VRヘッドセット「Pico」が40億円の資金調達 狙うは急成長する個人向け市場

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VRヘッドセットを開発する「Pico」がシリーズB+で2.42億元(約40億円)を調達したことがわかった。

出資者は「基石資本(CoStone Capital)」「深圳市伊敦伝媒投資基金(Shenzhen City Yidun Media Investment Fund)」、建設銀行傘下の投資ファンド「建銀国際(CCB International)」と「建銀蘇州科創基金」だ。調達した資金は技術開発、コンテンツ開発、個人向け市場の開拓に充てられる。この資金調達により、シリーズBとB+でのPicoの資金調達額は4.35億元(約70億円)となった。

Picoは2015年創業で、VRヘッドマウントディスプレイに特化した企業だ。製品は「Neo」と「G」の2シリーズだ。Neoシリーズは6DoF(DoFはDepth of Fieldの略で3次元において取り得る動きの自由度を指す。6DoFでは頭の上下左右前後の動きを検知)で、ゲームでの使用に適し、Gシリーズは3DoF(頭の回転と傾きのみを検知)で、動画視聴に向いている。Picoの周宏偉CEOによると、ゲームユーザーのロイヤリティは動画ユーザーより高いため、長期的にはNeoシリーズの成長に期待しているという。

独自技術でVRの課題を克服

周CEOによると、Picoは今年第2四半期に新製品の「Neo 3」を発売する予定で、Neo 3では独自開発のインタラクション技術によって性能が大きく向上するという。

またNeo 3では、いわゆる「VR酔い」を大きく軽減させることに成功した。これはユーザーの動きと映像の間の遅延を抑えただけでなく、ディスプレイのリフレッシュ・レート、デバイスの計算力、アルゴリズムなどの改善によって実現したものだ。

VRデバイスの小型化と軽量化も進んでおり、Picoは中核部品の小型化によって、ヘッドマウントディスプレイ全体の重さを約100gに抑え、1〜2年以内に量産化できると見ている。

本体の改善のほか、同社はコンテンツ開発にも注力している。Picoには専門のコンテンツ運営チームがあり、コンテンツ製作者のためのオープンプラットフォームを立ち上げている。ユーザーがプラットフォーム上のコンテンツを購入した場合、売上の70%が製作者の収入になる。

ヘッドマウントディスプレイ本体の計算力だけでは、重いコンテンツの計算ができないため、Picoは通信キャリアやクラウド技術を開発する企業と提携し、クラウド上でコンテンツを利用できるようにしている。ただし、通信の遅延という課題があるため、このサービスは現時点では法人向けのみとなっている。

急成長するVR市場で個人向けを重要視

Picoは法人、個人両方に向けて事業を展開している。法人向けではオンライン教育、オンライン診療、オンライン展示会が主なシーンだ。法人向け事業は同社の売上高の2/3を占め、これまで年平均で50%成長している。

個人向け事業も30%〜50%のスピードで成長しているが、これまでは市場全体がまだ未成熟だった。最近になってようやくVRデバイスとコンテンツの増加によって価格がやや安くなり、一部の消費者が定着してきた。さらなる普及にはあと1〜2年要すると見られ、デバイスの価格は2000元〜3000元(約3万2000円〜約4万8000円)になると周CEOは見ている。

5Gなどの通信インフラとVR技術の向上で、VRはまもなく急成長期に入ると見られている。米調査会社IDCの予測によれば、2020年〜2023年の全世界のVR製品の出荷台数は年平均で38%増え、2023年には3300万台に達するという。なかでもVRヘッドマウントディスプレイの出荷台数は最も多く、業界全体の成長率を上回ると予想されている。

このような市場に対し、Picoは法人向けと個人向けを別々の事業部に分けて対応し、個人向けにより注力していこうとしている。技術開発では、小型化、高解像度、インタラクション技術をメインに進める予定だ。コンテンツにおいては、ゲーム、ソーシャル機能、フィットネスなどのシーンごとに専門チームを立ち上げ、細分化されたニーズに応えていく。

(翻訳・小六)

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