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シンガポールに本社を置くオンライン中古車取引プラットフォーム「Carro(カーロ)」がこのほど、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2が主導するシリーズCで3億6000万ドル(約400億円)を調達した。
ロイターによると、創業者のアーロン・タン(Aaron Tan)CEOは「今回の資金調達で当社の評価額は10億ドル(約1100億円)を大幅に超えた」と発言したが、詳細な数字は明らかにしていない。
同社はこれまでに、エクイティファイナンスで4億ドル(約440億円)、デットファイナンスで2億ドル(約220億円)を調達している。今回調達した資金は、東南アジアでの新規市場開拓と、すでに進出しているインドネシア、タイ、マレーシアおよびシンガポールでの事業拡大に充てるという。また、全事業における金融サービスの比重を増やすすとともに、人工知能(AI)技術の開発を加速する方針を明らかにしている。
タン氏がメディアの取材に対して「今後1年半から2年以内に米国で上場する計画だ」と述べていることから、同社はすでに上場準備を始めているとみられる。
東南アジアでは依然として新型コロナウイルスの感染状況が厳しく、できる限り公共交通機関の利用を避け、オンラインショッピングを利用する傾向がある。オンライン中古車取引プラットフォームの取引件数も倍増している。英紙フィナンシャル・タイムズによると、東南アジアを中心に展開するマレーシアの中古車取引プラットフォーム「Carsome(カーサム)」は、2019年には1カ月あたり2000〜3000台だった取引台数を、コロナ禍発生後に6000台に伸ばしている。
タン氏は、Carroの今年の中古車取引台数が20万台以上になるとの見通しを示している。
東南アジアの多くの国は現在、オートバイ時代から自動車時代への過渡期にある。しかし、一般家庭にとって新車購入は大きな負担になるため、高品質・低価格な中古車が好まれている。シンガポールのコンサルティング会社「MomentumWorks」が発表したリポートによると、2019年の東南アジアにおける中古車販売台数は600万台を超えた。2009年から19年までの中古車販売台数の複合成長率が6%に達したとのデータもある。
Carroは2015年に設立され、自動車販売やレンタカー、アフターサービスなどを含むフルスタックサービスを提供してきた。しかし、人口の少ないシンガポールでは市場規模に限りがあるため、同社の成長も一定程度で頭打ちになった。そこで同社は2017年、企業買収や投資を通じて東南アジア諸国での事業展開を始めると同時に、自動車金融サービスの提供をスタートした。
2017年に設立した独立運営のフィンテック企業「Genie Financial Services」では、自動車ローンを取り扱っている。ユーザーはCarroで自動車購入をする際、同社のローンを利用するかを選択できる。このほか、2019年にはインドネシアのC2C(消費者間取引)プラットフォーム「Jualo」を買収し、マレーシアの中古車取引プラットフォーム「myTukar」に出資している。
注目すべきなのは、Carroがシンガポールで初めて自動車のサブスクリプション(定額課金)サービスを打ち出したことだ。ユーザーは毎月決まった費用を支払えば自動車を使用する権利を得られ、Carroがあらゆる保険や道路税、メンテナンスコストなどを負担し、24時間サポートを提供する仕組みだ。
ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズのマネージングパートナー、グレッグ・ムーン(Greg Moon)氏は「Carroは現在、東南アジアの自動車業界を変えようとしている。消費者と自動車販売会社に良質な取引体験を提供している。人工知能(AI)が支える技術プラットフォームは、消費者に総合的なサービスを提供するとともに、自動車所有権の譲渡の過程における透明性を確保している」と評価した。
(翻訳・田村広子)
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