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最近、ファーウェイ独自開発のOS「Harmony」に関する重要な発表が2件あった。まず、ファーウェイは6月2日夜8時にオンライン発表会を開催する予定で、そこでスマートフォンにHarmony OSを搭載することを発表するという。同OSがこれまでに搭載されていたのは、スマートディスプレイ、ウェアラブルデバイスにのみだ。
もう一つは、5月18日のHarmony開発者イベントにおいて、HarmonyOSが他社製スマホをサポートすると明言したことである。
では、Androidと比べ、スマートフォンに搭載されるHarmonyの性能はどうなのだろうか。そしてなぜファーウェイはオープンソース化を行うのだろうか。
性能の比較
HarmonyとAndroidの性能については、4月にAndroidをベースにした「EMUI 11」からHarmonyへのアップデートが可能になった後、多くのユーザーが比較していた。
あるユーザーがHarmony OS 2.0にアップデートしたスマホ「Mate X2」と、EMUI 11を搭載した「Mate40 Pro」で人気ゲームを試してみたところ、ゲーム中のフレームレートは2台ともほぼ同じだった。しかし、Mate 40 Proはフレームレートの変動が激しく、ゲーム性能においてはHarmonyのほうが安定していると言える。
ゲームのほか、ベンチマークソフトでHarmony OS導入前後のタブレット「MatePad Pro」のCPUとGPU性能を比較したユーザーもいた。
CPUのテストでは、Harmony導入後CPUの性能がわずかに上がり、エネルギー効率が改善したことがわかった。GPUのテストでは、EMUI 11のポイントが高かったが、エネルギー効率はHarmonyが上回った。つまり、ハードのスペックが同じ場合、Harmonyの導入で性能の向上が望めるということだ。
オープンソース化の思惑と課題
ファーウェイにはオープンソース化で、Harmonyのさらなる改善を目指すほか、Harmonyを搭載するデバイスが増えれば、それだけ今後のサービスの展開もスムーズになるという思惑もある。
しかし、ほかのメーカーがHarmonyを導入するかどうかは、ファーウェイが決められることではない。むしろ消極的な反応が大多数と予想される。その最大の理由はスマホメーカーの収益構造にある。
スマホメーカーの売り上げは、本体の販売のほか、ソフトウェアやIoTデバイス、オンライン広告収入などからなる。シャオミ(小米、Xiaomi)を例にとると、2020年のIoTデバイスによる売上高は130億元(約2200億円)、オンライン広告収入が238億元(約4000億円)であった。
オンライン広告の機能は通常OSに内蔵されている。シャオミは自社開発のOSを採用するため、広告収入がまるごと自分の懐に入ることになる。今から外部のOSを採用するとは考えられない。
IoTデバイスにおいても同様だ。Harmonyはデバイス間の連動性を売りにしているため、これを導入すればファーウェイのエコシステムに入ることになる。しかし、IoTデバイスを開発するメーカーはどこも自社のエコシステムを構築しようとしており、彼らがHarmonyを導入するとも考えがたい。
もちろん、ほかのメーカーが採用しないからといって、Harmonyのオープンソース化が間違いというわけではない。Harmonyのさらなる改善のためには、オープンソース化は英断であり、今後もHarmonyの進歩に注目していきたい。
原作者:小雷嗶嗶(WeChat ID:xiaoleibbb)
(翻訳・小六)
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