自動運転トラック開発の「TuSimple」が上場後初の決算、赤字が膨らむも見通しは明るい

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自動運転トラック開発の「TuSimple」が上場後初の決算、赤字が膨らむも見通しは明るい

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北京時間5月11日、自動運転技術開発分野での初の上場企業である「図森未来(TuSimple)」が2021年第1四半期の財務レポートを発表した。赤字額が前年同期の2580万ドル(約28億円)から3.85億ドル(約420億円)に急増したことなどにより、発表を受けて株価は0.54%下がり、37.090ドル(約4000円)となった。

それでも、モルガン・スタンレー、JPモルガンなどが図森未来の今後の業績に楽観的な見通しを示し、JPモルガンは図森未来の目標株価を55ドル(約6000円)に設定した。

開発費の高騰による赤字

2021年第1四半期、図森未来の売上高は前年比264%増、前期比28%増の94.4万ドル(約1億円)だったが、それでも赤字は大幅に膨らんだ。

その要因は開発費の増加にある。今年第1四半期の同社の開発費は前期比30%増の4143万ドル(約45億円)で、前年同期の1818万ドル(約20億円)の2倍以上となった。図森未来の950名の従業員のうち、84%が技術職だということからも、同社がいかに技術力を重要視しているかがわかる。

また、図森未来は今年から元マイクロソフトのAIエンジニアを役員として招聘し、スウェーデンなど米国以外での事業展開を急いだことも管理費増に繋がり、赤字拡大の原因の一つとなった。

トラックの受注数は順調に増加

赤字にも関わらず業績が楽観視されている理由は、図森未来が獲得した受注数の増加だ。同社は自動運転トラックを主要事業としており、公式発表によると、2021年第1四半期にトラック1200台の受注を獲得し、4月には1000台を受注したという。昨年の分を含めると、同社はこれまで計6775台の注文を受けたことになる。

図森未来が公表した情報によると、購入者にはトラックリース・レンタル大手の米Penske Truck、物流大手の米シュナイダーナショナル、トラック輸送大手の米U.S. Xpressなど大手企業の名前が並ぶ。図森未来は275社と提携しており、2024年からトラックの量産化を行い、米トラックメーカーのNavistarが生産を担当する。

実用化後に向けた運営面での展開も順調だ。現在の運営可能なルートはアリゾナ州のフェニックスからテキサス州のヒューストンまでとなっているが、年内にもフロリダ州のオーランドまで延伸される予定だ。そうなれば、米国の東西海岸をつなぐ自動運転トラックの物流ルートが完成する。

図森未来はすでに370万マイル以上の走行データを蓄積しており、今年第1四半期だけで70万マイルのデータを蓄積した。同社CEOの程璐氏は、「自動運転トラックの運営力においては業界をリードする」と胸を張る。

ライバルも強力

図森未来の損益分岐点について、創業者の侯暁迪氏はトラック5000台の運営を目安とする。第1四半期の財務レポートを見る限り、この目標は2024年に達成できそうだ。そうなれば、業績の黒字化が見えてくるだろう。

しかし、同社の地位は決して安泰ではない。2020年、自動運転業界の資金調達総額は前年比136.9%増の436.3億元(約7400億円)に上った。上場したのは図森未来だけだが、自動運転トラック分野では「智加科技(Plus.ai)」、「贏徹科技(Inceptio Technology)」、カナダの「Embark」などが順調に成長している。資金調達、業績、受注と納付期間などから総合的に判断すると、自動運転トラックの競争が最も激化するのは今後5年間となる。有力企業のほぼすべてが2025年頃の大規模実用化を掲げており、しかも現時点で法的に自動運転トラックが走行できるのは米国しかないため、米国市場をめぐる熾烈な競争が行われるだろう。

長期的にライバルに追い抜かれないために、図森未来は先発優位性を生かし、産業チェーンを十全に構築することが必要となる。同社の今後の動きに注目だ。

(翻訳・小六)

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