3年で赤字360億円、中国音声メディア「Himalaya」が上場へ 「耳経済」の可能性は(下)

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3年で赤字360億円、中国音声メディア「Himalaya」が上場へ 「耳経済」の可能性は(下)

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中国最大の音声メディア「Himalaya」を運営する「Ximalaya(喜馬拉雅)」が上場に向け目論見書を提出した。目論見書では、同社が「オーディオ経済」を開拓したい旨が複数回にわたって言及されている。しかし、音声プラットフォームを使った「ライブコマース」を実現するにはまだ時間がかかるとみられる。

前篇:致命的に低いARPU

ポッドキャストに眠る可能性

ナレッジで収益化を図る戦略において、音声プラットフォームはポッドキャストに新たな可能性を見出している。

ポッドキャストそのものは何も真新しいものではない。2004年にアップルがPodCastをローンチしてから、ポッドキャストはインタビューや対談などのコンテンツを中心とした音声系セルフメディアとして発展してきた。米市場調査会社Edison Researchのレポートによると、米国では2019年時点で3人に1人がポッドキャスト利用者だとわかった。ポッドキャスト検索エンジンListen Notesの統計では、2021年1月初旬時点で世界には190万4000のポッドキャストが存在し、英語のものが123万5000媒体、中国語のものはわずか2万6000媒体だが、後者は急速に増えてきているという。

ショートムービーやライブ配信がインターネットユーザーの大部分の時間を独占する中、ポッドキャストが盛り上がりを見せてきているのは、質やロングテール効果に優れた音声コンテンツが新たなコンテンツ供給源となってきていることや、音声コンテンツが時間帯や場所、シーンを問わず利用できることも理由となっている。

さらにポッドキャストの利用者層はハイクラスに属する。中国の開発者向けプラットフォーム「極光(Aurora Mobile)」が運営するアプリ分析サービスによると、ポッドキャスト利用者層は大都市圏在住の女性が主で、一級都市在住者が全体の3分の1。彼らは課金への意欲も高い。

中国におけるライブ配信同様、米国ではポッドキャストの商業化が進んでいる。MCN(マルチチャンネルネットワーク)と呼ばれる専門のマネジメント事務所が取り仕切るかたちで、配信者は聴取回数1000回につき20〜100ドル(約2200〜1万1000円)の収入が得られる。一方の中国は、ポッドキャストに関しては黎明期だ。

広告主側からみると、ポッドキャストのユーザーはまだ少数派で、広告効果を最大化するのが難しく、広告放映には慎重にならざるを得ない。ある自動車メーカーの広告担当者は、「自動車メーカーが広告を打つ際の媒体の判断基準は二つ。ブランドのカラーに合っているか、充分に拡散力をもっているか。媒体の形式は重要ではない。ポッドキャストは媒体として新しすぎて、評価が不可能だ」と述べている。

ライブコマースは配信者と視聴者の直接的なやり取りによって取引が成立し、スピード感ある完全自律型の事業モデルを形成している。これをポッドキャストで試みれば、プロセスがずっと長くなる。まずは配信者が番組内で商品をアピールし、興味を持った聴取者が商品リンクを検索して、リンク先で買うか買わないかを決める。中途でユーザーが脱落してしまう確率は高い。

一方で、昨年から独BMW傘下ブランド「MINI」や中国のスペシャルティコーヒーブランド「三頓半(SATURNBIRD COFFEE)」がポッドキャストで広告を流しているほか、女性向けのラブグッズブランドがポッドキャスト番組で販促活動を行っており、若年層に向けた新興ブランドの間ではポッドキャストへの進出が進んでいるという。

作者:WeChat公式アカウント「電商在線(ID:dianshangmj)
(翻訳・愛玉)

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