コロナ禍で注目される無人配送車 北京市が特定エリアで3社の運営を許可

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コロナ禍で注目される無人配送車 北京市が特定エリアで3社の運営を許可

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5月25日に行われた第8回国際スマートコネクテッドカー技術年次大会において、EC大手「京東(JD.com)」傘下の「京東物流」、生活関連サービス大手の「美団(MEITUAN)」、「新石器(Neolix)」の3社が無人配送車用の車両コードを交付された。それにより3社は、指定されたエリア内の公道で無人配送車を使った配送事業を運営することが可能となった。新石器は無人配送車のスタートアップで、昨年3月にシリーズA+で2億元(約34億円)近くを調達している。

走行可能なのは北京市が昨年4月13日に指定した「北京市ハイレベル自動運転模範エリア(以下「模範エリア」と略称)」内となっている。車両コードを交付するほか、模範エリア内で適用される無人配送車専用条例が公布され、走行ルール、交通管理の方法などが明文化されている。

条例には無人配送車の規格、ナンバープレートの義務付け、加入できる車両保険の種類と金額、所管機関などに関する規定が盛り込まれている。規格は荷重、走行速度などを定めており、合格した企業にのみ車両コードを交付する。走行中の無人配送車は軽車両として扱われる。また、運営企業は現場とリモート両方にセキュリティスタッフを常駐させることが求められている。

模範エリア内で走行する車両はすべて模範エリア独自の自動運転管理プラットフォームに登録され、運営状況がプラットフォーム上で一元管理される。

人間を載せて走行する自動運転車と比べて、無人配送車は低速で走行するため安全性が高く、また配送は実需のあるサービスでもある。しかし、行政は始めから強力に後押するのではなく、むしろ規制する方向で動いていた。2018年4月、中国工業情報化部、公安部、交通運輸部が共同で『スマートコネクテッドカー道路走行テスト管理規範(試行)』を発布し、無人配送車は公道で走行してはならないと明言した。

しかし、新型コロナ禍により、非接触型ビジネスの需要が高まった。なかでも配送のラストワンマイルの課題に対処できる方法として、無人配送車が注目を集めた。2020年3月、美団、京東、バイドゥ、アリババ傘下の物流企業「菜鳥(Cainiao)」が、無人配送車の実用化のための政策、法整備、産業育成、規格制定に関するイニシアチブを共同発表し、業界全体の団結と規制緩和を呼びかけた。

共同イニシアチブ発表から1カ月後の4月13日、北京市は郊外の亦庄新城を主要エリアとした中国初のスマートコネクテッドカー模範エリアを始動し、新技術、新製品のテストを強力に後押しした。今回の車両コード交付前から、模範エリアの公道や産業パーク、観光地などでは無人配送車が稼働していた。

中国の無人配送車業界には、京東、菜鳥、美団のような巨大企業もあれば、新石器のようなスタートアップもある。車両だけでなく、ロボット、ドローンなどを使った配送を開発する企業も登場している。各社が競い合うなかで北京市が無人配送車の法的な位置づけを明確にしたことは、間違いなく新製品、新業態の誕生につながる。数年後に無人配送事業の爆発的な成長が期待できそうだ。

(翻訳・小六)

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