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北京時間2月9日夜10時30分、クラウド通信サービスプロバイダーの「容聯雲通訊(Cloopen、Yuntongxun)、以下「容聯」と略称」がニューヨーク市場に上場した。取引が始まるとすぐにサーキット・ブレーカーが発動し、2月10日の終値は200%上昇の48ドル(約5000円)、時価総額は76億ドル(約8000億円)超となった。
IPO前の容聯は複数の世界的な投資会社から資金調達しており、筆頭株主の「Main Access Limited」の持ち株比率が21.56%、セコイア・キャピタル・チャイナの持ち株比率が20.75%だった。
2013年創業の容聯は中国で最も早くクラウド通信サービスを始めた企業の一つであり、現時点で中国最大のクラウド通信プロバイダーでもある。主な事業は法人向けのSMS、音声通話、クラウドコミュニケーションセンター、リッチコミュニケーションサービスである。2020年9月30日時点での従業員数は1000人以上で、1万2000超のアクティブ顧客を持つ。顧客のリテンションレートは95%以上で、EC、教育、金融、生活関連サービスを中心としている。
すべての通信手段を統合したプラットフォーム
インターネットを使った通信が今日ほど普及していなかった時代には、コミュニケーションのメインはSMSや電話であり、社内では専用の内線を使っていた。その時代に誕生したのが「Arvaya」、「Genesys」などの大手通信サービスプロバイダーだ。その後のクラウド・コンピューティングの発展で、ボイスチャット、動画などの通信手段が定着した。新しい通信手段は従来のものと同様に通信キャリアによって運営されており、それを利用する企業にとっては、数多あるキャリアの中から選択し、各種機能をスムーズに統合させるのは非常に大変な作業である。
そこで、容聯のようなサービスプロバイダーが登場する。同社はキャリアが提供する通信サービスをAPIとして統合させ、それをPaaS(Platform as a Service)の形で企業が簡単に利用できるようにする。開発者や企業がそのAPIを社内Web、デスクトップ、アプリなどに乗せれば、そこに集約されている通信サービスを使用できるようになる。料金は使用量に応じて徴収する。
このようなクラウド通信サービスプロバイダーはさらに「CPaaS(音声、SMS)」、「CCaaS(クラウドコミュニケーションセンター)」、「UCaaS(リッチコミュニケーション、オンライン会議)」に細分化され、大半の企業はどれか一つに特化しているが、容聯は3種類とも提供している。
上場目論見書によると、容聯の2018年、2019年の売上高はそれぞれ5億元(約80億円)と 6.5億元(約105億円)だった。2020年の9月までの売上高は5.09億元(約81億円)で、前年同期比で19.4%伸びた。容聯の売上高は第4四半期が最も高いため、2020年の年間売上高が7億元(約110億円)超になることは間違いなく、売上高規模は中国最大となる。テンセント、アリババ、シャオミ、バイドゥ、「京東(JD.com)」など著名な企業も同社のサービスを利用している。
中国の「Twilio」になれるか
2016年に上場した米国のクラウド通信プラットフォーム「Twilio」は、上場当日に時価総額が92%上がり、その後も高騰が続いている。この記事を執筆している時点の時価総額は600億ドル(約6兆3000億円)超で、5年足らずで50倍となった。
容聯のライバルとしては、「声網(Agora)」を挙げることができる。声網はリッチコミュニケーションに特化していたが、容聯の上場前にIM(インスタントメッセンジャー)を手掛ける「環信(easemob)」を買収した。声網はライブ配信やゲームなど個人向けサービスがメインで、容聯は法人向け中心だが、声網が新たな市場に進出する可能性は排除できず、容聯にとって一定のプレッシャーとなるだろう。
それでも、市場全体が拡大基調にあるため、容聯の成長は大いに期待できる。中国国内のクラウド通信の市場規模は2015年〜2019年の間に21.7%の年平均成長率を記録し、市場規模は357億元(約5700億円)に達した。2024年には1015億元(約1兆6000億円)に上ると予想されている。中国以外の市場について、調査会社の「艾瑞諮詢(iResearch)」によると、2019年の市場規模は24.5億ドル(約2600億円)であったが、5Gの普及に伴い2023年に133.5億ドル(約1兆4000億円)になるという。現在中国のクラウド通信の普及率はまだ低く、設備の交換サイクルに入った企業も多いため、容聯の未来は明るいと言える。
(翻訳・小六)
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