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踊り場の地域共同購入業界、「興盛優選」が3億ドル調達で倉庫強化

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地域コミュニティ向け共同購入サービス(中国語で「社区団購」)を展開する「興盛優選(Xingsheng Selected)」が新たに3億ドル(約330億円)を調達することが36Krの取材でわかった。「オンタリオ州教職員年金基金(OTPP)」による単独出資で、興盛優選の評価額は調達完了後に120億ドル(約1兆3200億円)になる。これについて興盛優選はコメントを出していない。

2月に30億ドル(約3300億円)を調達してからわずか半年で今年2回目の資金調達となる。前回の調達後に80億ドル(約8800億円)に達した同社の評価額は50%も増えた。興盛優選は設立以来8回にわたり、総額50億ドル(約5500億円)を調達している。昨年12月には中国のEコマース大手「京東集団(JD.com)」などが7億ドル(約770億円)を出資しており、そのうち1億ドル(約110億円)以上はテンセントが投じたという。

興盛優選の資金調達履歴(出典:企業情報サイト天眼査)

2013年に設立された興盛優選は、客が事前に商品を注文し、指定の場所で商品を受け取るという「社区団購」サービスをいち早く打ち出し、2020年にはGMV(流通取引総額)が400億元(約6800億円)に達した。今年のGMVは800億元(約1兆3600億円)を目指しているというが、関係者の情報によると、今年上半期の月別GMVは平均30億元(約510億円)で、目標達成には程遠い。6月末時点で興盛優選は中国の17省、1100都市および7万の郷・鎮・農村に進出済みだ。

社区団購は第2四半期に入り、業界全体で停滞期に入った。旧正月前にはトップ企業のGMVは1日2億元(約34億円)達成も珍しくなかったが、5月に入ると1億5000万元(約25億円)前後にまで落ちこんだ。夏季はそもそもが閑散期で、低温物流能力が弱まるために顧客からのクレームも増える時期だ。また、今年に入り、中国国家市場総局が社区団購各社に対し、事実上の「クーポン禁止」を通達したため、各社は事業拡張のための重要な手段を失った。

しかし、クーポン禁止令は完全なデメリットというわけではなく、興盛優選のようなベンチャーにとってはむしろメリットのほうが大きい。集客力も資金力も有する超大手企業の「無差別攻撃」から逃れ、長年かけて積み上げてきたフルフィルメント能力を発揮できるようになるからだ(フルフィルメント=受注から配達・代金回収までの全業務)。

興盛優選はサプライヤーから提供された商品を「中央倉庫」に集約し、加工を経てからエリアごとに設けた「グリッド倉庫」に分配し、さらに細かい地域別に仕分けされ、各地のサービスステーション、商品受け渡し地点まで届ける方式を採用している。

中でも鍵を握るのが「グリッド倉庫」だ。都市あるいは県中心部と町や村に設けられた受け渡し店舗を結ぶ役割を持ち、15〜20キロ圏をカバーしている。ある資料によると、興盛優選は今年5月時点で全国に700以上のグリッド倉庫を有しているという。

大手企業が社区団購業界に続々と参入してきた昨年7月以前、興盛優選は本拠地を構える湖南省で、コスト全体に占めるフルフィルメントコストの割合を業界最低水準の3%にまで抑えていた。しかも、同省内では注文の半数以上が都市部から離れた農村部からの注文だった。現在はユニットエコノミクス(事業の最小単位ごとに収益性を評価する)方式で運営しており、粗利は業界平均の5〜10%を上回る15〜20%で、コスト全体に占めるフルフィルメントコストの割合は6%にまで上がっているが、業界平均の10%には依然として勝っている。

今年上半期、興盛優選が新規エリア開拓以外で最も力を注いだのがフルフィルメントの最適化だ。近く、4万平方メートル規模の中央倉庫を2カ所稼働させる予定だという。

大手企業の参入が始まった1年前からジェットコースター並みに揺れ動いた社区団購業界では、淘汰がすでに始まっている。

これまでの競争の焦点は「集客力と資金力」だったが、急成長期を終えた現在ではサプライチェーンの構築やインフラ面でコストの優位性を持ち、SKU(商品の最小管理単位)の限界を解決できた者が最終的に勝者になる。今回3億ドル(約330億円)の軍資金を得た興盛優選は少なくとも当面は持ちこたえるだろう。
(翻訳・愛玉)

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