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プロパティマネジメント(不動産管理代行)企業の「愛物管(AIPM)」がプレシリーズAの資金調達を行ったことがわかった。出資者は「藍馳創投(Bluerun Ventures)」。調達した資金は事業拡大と技術開発に充てられる。
2017年創業の愛物管は、「デジタル+プロパティマネジメント」の手法で、住宅以外の施設を対象にプロパティマネジメントサービスを提供する。ハイクオリティ、低コスト、データの可視化が特徴だ。
プロパティマネジメントは数兆元(数十兆円)規模の市場だが、技術革新はそれほど進んでいない。既存企業はいずれも人件費の高騰、サービス提供可能範囲が限定的といった課題に悩まされ、一人あたりの年間売上高は15万元(約260万円)だ。同じく労働集約型のフードデリバリー業界と比較すると、一人あたりの年間売上高は数十分の一程度となる。
愛物管の創業者の滕一帆CEOによると、これらの課題の本質を突き詰めれば、次の2点に集約される。まず作業の標準化ができていないことだ。各社とも業務ガイドラインのようなものを作成しているが、現場作業がその通りに行われているかどうかを確認することが難しく、実際は標準化されていないことが多い。次に、現場監督の効率の悪さである。現場作業の品質を数値化させて管理することが難しいため、人間による直接確認が中心となる。そのことにより、現場監督のコストがプロパティマネジメントサービス全体のコストの30%以上を占めるのが現状だ。
これらの課題に対し、愛物管はデジタルシステムで業務の標準化、効率の向上を実現し、それらの施策により管理可能な範囲を大きく拡大させている。同社のデジタルシステムは主に次の2つの機能を持つ。
まず、業務内容の数値化である。同社が管理する床面積6万㎡のあるオフィスビルの清掃業務を例に見てみよう。数値化した結果、当該物件での業務は、清掃が1日2万1300回、清掃員29名、清掃ポイントが412カ所だということが判明した。こうした数値に基づいて、各地点にどれだけの人員がおり、清掃頻度はどれくらいかがわかるようになり、毎月実情に応じた調整が可能になった。
次に、AIで作業員の給与を正確に計算することである。愛物管は作業現場にIoT設備を導入し、作業員の実労働時間、出勤率、サービスの完成度などを集計し、自動的に報酬を計算する。このシステムにより現場監督のコストを70%削減することができ、作業員管理の効率も向上した。上述のオフィスビルでは、清掃員の実労働時間が1日2.87時間から5.5〜6時間に伸び、サービスの完成度が40%から95%に高まった。その結果、オフィスビル全体の作業効率は130%以上改善した。
愛物管の料金は月払いで、通常数万〜十数万元(数十万円〜数百万円)だ。現在の契約期間は2〜5年間であり、既存契約の金額は数百万元〜数千万元(数千万円〜数億円)ということになる。
2020年の愛物管の売上高は1億元(約17億円)を超え、前年の25倍となった。顧客の多様化も進んでおり、オフィスビルのほか、商業施設、総合施設、学校、ホテルなどの管理も手掛けるようになった。顧客には「保利集団(China Poly Group Corporation)」、「奥園集団(Aoyuan Group)」、「尚東控股(Topeast)」、「雅生活集団(Agile Group)」などの大手不動産会社や、「貴州電力設計研究院」のような専門性の高い施設もある。2021年の売上高も1億元(約17億円)超と予想されている。
愛物管の既存契約の95%が建物の総合管理業務で、一人あたりの年間売上高は70万元(約1200万円)に上り、従来のプロパティマネジメント企業の5倍近くになる。また、現時点では同社と同じ手法の企業はなく、従来の管理体制を取る企業が主な競合相手である。
(翻訳・小六)
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