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ショート動画アプリTikTokなどを運営するバイトダンス(字節跳動)がEコマース事業の本部を上海に置くことが25日にわかった。
現在、北京に置かれている同事業部は昨年末から上海への移転を計画している。製品開発や運営を含めた事業全体を上海で統括し、人材拡充も現地で進める。同事業部の関係者も36Krの取材に対してこれを事実と認め、Eコマース関連のリソースが豊富な上海地区に本部を置くとした。北京や杭州なども支部としてこれまでどおり業務を続けるという。
バイトダンスのEコマース事業部は現在約2500人の従業員を抱えている。うち約2000人が製品運営、500人が研究開発に携わっているという。研究開発人員で上海へ異動を望んでいるメンバーは少なく、関係者の話によれば、異動の是非は従業員の意思に任されているようだ。
バイトダンスはすでに昨年時点で、3年以内に上海支社の従業員を2万人にまで増やし、Eコマース事業本部を上海に移すとしていた。事情に詳しい関係者によれば、上海市政府はバイトダンスが税制上の優遇措置を受けることで合意しており、これがEコマース事業本部を上海に移転させる決定につながったという。しかし、税制上の理由だけではこれほどまでに移転を急ぐ必要はないはずだ。Eコマース事業を速く軌道に載せたい、また関連人材を上海や杭州で集めたいとの考えからスピードを要していると考えられる。
実際、中国最大規模のEコマース事業を展開するアリババグループのあるプロダクトマネージャーの元にはバイトダンスからのスカウトが届いたという。
企業が新規事業に着手するとき、まずすべきことは人材集めだ。2019年初め、バイトダンスは杭州市内、アリババ本社からわずか5kmの場所にR&Dセンターを設立し、昨年にはEコマース事業を格上げしている。超大手企業が特定の事業分野で優れた人材を独占すれば、他企業は人材募集に苦心するようになり、ライバル会社から引き抜きを行うのは必然だ。社独自のEコマース事業をいち早く確立したいバイトダンスにとっては、Eコマース大手のアリババや拼多多(Pinduoduo)が本拠地とする杭州や上海に狩り場を定めるのは当然といえる。
中国のビジネスニュースメディア晩点(LatePost)によると、バイトダンスが運営するショート動画アプリ「抖音(TikTok本国版)」の2020年のGMV(流通取引総額)は5000億元(約8兆2300億円)を突破しており、前年の3倍以上となった。しかし、そのうちの3500億元(約5兆7600億円)は、タオバオ(淘宝網)や京東商城(JD.com)など外部プラットフォームに遷移して行われた取引によるものであり、独自プラットフォームの「抖音小店(Douyin Xiaodian)」で行われた取引が占める割合は一部だ。なお、今年の目標GMVは1兆元(約16兆4500億円)としているが、これはEコマース企業として中国国内で時価総額第2位の拼多多の年間GMVと同額だ。
ショート動画アプリというコンテンツプラットフォームを活用したEコマース体制を構築しようと試みるバイトダンスだが、業務執行体制をどう固めるかが課題になるだろう。コンテンツ事業とEコマース事業では耐障害性が異なり、業務に求められる精度も違ってくる。これまでコンテンツ事業に関わってきた従業員が、Eコマースのような弾力性の低い業務にどのように適応するかが一つの壁になるだろう。
サプライチェーン、商品管理、組織マネジメントなど多くのチャレンジが待っている。目標GMVを達成するには潤沢な人的リソースが必要になるだろう。(翻訳・愛玉)
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