中国のAI関連論文引用数が米国を抜くーースタンフォード大学「AIインデックスリポート」

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米スタンフォード大学が222ページに及ぶ「2021年度AIインデックスリポート」を発表した。十年にわたるAI(人工知能)技術と産業の発展についての分析と解説を行っている。

AIインデックスリポートは、AI研究者や産業界のAI従事者ならば毎年読む価値のあるリポートだとされている。スタンフォード大学は2017年から4年連続で同リポートを発表している。AIに関するものを隅々まで網羅し、データも詳細かつ正確であるため、好評を博している。

2021年度のリポートの内容は、AIに関する学術研究や技術動向、実施分野、国家政策、地域格差、進学・就業、倫理面など多岐にわたっている。マッキンゼー・アンド・カンパニーやグーグルなどの企業のほか「OpenAI」などの研究機関も同リポートの観点がはっきりしていることなどを理由に支持を表明している。

このリポートでは、AI産業の現状と発展に関する9つのポイントを明らかにし、向こう10年のAI発展の動向について洞察している。

リポートの9つのポイント

1.医薬関連の研究開発におけるAIへの投資が大きく成長。中でも、2020年は薬品、ガン、分子の研究開発などの分野への投資額が最も多く、前年比4.5倍増の計138億ドル(約1兆5000億円)となった。

2.AI産業が大きく変化。北米地域におけるAI関連の博士課程修了者が産業界で就業する割合は2010年にはわずか44.4%に過ぎなかったが、2020年には65%まで伸びた。

3.AIがすべてのものを生成。AIによりテキストや音声、動画などが生成されている。多くの状況では、AIが生成したものかどうかを見極めるのは難しい。

4.人種の差が顕著。2019年、米国ではAI関連の博士課程修了者のうち45%が白人、2.4%がアフリカ系、3.2%がヒスパニック系だった。

5.中国のAI関連論文の引用数が米国を初めて上回る。AI関連論文の発表件数では2004年に一時米国に追いついたことがあったが、2017年にトップの座についた。

6.米国での博士課程修了者のほとんどが留学生で、卒業後は米国にとどまっている。2019年、米国のAI関連の博士課程修了者のうち留学生の比率が前年比4.3%増の64.3%まで上昇した。うち81.8%が米国にとどまり、8.6%が米国以外で職を求めている。

7.スマート制御技術がより手軽かつ低価格になったことで、その応用が拡大。画像分類、顔認証、動画分析、音声認識などスマート制御に必要な技術が2020年に大きく発展した。

8.AI倫理における基準とコンセンサスの欠如。一部分野においてAI倫理規範を制定している団体・組織があるものの、評価を判断することのできる基準はまだない。また、一般市民は、AI倫理は産業の発展よりも重要だと認識している。

9.AIは米国議会でも関心を集めている。第116回議会では史上最もAIに注目が集まり、AIが取り上げられた回数は第115回議会の3倍ほど多くなった。

中国のAI技術の研究開発は世界的な影響力を明らかに増している。中国は世界で最もAIの応用シーンが多い国ともなっている。とはいえ、AI倫理や人材育成などにおいては再認識が必要な時期にさしかかっている。世界各国がAI競争のまっただ中にある。競争の視点も学術成果がメインであった初期段階から、産業主導による多角的な競争へと変わりつつある。

作者:「智東西(WeChat ID:zhidxcom)」
(翻訳:lumu)

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