TikTok中国版「抖音」がOTA事業に進出 情報発信から予約まで完結

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TikTok中国版「抖音」がOTA事業に進出 情報発信から予約まで完結

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昨年以降、中国のIT界隈は「社区団購」と呼ばれる地域コミュニティを対象とした共同購入ビジネスに次々と参入し、莫大な資金を投入してユーザーを奪い合ってきた。ところが同業界が飽和状態に達しつつある現在、各社は「OTA(オンライン旅行会社)」に照準を合わせ始めている。

「​フリギー(Fliggy;飛猪)」「美団(Meituan)」「Trip.com(携程集団)」およびテンセントなどの古株に加え、短編動画アプリTikTokの中国本国版「抖音(Douyin)」やライドシェア大手「滴滴出行(Didi-chuxing)」、ソーシャルEC「拼多多」や「小紅書(RED)」までが同事業への参入を試みている状況だ。

例として抖音は昨年12月、微字節(北京)旅行社有限公司を設立し、同社の旅行事業の第一歩を踏み出した。また業務立ち上げから半年が経過したつい先日には、OTAブランド「山竹旅行」を抖音の中のミニアプリとして試験的にスタートさせた。チケットやホテルの予約までミニアプリ内で完結できるという。

抖音の公式データによれば、2019年11月から1年間の旅行関連動画件数は7億件に上り、視聴回数は延べ1兆回を超えた。抖音の関連責任者はこう述べる。「カルチャー・トラベル業界のオンライン化の過程において、我々は短編動画やライブ配信などのチャネルを通じ、オフラインの観光スポットや旅行会社などの産業がより多くのアクセスや注目を集める手助けをしている。これは新たなビジネスステージを用意し、さらなる革新を促すということでもある」

抖音は実のところ昨年7月から旅行関連事業を開始している。アプリの中に「チケット予約」「ホテル予約」機能を追加したほか、旅行ランキングやレポートの発表など、これまでTrip.comの中心的業務であったコンテンツ作成にも乗り出している。

とはいえ、抖音はこの段階においては依然としてプラットフォーマーとしてアクセスを提供していたにすぎない。抖音のみではビジネスが実質的に完結していなかったため、OTA事業の核心業務に迫れていなかった。つまり、実際の受益者は抖音にリンクを貼る携程や「同程芸龍(Tongcheng-​eLong)」といった業界トップ企業ということになる。そのため、抖音は自身の旅行ブランドや総合サイトを持ち、旅行サービス提供事業者への転換を図る必要があったのだ。

現時点でこの「山竹旅行」は、購買力やユーザー数の多い北京、上海、広州、鄭州などの地域で試験的にサービスを開始している。

抖音に埋め込まれているこのミニアプリは旅行総合プラットフォームとなっており、旅行への興味をかき立てる記事や商品の購入などのサービスに加え、ホテル、レストラン、観光地のランキングも提供している。

注目に値するのは、山竹旅行の旅行関連商品は主に抖音のECサイト「抖音小店(Douyin Xiaodian)」内の事業者により提供されており、携程などが占める割合は減少傾向にあることだ。これは抖音が旅行事業初期において携程などのサードパーティープラットフォーム頼みで構築してきた旅行事業体系に変化が生じていることを意味する。抖音は自社の抱える旅行事業者への支援を強化しつつあるのだ。

抖音の旅行事業の展開やその方式は、同社のEC事業と全く同様だ。つまり、まずは「淘宝(タオバオ)」などのプラットフォームと提携し、事業の概念や基礎を蓄積した後で、機が熟した際に自社のEC事業部を立ち上げるというやり方である。

山竹旅行のリリースにより、ユーザーの旅行関連消費を自社内に囲い込むという抖音の戦略が明確となった。今後は事業がオフラインにまで発展し、実店舗が設置される可能性さえある。O2Oが実現すれば、絶大なアクセス数を誇る抖音によってこれまでの旅行市場が侵食されることは間違いなく、マーケットの構図が再編される可能性さえ否定できないだろう。(翻訳・神部明果)

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