世界を席巻した人気ゲーム『原神』、開発元「miHoYo」の運営力低下でトラブル続き

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世界を席巻した人気ゲーム『原神』、開発元「miHoYo」の運営力低下でトラブル続き

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調査会社の「Sensor Tower」はこのほど、中国のスマホゲームパブリッシャーの2021年4月におけるApp StoreとGoogle Playでの売上高ランキングを公表した。注目すべきは「米哈遊(miHoYo)」の順位の変動だ。人気ゲーム『原神(GENSHIN)』の成功で売上高が一気に中国第3位に躍り出た同社は、最新のランキングでは第5位にとどまった。その原因はどこにあるのだろうか。

4月の中国スマホゲームパブリッシャー売上高ランキング 画像はSensor Towerより

崩壊した『崩壊3rd』

4月25日、男が米哈遊の創業者を刃物で殺害しようとして逮捕されたというニュースが流れた。取り調べに対し男は、同社の海外でのプロモーションに不満を持ったため犯行に及んだと供述した。

男の言うプロモーションとは、サービス開始から4年以上経つ米哈遊の人気ゲーム『崩壊3rd』内のイベントのことだ。ゲーム内の人気女性キャラクターが海外サーバーではバニーガールのコスチュームを身につけたのに対し、同時期の中国国内サーバーでは清純な花嫁衣装だった。中国国内のプレイヤーはこれを「キャラ崩壊」と見なして抗議し、ゲームを辞める人が続出した。

こうした不満の声に対し、米哈遊は4月22日に謝罪声明を発表し、同イベントに関する動画を削除したが、謝罪したのが海外サーバーのイベントが予定通りに終了したあとだったこと、動画を削除した理由を「プレイヤーからの要請に応えて」とし、自社のミスに言及がなかったことなどから、誠意がないと受け取られ、逆にさらに炎上した。

米哈遊の謝罪声明 『崩壊3rd』の公式twitterアカウントより

トラブル続きの『原神』

『崩壊3rd』をめぐる混乱も収まる気配がないなかで、米哈遊は業績を支える柱である『原神』のバージョン1.5の最新情報をライブ配信で公開した。しかし、視聴者の反応は芳しくなく、「つまらない」というコメントが多数見られた。

その原因は、『原神』の内部テストに参加したプレイヤーがアップデート情報を外部に漏らしたことにある。また、ゲーム内のコードを解読し情報を入手しようとするプレイヤーもいる。こうした行為はかねてから存在しているが、米哈遊はそれに対しまだ有効な対策を打ち出せていない。

『原神』はまた、キャラデザインに人種差別の疑いがあるとして、海外で問題視されている。Twitterには「BOYCOTTGENSHIN(ボイコット原神)」というハッシュタグがあるほどだ。これらの声に対し米哈遊はコメントするどころか、twitterの公式アカウントのコメント機能を停止するなど、誠意がないと見なされかねない行動をとっている。

さらに、『原神』にはゲーム中の課金をめぐるトラブルもある。中国の消費者の苦情を集めるプラットフォーム「黒猫投訴」で検索すると、今年4月だけで子供が保護者に無断で『原神』に課金し、保護者が返金を求めても応じてもらえなかったという苦情が十数件ある。『原神』には未成年者のプレイ時間を制限できる設定がなく、課金時の二段階認証などもない。こうした設定が未成年者の課金を助長していると批判されている。

ゲームとしての『原神』が成功したのは間違いない。しかし、魅力的なゲームやキャラでプレイヤーを虜にしたのなら、プレイヤーの気持ちを大事にした運営を行わなければならない。特に米哈遊のような積極的に海外展開する企業なら、文化の違いも考慮する必要がある。ゲーム開発の技術に優れ、自社のスローガンを「ギークが世界を救う」とするほどの米哈遊だが、より大きく成長するためには、技術だけでは不十分なのだ。

(翻訳・小六)

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