ビリビリ動画、ゲーム配信プラットフォーム「TapTap」の運営会社に130億円の出資 その狙いは

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4月1日、ビリビリ動画が「心動網絡(X.D.Network)」に9.6億香港ドル(約130億円)の戦略的投資をしたことがわかった。これによりビリビリ動画は心動網絡の株式の4.72%を保有することになる。アリババも1.55億香港ドル(約22億円)で心動網絡の株式の0.76%を取得した。これらの情報を受け、心動網絡の株価は22.34%の急騰を見せ、1株57.5香港ドル(約800円)となった。

心動網絡は2002年創業のゲーム会社で、複数の有名ゲームを開発またはパブリッシングしている。それらの商品以上に注目されているのが、ゲーム配信プラットフォームの「TapTap」だ。TapTapの最大の特徴は、すべての収益を広告でまかない、プラットフォーム上で配信したゲームの売上から手数料を全く取らないことである。

ゲーム配信の巨大市場

中国では2012年から2016年にかけて国産スマホの販売が急増しており、ユーザーたちはスマホメーカーのアプリストアを利用するのが一般的だった。そうした状況のなかで、ファーウェイ、「OPPO」、「vivo」など各社が2014年に同盟を組み、アプリストアでのゲームの売上の手数料率を一律50%と定め、2020年時点でもこの比率は変わっていない。そして、Android端末は中国で8割近いシェアを占めるため、手数料だけで巨大な市場となっている。

スマホゲームの各配信チャネルの手数料率

それに不満を持ったのがゲーム会社だ。配信チャネルにおいてスマホメーカーに頼るしかない2014年と異なり、今は複数のチャネルがある。そのことによりゲーム会社とスマホメーカーの力関係が変化し始めた。それを象徴するのが2020年8月に起きた人気ゲーム『フォートナイト』を開発した「Epic Games」とアップルの対立だ。中国国内でも同様の事態が発生しており、2020年9月には、人気ゲーム『万国覚醒(Rise of Kingdoms)』と『原神(Genshin)』がファーウェイ、「OPPO」、「vivo」、シャオミなどのスマホ大手のアプリストアで配信せず、TapTapで配信することになった。今年1月1日には、ファーウェイとテンセントの手数料率をめぐる交渉が決裂したため、ファーウェイのアプリストアからテンセントのゲームが消えた。

こうした出来事の要因の一つがゲームの配信チャネルの多様化だ。調査会社「易観(Analysys)」の『2020年中国モバイルゲーム市場年度分析』によると、ゲームの販売チャネルをスマホメーカーのアプリストア、サードパーティのアプリストア、ゲーム専門の配信プラットフォームの3つに分けると、専門配信プラットフォームの成長率が明らかに高い。

『2020中国モバイルゲーム市場年度分析』

なかでも心動網絡のTapTapは好調で、2020年の月間アクティブユーザーは平均で2570万人となり、前年比で43.7%増え、ゲームコミュニティの新規スレッド数は580万で、前年比64%増となった。この急成長はまだまだ続くだろう。もちろん、コミュニティの規模が拡大すれば、どのようにすればゲーム愛好家が好む雰囲気を残せるのか、運営コストの高騰にどう対応するのかという課題もつきまとうため、これだけで心動網絡の未来は安泰だと断言はできない。

ビリビリ動画の狙い

では、なぜビリビリ動画は心動網絡への巨額の投資を決めたのか。モバイルゲームはビリビリ動画の重要な事業の一つだが、その売上比率は低下している。今年、香港でナスダックに続く重複上場した当日に、同社の陳睿董事長は、「ゲーム事業の売上比率がなぜ低下しているのか」と問わた際「ゲーム以外の事業が順調に成長できているため」だと説明した。

確かにそれは事実である。しかし、ビリビリ動画のゲーム事業に課題がないわけではない。2020年は『原神』の共同運営に参加できたため、ゲーム事業の売上高は好調だったが、なかなか自社開発の人気ゲームを生み出せない状況だ。パブリッシングにおいても、『プリンセスコネクト!Re:Dive』に多額の宣伝費をかけたが、数年前の『Fate/Grand Order』ほどの成功にはいたっていない。一方、『原神』を開発した「米哈遊(MiHoYo)」の昨年の売上高はビリビリ動画のゲーム事業を超えている。オリジナルの人気ゲームの収益力がどれだけ高いかがわかるだろう。

自社に人気ゲームがないなら投資するしかない。ビリビリ動画からすれば、オリジナルゲームを持ち、テンセント、ネットイースの系列企業ではなく、且つ株価がそれほど高くない心動網絡は適切な投資対象だ。

またTapTap自体も魅力的だ。『原神』はTapTapで配信したため、共同運営に参加したビリビリ動画としてはすでに心動網絡と順調な提携をしていることになる。今回の投資によって、今後ゲームの共同開発、販売チャネルの開拓、コンテンツ制作、コミュニティの運営でも協力する可能性が出てきた。そうなれば、ゲームの販売チャネルはさらに大きく変わり、いずれゲーム市場全体を変えるうねりになるかもしれない。

(翻訳・小六)

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