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拘束のファーウェイ副会長、「潔白」示す資料提出。引き渡しか釈放か、8月判決

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2018年12月にカナダで拘束されたファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)の、米国への引き渡しを巡る審理が大詰めを迎えている。引き渡しが認められれば、孟副会長は米国に送致され、訴訟や米中関係はさらなる泥沼化が予想される。8月の審理を前に孟氏側は6月末、「米司法省がカナダの裁判所をミスリードした」ことを示す資料を提出した。裁判所が資料を証拠として採用すれば、孟氏釈放の公算が高まるという。

米側の主張「孟氏が銀行を騙し、イラン制裁措置に違反させた」

孟氏の逮捕の報は当時、世界中を駆け巡り、緊迫していた米中関係を後戻りできないほど悪化させた。その後、トランプ前大統領はファーウェイに規制を発動し、同社がスマートフォン製造に必要な半導体調達を封じられたのは周知の通りだ。では、孟氏は今、どういう状況に置かれているのだろうか。

米司法省は2019年1月、孟氏を銀行詐欺罪などで起訴、孟氏の犯罪行為を以下のように説明した。

・孟氏は2013年、英HSBCの行員にプレゼンを行った。その際、イランで事業を行っていたスカイコム・テックについて、実際はファーウェイの関連企業だったのに、「ビジネスパートナー」と虚偽の説明をした。

・HSBCは孟氏の説明を信じてファーウェイと取引を継続したため、同社を通じてスカイコムとも関係を持つこととなり、イラン制裁措置に違反した。

つまり、HSBCが違法行為を行った原因は、孟氏の虚偽説明にあると主張し、孟氏、スカイコム、ファーウェイを起訴したのだ。

 

孟氏側、潔白示す資料を提出

孟晩舟氏(中央)

「犯罪人引き渡し協定」に基づき、米国から孟氏の身柄引き渡しを要請されたカナダは2019年、バンクーバーのブリティッシュコロンビア州上級裁判所で引き渡しの可否を判断する審理を始めた。

孟氏側は当初、「米司法省の起訴内容はカナダでは罪に当たらない」と、犯罪人引渡協定の重要原則である「双罰性」を満たしていないと主張したが、裁判所は2020年5月、孟氏の訴えを却下した。

その後、「逮捕の手続きの正当性」に争点を移した審理が2021年3月に始まった。この審理の判決は5月に出る予定だったが、孟氏側が追加資料の準備に時間がかかることを理由に審理の延期を要望し、裁判所はこれを認めて審理を3カ月延期した。

孟氏側は起訴内容について一貫して以下のように反論してきた。

・HSBCにとってファーウェイは重要顧客であり、同銀行幹部はファーウェイとスカイコムとの実際の関係を認識していた。

・HSBCは上記のことを知っていながらファーウェイとの取引を継続していた。孟氏のプレゼンには影響されておらず、詐欺は成立しない。

・米検察側は、HSBC幹部がファーウェイとスカイコムとの関係を認識していたことを示す情報を意図的に開示せず、裁判官をミスリードしている。

6月末、孟氏側はこれらの主張を裏付ける資料として、HSBC内のメールの送信記録や内部文書を裁判所に提出した。ファーウェイは文書開示を求めて香港でHSBCを訴えており、同訴訟が和解に至ったため、資料を提出することができた。

孟氏逮捕から2年半。この間に新型コロナウイルスが拡大し中国への風当りが一層強まった一方で、米国ではトランプ政権からバイデン政権に移行し、対中政策の変化も見られる。トランプ前大統領が出したWeChat(微信)とTikTokの禁止令は撤回された。

ファーウェイが提出した資料の詳細は、裁判所の要求によって公には開示されていないため、中国の有識者も資料が証拠採用される可能性は「分からない」という見解だ。ただ、証拠採用されるなら、孟氏側に有利な判決が出る公算が高まる。裁判所は7月上旬にも、提出された資料の扱いを決定する見通しだという。

(文・浦上早苗)

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