グーグルの戦略を追随 シャオミ、「カメラ推し」スマホで逆襲を図る

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グーグルの戦略を追随 シャオミ、「カメラ推し」スマホで逆襲を図る

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販売数は振るわなかったが、多大な影響力を奮ったスマートフォンが2017年10月、世に出た。

その数週間前に発表されたiPhone Xの熱狂には及ばず、米国内でもほとんど知られていなかったが、Android機の戦局を変えたスマートフォンだ。

そのスマートフォンとは、GoogleのPixel 2。

背面にシングルカメラを搭載するのみだが、デュアルカメラを搭載する他機種よりも高品質な写真が撮れ、デジタルカメラの性能を評価するDxOMarkで99というハイスコアをはじき出し、同時期にリリースされたiPhone Xを上回った。

本物のカメラには劣るはずのスマートフォンのカメラが、なぜ業界基準を超えられるような性能を実現できたのだろうか。

Googleは自主開発したチップと画像処理アルゴリズムを駆使した。Pixel 2は画像処理に秀でた独自のプロセッサーGoogle Visual Coreを搭載し、画像処理アルゴリズムのパフォーマンスを最大化させている。それからのGoogleは、スマートフォン向け画像処理プロセッサーを破竹の勢いで進化させていく。

時を同じくして、海を隔てた中国ではスマートフォンメーカーがこぞって搭載カメラの数を競う戦いを繰り広げていた。同時に、スマートフォン向けプロセッサーの国産化は暗礁に乗り上げていた。シャオミ(Xiaomi)が自社のスマートフォンに搭載した独自のSoC「澎湃(Surge)」も、1機種に実装した後はさっぱり音沙汰がなくなった。

独自開発プロセッサーが日の目を見る

Surgeを搭載した初のスマートフォンMi 5cが2017年2月に発売されてからの4年間、シャオミはSurgeを搭載した製品をリリースしていない。そのため、シャオミはチップ開発を断念したとみられていた。

しかし、先月末に行われた同社の新製品発表会でSurgeはカムバックを果たした。Surgeはスマートフォン向けSoCとしてでなく、ISP(イメージシグナルプロセッサー)として再登場。シャオミ初の折りたたみ式フォマートフォンとなるMi MIX FOLDに「澎湃 C1(Surge C1)」として搭載されている。

SoCがスマートフォンの頭脳であるなら、ISPは視神経といえる。ISPはカメラが撮影する画像に処理を加え、ノイズを除去したりシャープネスを上げたりする役割を持つ。スマートフォンに搭載できるイメージセンサーは体積的に限界があるため、ISPが画質を決める重大要素となるのだ。

画像生成の質を支えるのは各社が開発する独自のアルゴリズムだ。アルゴリズムの実力を最大限発揮するには、これを最適化するISPが必須となる。

シャオミの雷軍CEOが製品発表会で紹介した内容によると、Surge C1はデュアルフィルター構成で、高周波数帯と低周波数帯の信号を並行処理するため、処理効率を100%高めた。自主開発のアルゴリズムと協調し、画像の基礎となる最も重要な「3A(AF,AWB,AE)」のパフォーマンスを大々的に上げている。

■AF(オートフォーカス):暗所、小さな被写体におけるフォーカス機能を大幅に改善
■AWB(ホワイトバランス最適化):複雑な環境光にも完全対応
■AE(自動露出):より的確に動作

Pixel 2にも画像処理に特化したGoogle Visual Coreが搭載されたように、ハードウェアそのものは高スペックでなくとも、Mi MIX FOLDは最高の撮影体験が提供できるというわけだ。

話題性を売りとしてきたシャオミは近年、カメラ性能も話題づくりに一役買うことを意識し、スマートフォンに占めるカメラの存在感をより強調している。独自開発のSoCを放棄してでもカメラ性能を追求しているのだ。これは4年前にGoogleが採った戦略と同じだ。

画像エンジニア1000人がかりで

スマートフォンの撮影機能をめぐる競争は、完全にセンサーから「コンピューテーショナルフォトグラフィ(計算写真学)」に戦場を移した。

Pixel 2の登場が世界のメーカーに示したことは「独自のアルゴリズムとISPがあれば、スマートフォンというレッドオーシャンでも道は拓ける」ということだ。

AI関連の技術で世界最強のテック企業であるGoogleは、画像処理アルゴリズムの開発に数年をかけ、最終的に驚くべき高品質な画像生成をスマートフォンで成し遂げた。

シャオミの雷CEOは2020年に開催された開発者向けのイベントで、シャオミのスマートフォンは撮影技術で大きな進化を遂げたと述べ、その理由として4年前から画像関連ソフトの開発を強化した点を挙げている。同社は2016年4月、コアコンポーネントを手がける部署にカメラ専門のユニットを設けており、2018年5月にはこれを独立した部署として格上げした。当初は122人だったカメラ開発部署は、現在では1000人体制となっており、将来的には2000人にまで拡大する計画だという。

画像に特化した投資が徐々に実を結び、シャオミは昨年、DxOMarkに最も長期間ランクインするスマートフォンブランドとなっている。

作者:WeChat公式アカウント「量子位(ID:QbitAI)」、辺策魚羊
(翻訳・愛玉)

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