ。これらのイベントを通じ、一般ユーザーが動画を通じて相互の交流を活発にすることを目的としている。また、同城視頻のお年玉企画は、同じエリアに住む人同士の交友関係を推進する意味合いを持つ。
抖音が公開したデータによると、動画で新年のあいさつを送る「エア年賀」の総再生回数はのべ506億回。アプリ内で表示されるリアルタイムデータによると、これまでにエア年賀を投稿したユーザーは7500万人以上で、友だちと参加するお年玉イベントに応募したのは2500万人だ。
SNSにかける野心
昨年9月に抖音が初リリースした「朋友(友だち)」機能は、テキストや画像、動画を通じて近況を共有できるもので、一般的なSNSのタイムラインなどに相当するものだ。リリース半年もたっていないため、機能も宣伝体制も未熟で、春晩は改めてテコ入れを図る絶好の機会となった。幅広い視聴者に利用を促すだけでなく、実際に利用したユーザーの評価や意見を吸い上げられるからだ。
テック関連のニュース媒体やイベントPRを手がける中国の「極客公園(Geek Park)」が主催する「極客公園創新大会2021(Geek Park Innovation Festival 2021)」に抖音を統括する張楠氏が登壇した際も、抖音のSNS機能について詳しく解説した。抖音の利用率が上がるにつれ、より多くのユーザーが抖音を使って自身の日常生活を記録するようになったと述べている。
抖音が春晚に際して行った公式発表でも同氏はSNS機能の現状を報告。毎日半数のユーザーが抖音で友だちの投稿をチェックし、互いにコミュニケーションを図っているとのデータを示した。
バイトダンスが取り組んでいるSNS方面のチャレンジはまだ顕著な成果を生み出してはいない。抖音は強力なレコメンデーションアルゴリズムと惹きのあるコンテンツで成長してきたが、人と人とのつながりが薄い。スケールメリットに頼る典型的なプロダクトだからだ。これからコンテンツを活用してSNSを成立させていくのは一種の持久戦といえる。
(翻訳・愛玉)
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