SHEINの成功体験再現へ、Z世代照準のアパレル「Cider」が約24億円を調達

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SHEINの成功体験再現へ、Z世代照準のアパレル「Cider」が約24億円を調達

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2020年に設立された海外向けD2C(Direct to Consumer)アパレルブランド「Cider」がシリーズAで2200万ドル(約24億円)を調達した。リード・インベスターは「DST Global」「a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)」、コ・インベスターは「IDGキャピタル」「徳迅投資(Decent Investment)」が務め、出資陣は豪華な顔触れとなった。

設立から1年あまりのCiderだが、すでに3回の資金調達を成功させている。昨年9月にはシードラウンドで資金調達を行い、a16zと IDGキャピタルがリード・インベスターを、徳迅投資、「峰瑞資本(Frees Fund)」「初心資本(Chuxin Capital)」がコ・インベスターを務めた。昨年末には「和玉資本(Magic Stone Investment)」がリード・インベスターを務めるプレシリーズAで資金調達を行った。米著名VCであるa16zは、これまでFacebookやTwitter、ライドシェアリング「Lyft」、オンラインメディア「BuzFeed」、ゲーミングプラットフォーム「 Roblox(ロブロックス)」、民泊仲介サービス「Airbnb」など多くのスター企業に投資をしてきた。Ciderは中国本土の企業家が手掛けるプロジェクトとしては初めてa16zから出資を獲得した。

Z世代をターゲットとするCiderは、全世界のソーシャルメディアで200万人近いフォロワーを集め、100カ国以上で利用されている。Ciderの優位性はZ世代のユーザーに焦点を合わせた商品・コンテンツ・コミュニティと、ビックデータの活用やスマート化によるバックエンドからフロントエンドまでの各業務の効率化にある。

海外進出している中国発のファストファッションブランドといえば「SHEIN」だが、Ciderは多かれ少なかれその影響を受けている。特にサプライチェーンを統合して、リアルタイムリテールを実現しているという点において、その影響が強い。

SHEINやCiderのようなD2Cブランドは、市場シェアを増やすために商品供給から販売にいたる各段階において、リアルタイムリテールのフライホイールモデルを構築している。このモデルは、例えるとアップルとアマゾンの良いところを組み合わせた複合モデルだ。バックエンドでは、アップルのように強力なブランドイメージとユーザー体験を確立するためにサプライチェーンの全ての段階を細かくコントロールし、フロントエンドではアマゾンのように豊富な選択肢をユーザーに提供するというものだ。

Ciderのバックエンドでは、デザイナーとバイヤーがインターネットを通じてその時々の流行を調査し、流行りの要素を収集してそれにデザインを加え、ユーザーの好みを予測している。同時にプラットフォームの販売データとコミュニティユーザーからのフィードバックを迅速にサンプルに反映させていく。Ciderはソーシャルメディア上に#cidergangという専用タグを設定し、ユーザーからのデザインに対するフィードバックや提案を収集し、商品のヒット率を上げるのに役立てている。

写真共有サービス「Pinterest(ピンタレスト)」のCiderコミュニティ

Ciderは生産過程において柔軟なサプライチェーンモデルを採用している。SHEINの出現によって、ファストファッション業界には急激なデジタル化と強力なサプライチェーンの統合化の波がもたらされた。工場と密接に結びつくことで、新商品の設計、サンプル作成から初期ロット生産までの時間は7日間に短縮された。販売開始した後は、売り上げ実績に応じて、迅速に工場に追加注文を行い生産する。急速なファストファッションブランドの発展の背後には、フレキシブルな生産に対応できる無数の生産工場の存在がある。

a16zの公式サイトの情報によると、Ciderの最終的目標は在庫ゼロであり、現在は予約販売をテスト中とのこと。Ciderの各商品ページには在庫の有無が表示され、一部の商品には「予約販売」と表示されている。このような商品は、プラットフォームがユーザーの注文を受けるとすぐ提携工場に転送し、生産が完了したら倉庫から商品が出荷される。

a16zは「Ciderは一見すると海外向けECプラットフォームのように見えるが、実際はグローバル工場が集合したオンラインショッピングモールだ」と解説している。しかしCiderは単なる需要に応じた生産を行うだけのECプラットフォームではない。自前の設計能力を有し、デジタル化によってヒット商品を生み出すことができるほか、統合されたサプライチェーンを持ち、生産工場に対しても強い影響力を発揮する。さらにオンラインコミュニティ、広告配信、ソーシャルメディアプロモーションなどを通じて、大きなトラフィックを獲得することも可能だ。

ファストファッションブランドは変化の大きい海外向けEC市場において、小ロット、カスタムメイド、クイックレスポンスなどの需要への対応や、サプライチェーンの統合能力のさらなる強化など大きな課題に直面している。SHEINに続くブランドが徐々に出現しつつあるが、それがファストファッション業界にどのような新しい変化をもたらすのか、今後の動向が注目される。
(翻訳・普洱)

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