上海、新エネルギー車企業の誘致に本腰 中国「デトロイト」を目指す

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上海はこれまで新エネルギー車に対して環境を整え、企業や投資の誘致を継続して行ってきたが、ここにきて新エネルギー車で中国の「デトロイト」を目指すという上海の決意がはっきりと形になって現れてきた。

2月25日、「上海市における新エネルギー車産業発展を加速するための実施計画(2021-2025年)」が発表された。この計画は2025年を1つの節目として、野心的な目標を掲げている。計画では2025年までに上海における新エネルギー車の生産額を3500億元(約5兆9000億円)以上にし、上海市全体における自動車製造業の生産額の割合を35%以上に増やし、上海の新エネルギー車生産台数を年間120万台以上にすることを目指している。

上海政府の計画によると2025年までに個人が新たに購入する自動車の中で純電気自動車(BEV)の占める割合を50%に引き上げ、公用車や公共交通では新エネルギー車の比率を80%以上に、オンライン予約可能なタクシーは50%以上にするとしている。燃料電池自動車(FCV)を1万台導入し、70カ所を超える水素ステーションを建設する予定だ。

これに対して、2020年の中国全体の新エネルギー車の総生産台数は136万6000台だった。国務院が発表した「新エネルギー自動車産業発展計画(2021-2035年)」によると、2025年までに新エネルギー車の販売台数は新車販売台数の20%前後を占め、500-600万台になると見込まれている。ここから計算すると上海の新エネルギー車の生産台数は、2025年には全国シェアの2割を超えることになる。

上海は目標の達成のために新エネルギー車分野の優秀な人材を国内外から招致し支援を行うとしている。招致した人材に対しては、関連規定に従い上海の戸籍申請を認め、様々な優遇策を適用する。

トップが掛け声を発するより先に上海の自動車関連企業の動きはすでに水面下で加速している。

新興EVメーカー「理想汽車(Li Auto)」は先日、上海に研究開発センターを設立すると発表した。発表によると同センターは主にインテリジェントな電気自動車に関する先端技術の研究開発を行うとのことで、同社がリリースを予定している純電気自動車モデルと大きく関連しているとみられている。同じく新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」はグローバル拠点を、「威馬汽車(WM Motor)」は本部と研究開発センターをすでに上海に構えている。上海自由貿易試験区の臨港新区にはテスラの「ギガファクトリー」もある。

自動運転用のAIチップを開発する「地平線機器人(Horizon Robotics)」は、2017年に自動運転の研究開発センターを上海に設立し、さらに車載AIチップのグローバル研究開発本部とコネクテッドカーのコンピューティングプラットフォームのグローバル拠点を構え、上海との結びつきを深めている。

上海臨港新区のある政府関係者は「上海には成熟した優遇政策と産業チェーンにおける優位性があり、新エネルギー車産業を呼び込む力は非常に強い。特にテスラを誘致してから、関連企業にとって上海は非常に魅力的な場所となった」と語る。

中国の中心的な経済都市であり、かつては第一の工業都市であった上海にとって、自動車は常に柱となる産業だった。自動車産業の「新四化(電動化、スマート化、コネクティッド化、共有化という4 つの変化)」の波の中で、これまでガソリン車が中心だった上海の自動車産業は、バッテリー、自動運転、コネクテッドカーなどのハイテク分野へ軸足を移し始めている。

提供:臨港新区管理委員会

前述の政府関係者によると臨港新区では今後、新エネルギーの「三電(動力電池、駆動モーター、電気制御システム)」分野に対して「的確な企業誘致」を行うとのこと。現在臨港新区では、テスラ、上海汽車グループのブランド「栄威(Roewe)」などの関連企業が60社を突破し、2020年の産業規模は600億元(約1兆円)を超える見込みだ。計画によると2025年までに新区における新エネルギー車の総生産額目標は1200億元(約2兆円)で、新区にとっては1000億元(約1兆7000億円)を突破する初の産業となる見込みだ。

このような背景の下で上海における新エネルギー車の台数は徐々に増えている。上海の自動車生産台数は2020年に264万6800台となり、全国シェアの10.5%を占めた。産業全体の生産額に占める自動車産業の比率は前年比9.3%増の6735億700万元(約11兆3000億円)となった。新エネルギー車の生産台数は前年比190%増の23万8600万台、生産額は同比170%増の663億6400万元(約1兆1000億円)に達した。中でも新エネルギー車全体の販売台数に占める純電気自動車の比率は、2018年の29%から2020年の63%へと大幅に伸びている。

2020年末までに上海では37万カ所以上の充電スタンドが設置された。新エネルギー車と充電スタンドの比率は約1.1:1(1カ所の充電スタンドに対して新エネルギー車1.1台)で全国水準の3:1(1カ所の充電スタンドに対して新エネルギー車3台)を大きく上回る数となっている。このうち市内の共用および専用の充電スポットは10万カ所を超え、外環路の内側では半径1kmのカバー率が91.8%、外環路の外側では半径2kmのカバー率が63%となっている。

これ以外に関連政策も絶えず更新されている。新エネルギー車の応用、水素の充填、充電、電池交換に関する基準と監督管理制度が整備され、新エネルギー車の規模拡大を下支えしている。

「江淮汽車(JAC)」と「安凱客車(Ankai)」を抱える安徽省合肥市は2020年にNIOを誘致し、独フォルクスワーゲンと提携し、「零跑汽車(Leap Motor)」への出資も行った。新興EVメーカーも老舗自動車企業もすべて抱え込もうとする合肥の姿勢は「今最も勢いのあるベンチャーキャピタル」とも言われている。フォルクスワーゲンのヘルベルト・ディースCEOは、安徽省に電気自動車の拠点を確立するために助力することを明言している。

合肥から500km離れた上海も財力に任せて電気自動車産業の誘致を推し進めている。各地の政府が新エネルギー車企業を誘致するために「軍備拡張」を始めているなかで、どこが新エネルギー車時代の「デトロイト」になるだろうか。
(翻訳・普洱)

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