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ハイヒールブランドの「7or9」がプレシリーズAとシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。プレシリーズAは「衆暉資本(Evershine Capital)」が出資し、シリーズAは「峰尚資本(Fengshion)」がリード・インベスターとなり、衆暉資本が追加出資した。「千帆明月資本」が2回ともの資金調達の財務アドバイザーを務めた。
「7or9」は2018年12月に創業し、25〜35歳の大都市で暮らす働く女性をターゲットとするハイヒールメーカーだ。同社のハイヒールはスニーカーと同じ材質を使用しており、快適に履けるのが特徴だ。スニーカー材質のハイヒールは中国で実用新案権を取得している。創業からわずか2年で、アリババ傘下のECプラットフォーム「天猫(Tmall)」のシューズブランド新人賞を受賞するなど、製品は売れ行き、評判ともに上々だ。
7or9は快適性を追求するための製品開発を重要視しており、アジア系女性の足のデータを大量に集め、15カ月間で100以上の試作品を作り、ようやく最初の商品を発売した。その後も改良を続け、そのたびに実生活での長期試着を行っている。試着には男性スタッフも参加し、試着者が1日中履いても快適だと感じて初めて商品化されるという。同社の靴は現在第4世代まで更新されている。
同社創業者の鄧娟氏によると、7or9は商品のバリエーションを増やすのではなく、靴型、材質、製造工程など基本的な要素の改善を重要視している。そのため、現時点での同社の製品は定番商品がメインで、約60種類しかない。ヒールの高さは5センチ、7センチ、9センチが中心だ。価格帯は799元(約1万4000円)が最も多く、最安値は599元(約1万円)だ。
バリエーションを楽しみたい顧客に対して、7or9はシューズストラップ、リボン、アンクレットなどのアクセサリーを提供する。アクセサリーは約60SKUで、価格は79元〜179元(約1300円〜約3000円)となっている。鄧氏によると、「アクセサリーを自分で選び、自分だけの靴を作り上げていくプロセスは、お客様にとっても新鮮さが溢れるものであり、SNSでシェアしたくなる効果をもたらす」という。
鄧氏の言葉が示すとおり、7or9の商品はSNSでの人気が高い。ソーシャルEC「小紅書(RED)」での体験談記事は4万以上の「いいね」を集め、抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)では関連動画の再生回数が10億回に迫る。ユーザーの自発的なシェアが多いため、同社の宣伝費のROIは1:10に上る。購入者のリピート率は約30%で、シューズブランドとしては高い。より多くの消費者に知ってもらうために、ポップアップストアも積極的に展開している。
中国のレディスシューズは数千億元(数兆円)規模の市場だが、現在再編の真っ只中にある。よく知られているブランドの「百麗(Belle)」、「富貴鳥(Fuguiniao)」、「達芙妮(Daphne)」はともに業績が低迷し、なかには倒産した企業もある。7or9の共同創業者の王歓氏によると、ハイヒールは女性が履くものであるにも関わらず、これまでは男性の好みでデザインされてきた。市場は従来の価値観と一線を画す新しいブランドを求めており、そうしなければ若い消費者の支持を得ることはできないという。
そのため、7or9は女性が感じる快適性を重要視する。マーケティングにおいては、女性の映画監督やバレエ歴のある女優を起用するなど、女性に優しいイメージを作り上げることを目指している。今後も同じテーマでイベントを開催し、女性の共感を呼び、より多様なライフスタイルを支えるブランドになっていきたいという。
(翻訳・小六)
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