ファーウェイ、EV販売開始。スマホショップ5000店がショールームに

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

ファーウェイ、EV販売開始。スマホショップ5000店がショールームに

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

既報のとおり、ファーウェイが自動車販売に踏み出そうとしている。同社常務董事でコンシューマー事業部CEOを務める余承東(リチャード・ユー)氏は先月、上海中心部にある南京路のグローバル旗艦店に姿を現し、自動車販売についての計画を明らかにした。「SERES SF5(賽力斯SF5)」が最初の車種として選ばれ、販売価格はハイスペック4WDモデルで24万6800元(約420万円)、2WDモデルで21万6800元(約370万円)で5月中に納車の予定。4月下旬からすでに予約も開始されており、全国のファーウェイ旗艦店では試乗も可能だ。

ファーウェイはこれまで、スマートカーをめぐる各種関連技術を通じて自動車メーカーの「いいクルマづくり」の一助となるべく奮闘してきた。シャオミやアップルといった同業他社が立て続けに自動車製造に漕ぎ出した今、ファーウェイが目を付けたチャンスとは果たしてどのようなものだろうか。

実店舗は5000カ所、クルマを売らない理由などない

ファーウェイの輪番董事長を務める徐直軍氏は今年のグローバルアナリスト大会で、今年の同社の目標が依然として「生き残る」ことだと率直に語った。さらに上述の余氏も、同社の自動車販売は携帯事業の落ち込みによる利益減少の影響を緩和するためであると明言している。

米国による制裁の影響により、同社の昨年の携帯事業は多大な打撃を受けている。IT専門調査会社IDCのデータによれば、同社の世界販売台数は前年比21.5%減の1億8900万台となっている。この影響によりコンシューマー事業の売上高は4829億元(約8兆2100億円)と前年比3.3%の微増に終わった。2019年が前年比34%の大幅増だったのと比べると大幅な落ち込みといえる。

さらに深刻なのは、米国の制裁が依然として解除されていないという点だ。米国商務省は昨年8月、ファーウェイの関連会社152社に対し、世界中のいかなる企業も米国のソフトウエアまたは設備により製造された半導体を販売することを一切禁止するとした。

余氏は、スマートフォンの販売落ち込みを唯一挽回できるのがスマートEVであると考える。「スマートEVの販売台数をスマートフォンと同列に語ることはできないものの、単価でいえば大きな違いがある」

あるアナリストによれば、ファーウェイの自動車販売は自社の販売チャネルネットワークを存続させるためでもあるという。アップル(Apple)製品に詳しい「​天風国際証券(TF International Securities)」の著名アナリスト郭明錤(Ming-Chi Kuo)氏は、米国の制裁下において、ファーウェイの携帯事業をめぐるシチュエーションは良くて市場シェアの低下、反対に最悪のシチュエーションとしてはスマートフォン市場からの撤退が挙げられると述べた。つまり、半導体の問題が解決できなければ同事業では販売が一切できなくなる可能性があるのだ。

画像:ファーウェイ公式サイト

販売ネットワークはまさにファーウェイの自動車販売にとって最大のアドバンテージであるといえる。

ある情報によれば、中国大陸のショールームおよびサービスセンターの数はテスラで約180カ所、また中国版テスラと呼ばれる新興EVメーカー「NIO(蔚来)」では226カ所にとどまる。ベンツ、BMW、アウディのような既存自動車メーカーでさえ、中国国内4Sショップはいずれも600カ所前後となっている。

これに対し、ファーウェイの実店舗数はBMW、ベンツ、テスラなどの自動車ブランドとは全く桁違いのレベルだ。余氏によれば、同社の旗艦店は世界各国に17カ所(うち5カ所は建設中)、中国国内には5000カ所以上のラグジュアリーショールームがあり、全都市を網羅する上に6万カ所を超えるサービス拠点を抱えている。

「自動車の販売チャネルが整えば、同社は自動車の購入者に直接接触することができるようになり、ユーザーを理解し、彼らの趣向を把握し、ソフトウエアやハードウエアの製造、さらには将来的に着手する可能性のある自動車製造事業に向けたデータや経験を蓄積できる」と自動車業界アナリストの陳信鴻氏は語る。

SERES5がなぜ最初の販売モデルに?

当初、ファーウェイのHIスマート自動車ソリューションを搭載した北京汽車集団傘下のEV車種「アルファS(阿爾法S)」が最初の販売モデルとして有望視されていたが、無名のSERES5が今回選ばれたのはなぜだろうか。

実のところ、ファーウェイとSERESとの提携はファーウェイのDriveONE、HUAWEI HiCAR、HUAWEI Soundをめぐり2019年から始まっていた。今年3月にはファーウェイ傘下の「華為終端有限公司」とSERESブランドの親会社である「重慶小康工業集団」が提携覚書を締結しており、新エネ車領域における提携に関して模索していくとしていた。

余氏は、自社とSERESの提携を「製造業とソフトウエア・ハードウエアの電子化による互恵的産物」であるとみている。両者の提携におけるファーウェイの役割は単なる販売チャネルにとどまらず、自動車の設計や品質管理にも参与していくという。

画像:ファーウェイ公式サイト

SERES SF5はレンジエクステンダー型ハイブリッドモデルで、モーター駆動に加え4気筒1.5Tエンジンを搭載している。純粋な電気走行モードにおいて180km(NEDCモード)、最長で1000kmの航続距離を実現している。余氏はこうしたエクステンダー技術の採用について、消費者の充電に関する懸念を解消する最適解だと述べている。

作者:未来汽車日報( WeChat ID:auto-time) 丁唯一
(翻訳・神部明果)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録