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新型コロナウイルスのワクチン開発などを行っている「斯微生物(Stemirna Therapeutics)」が新たに2億ドル(約220億円)近くを調達したことが分かった。セコイア・キャピタル・チャイナ、「招商局健康産業控股(China Merchants Health Industry Holdings)」「景林投資(Greenwoods Investment)」「薬明康徳(Wuxi AppTec)」が共同で出資を主導したほか、「奥博資本(OrbiMed)」「尚珹投資(Advantech Capital)」など医療分野に特化した多数の投資機関が出資に加わった。
今回調達した資金は主に新型コロナウイルスワクチンの臨床研究やGMP(適正製造規範)準拠の生産ライン建設を急ピッチで進め、開発パイプライン(新薬候補)を拡充するために用いられる。創業者でCEOの李航文博士は次のように語っている。「我々が開発している次世代の新型コロナウイルスmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは南アフリカ型、ブラジル型、インド型を含む多くの変異株に効果がある。間もなく第2相臨床試験が始まるほか、海外では第3相試験の計画が進んでいる」
2016年に設立された斯微生物は、米国MDアンダーソンがんセンターの博士チームが中国に戻り立ち上げたmRNA創薬企業だ。同社は知的財産権を持つmRNA技術プラットフォームやLPP(リポポリプレックス)を活用したデリバリー技術の特許を有しているほか、mRNAワクチン年産1億回分の大規模生産を行える技術と設備を備えている。
新型コロナウイルスの大流行により、mRNA医薬の開発競争は日々激化している。米市場調査会社Market Study Report LLCの試算によると、感染症予防と治療目的のmRNA医薬品の市場規模は2025年に59億8000万ドル(約6500億円)に達し、2020年から2025年にかけての年平均成長率は32%となる見込みだという。このところmRNA創薬分野ではまとまった額の資金調達が続いており、5月末にも「啓辰生(Tricision Biotherapeutics)」がプレシリーズA+で数億元(数十億円)を調達したばかりだ。
mRNAは体内の分解酵素によってすぐに壊されてしまうため、分解されないよう膜で包んで保護する必要がある。また免疫を獲得するにはmRNAが特定の抗原提示細胞まで運ばれなければならない。斯微生物が採用する「LPPナノデリバリープラットフォーム」はポリマー混合物mRNAをさらに脂質で包んだ二重構造で、従来の方法に比べてmRNAの保護に優れており、ポリマーの分解と共にmRNA分子を徐々に放出することができる。LPPプラットフォームは免疫獲得において重要な役割を担う樹状細胞への選択性が高いため、抗原提示によりT細胞の免疫応答を活性化させることができ、高い免疫効果が望めるという。今回の出資に参加した景林投資によると、斯微生物の共同創業者はLPPデリバリーシステムの発明者だという。
李航文博士はテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの腫瘍生物学博士で、生物学的療法や免疫治療の研究において20年近くのキャリアを持つ。過去には国家疾病予防管理センター(CDC)でがん免疫治療やRNAワクチン、幹細胞治療などの研究や技術開発に従事した。同社のコアメンバーはグラクソ・スミスクラインやメルクのほか、中国シノファーム傘下の「中国生物(CNBG)」などから集まった世界トップクラスのワクチン・腫瘍分野の人材であり、200人余りを抱える研究開発・産業チームの40%以上が博士、修士、留学経験者だという。
(翻訳・畠中裕子)
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